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『半沢直樹』や『陸王』など、テレビドラマ化され、絶大な人気を誇る作家・池井戸潤の作品。数あるベストセラーの中でも、2人の青年の青春を切り取ったような爽快、かつ重厚な物語が展開する『アキラとあきら』がついに映画化! メガバンクを舞台に、己の情熱と信念に従い社会と闘う山崎瑛<アキラ>と階堂彬<あきら>の宿命を描く。横浜流星さんが演じるのは、老舗海運会社の御曹司でありながら、親戚との軋轢を避け、後継ぎを拒んだ主人公のひとり、階堂彬。初めて参加した池井戸作品や銀行員という新しい役どころ、そして共演した俳優・竹内涼真さんについて、前後編にわたって、とことん聞いた!
竹内さんのまっすぐな思いのおかげで
階堂彬という人物を掘り下げられた
──前編で、山崎瑛役の竹内涼真さんも同じ時期に特撮ドラマに出演されていて、仲間意識を持っていたとおっしゃっていました。コミュニケーションは取りやすかったですか?
そうですね、僕が勝手に仲間意識を感じていて(笑)。昔、自分は空手を長年やっていて、竹内くんはサッカーをやっていて、そういった何かひとつのものに強い思いを持って打ち込んできたところに、共通する部分もあるなって。竹内くんと僕は性格は全然違うけど、根底にある人としての核が似ているなと思ったから、すぐ仲よくなりました。
──また、物語冒頭にある瑛と彬の新人研修のシーンで、役をつかめたとおうかがいしました。このシーンについて、竹内さんと何かお話をしましたか?
2人の人物像を表すこのシーンをよりよくするために、どうしたらいいかという話をしていました。例えば、竹内くんから「こう動いたら、ちょっと話しづらくなる?」「芝居しづらくなる?」と聞かれて「この位置なら、ぜんぜん(問題ない)」と答えるような細かい確認を重ねて。彼がこう動いたら、階堂は山崎との関係性や距離感も変わるので、それを受けて僕はどう演じようか、ということを考えていました。流れるように進んでいくあのシーンも、実は緻密な計算があったり。
──だから、2人の立ち位置や関係性が観る人にすっと入ってくるんですね。竹内さんの役者としての魅力は何でしょうか?
まっすぐさ、です。ご本人としても役としても、まっすぐで突き進んでくるので、だからこそ受け止めやすいです。お芝居の中でたくさん情報をくれるので、受け取って返しやすい。人として役者として、対話のキャッチボールがしやすいんです。自分が持っているものを、しっかり相手に届けようと意思を感じます。
──相手役の山崎瑛が竹内さんだったからこそ引き出せた、階堂彬らしさはありますか?
竹内くんのまっすぐさがあるからこそ、彼が真剣にぶつかってきてくれるからこそ、自分は人物の要素を引いて階堂として生きられたと思うんです。竹内くんじゃない、それこそ自分みたいなタイプの人が山崎瑛をやったら、違う熱さになっていただろうし、僕の受け答えも変わって、階堂彬ももう少し違う人物像になっていたんだろうなと。お芝居は相手との反応のし合いで、キャッチボールが大事。相手が竹内くんで本当によかったです。
──撮影の合間などは、竹内さんとどんな話をしましたか?
ずっとたわいのない話をしていました。お互いに、出演した作品について「撮影現場、どうだった?」とか「次、どんな作品に出るの?」とか。あとは、竹内くんに「車、乗るの?」と聞かれて、「自分は持ってないです」って言ったら、「この車、流星くんに似合う」っておすすめを教えてくれたり(笑)。お仕事と趣味の話をしていました。
代わりはいくらでもいる。
唯一無二の俳優を見据える覚悟
──階堂彬の弟、階堂龍馬を演じた髙橋海人(King & Prince)さんとの共演はいかがでしたか? 優秀な兄にコンプレックスを抱きながら父親の後を継ぐ弟と、弟を残し、後継の座を退いた兄というシビアな関係の二人です。
髙橋くんの人に愛される優しい人柄が、龍馬という役にすごく合っていたと思いました。だからこそ、人間味あふれる憎めないキャラクターになったと感じたんです。そのおかげで、家族に対する階堂のあり方も考えられたと思っていて。階堂は、階堂家に敷かれたレールからわざと外れて、龍馬からは現実から逃げてると思われているかもしれなくて、ずっと後ろめたさがあるんです。
弟の龍馬に対する愛をちゃんと持っているのに、うまく伝えられない、一歩踏み出せない壁があるので、「本当は愛しているんだよ」という気持ちを繊細に表現できればいいと思っていました。でも、すべてはね返されるので、お兄ちゃんとしては複雑な気持ちになったりしたけど(笑)。それによって、階堂が山崎と接するときと家族、主に龍馬に接するときの違いを自分の中で意識できて、人間味のある青年として演じられたんだと思っています。
──山崎瑛と龍馬に対する接し方で違いをつけていたところはどこですか?
