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Yukino Kishii
岸井ゆきのさん
女優
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年にデビューし、映画やドラマなど幅広く活躍。主な出演作は、映画『愛がなんだ』『空に住む』『やがて海へと届く』『神は見返りを求める』、ドラマ『パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜』『アトムの童(こ)』など。
自分自身と主人公のあり方に
通じるものを感じたんです
「ケイコという役は、自分で考え込んでつくった部分はなくて、3か月のボクシングのトレーニングに取り組む中で、三宅(唱)監督とトレーナーと一緒に築きあげて生まれたものなんです。今回は『ケイコをこう見せよう』とはせず、練習の中で感じた純粋な気持ちをそのまま、ケイコとして映せたらと思って挑みました」
『ケイコ 目を澄ませて』は、聴覚障害のあるプロボクサー小笠原恵子さんの生き方に着想を得て、三宅唱監督が新たに紡いだ物語。音のないリングに立ち続け、自分と向き合い、喜び、悩む、ひとりの女性の生活を生々しく、そして美しく描いている。そんな真剣に生きる主人公を演じたのは、岸井ゆきのさん。撮影が始まる頃には「役との境が自然となくなっていた」という。
「いつもは割と役と距離を置くタイプなのですが、この現場では、カメラが回ってないときもケイコでいるのが正しいことだと思いました。そこで気づいたのは、彼女はボクシングが好きで、認めてくれるジムがそこにあったということ。いや、気づいたというより、ケイコにとってそうだろうという感覚に近い。それに、もともと似ている部分があると思っていて。ケイコにとってのボクシングは、私にとっての映画。彼女は練習が終わって普段着に着替えても、ジムでコンビネーションを確認するし、私も少しでも時間があれば映画館に足を運びます。“自分のあり方”に通じるものがあるんです」
映画好きの岸井さんは、近年ではまれな16㎜フィルムでの撮影に大きな幸せを感じていた。
「こうやって映画って作られてきたんだなって、歴史の一部に触れているような現場でした。スタッフも出演者も、ワンショットに込める思いも強く、撮った画(え)からあふれるエネルギーもデジタルとは違う味わい。本当に貴重な経験でした」
INFO
『ケイコ 目を澄ませて』
嘘(うそ)がつけず愛想笑いが苦手なケイコ(岸井ゆきの)は、生まれつき両耳が聞こえない。プロボクサーとして悩みながらもひたむきに鍛錬を重ねていたある日、ジムが閉鎖されることを知る。一度ボクシングから距離を置こうと悩んでいたケイコの心が静かに動きだす。
●12月16日より、テアトル新宿ほか全国公開
©2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
Photo:Kyouhei Yamamoto Hair & Make-up:Aya Murakami Stylist:Babymix Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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