なかでも、話し口調が大きいです。龍馬に対する階堂の口調が、弟に対するにしてはちょっと強いなと思って、三木監督に相談しました。「言い方は自分で調整するので、(もともとセリフにあった)この命令口調をやめたいです」と伝えたら、監督もいいですねと了承してくださって。そこで山崎に対する階堂と龍馬に対する階堂の色分けができた感覚がありました。
──ふだんクールに見える彬が、実は胸に秘めている弟への思い、ぐっときます。一方で、親族ですが彬と対立する、ユースケ・サンタマリアさん演じる階堂晋と、児嶋一哉さん演じる階堂崇の叔父2人がいます。歯にきぬ着せぬ言葉で言い合う3人の掛け合いは、ある種爽快です。
ユースケさんと児嶋さんとのシーンはすごく楽しかった! 階堂は叔父たちの強い言葉を受ける側のお芝居で、おふたりが憎たらしい叔父さんを演じてくださったので(笑)、エネルギーを溜めるようにとにかくずっと我慢していました。我慢すればするほど最後に……詳しくは言えませんが、カタルシスにつながります。
──池井戸作品の魅力は、物語と人物を追いかけていると、自分のことのように熱くなれるところだと思います。演じていて、熱くなったところは?
そもそも叔父さんと父のいざこざが嫌で階堂は外に出ましたが、彼の中で家族の問題は気になっていました。まっすぐな山崎と出会ったことで、それまでごまかしてきた気持ちと真摯に対峙して、家族とちゃんと向き合おうとする展開は、すごく熱くなりました。
──彬が目を背けていた宿命に向き合い、自分の本来の居場所や役割を見つけようとする展開は感動を覚えます。横浜さんは、俳優として宿命や役割があると思いますか?
自分の状況は自分でもわかっていて、いまの役割はもうそろそろ終わってしまうかもしれない。だからこそ本物にならないといけないと、常日頃考えているんです。
僕は、戦隊モノなどを経験していて、今年でキャリアが11〜12年になります。その中で、『初めて恋をした日に読む話』というドラマをきっかけに、僕のことをたくさんの人に知っていただけました。これは本当にうれしいことで、同時に運だなって思うんです。自分がこういう運に乗れたということは、他にも同様な状況が起きる。つまり、俳優の世界は移り変わりが激しいということ。 今は、流行りものとして代わりはいくらでもいるなと感じながら、求められていることをしっかりやり遂げようと思って日々活動しています。それを強く感じているので、本作で大人の役にステップアップしてきながら、これからもっともっと実力をつけて唯一無二の存在にならないといけないと思っています。
横浜流星 RYUSEI YOKOHAMA
1996年9月16日生まれ、神奈川県出身。2011年に俳優デビュー。多くの話題作、主演作を重ね、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』で大きな注目を集める。近年の出演作に、Netflixシリーズ『新聞記者』、ドラマ『DCU』、映画『嘘喰い』『流浪の月』などがある。今後は、主演映画『線は、僕を描く』(10月21日公開)、『ヴィレッジ』(23年公開予定)が控えている。
公式HP:https://official.stardust.co.jp/yokohamaryusei/
公式Instagram:https://www.instagram.com/ryuseiyokohama_official/
映画『アキラとあきら』
原作:池井戸潤「アキラとあきら」(集英社文庫刊)
監督:三木孝浩
出演:竹内涼真、横浜流星、髙橋海人(King & Prince)、上白石萌歌ほか
●全国東宝系にて公開中
公式HP:https://akira-to-akira-movie.toho.co.jp/
父親の経営する町工場が倒産し、幼くして過酷な運命に翻弄されてきた山崎瑛<アキラ>(竹内涼真)。大企業の御曹司ながら次期社長の椅子を拒絶し、血縁のしがらみに抗い続ける階堂彬<あきら>(横浜流星)。運命に導かれるかのように、日本有数のメガバンクに同期入社した2人は、お互いの信念の違いから反目し合いながらも、ライバルとしてしのぎを削っていた。瑛は自分の信念を貫いた結果、左遷され、彬も目を背けていた親族同士の骨肉の争いに巻き込まれていく。やがて、階堂グループの倒産の危機を前に、2人の運命が再び交差する。
ブルゾン¥320,000・Tシャツ¥66,000・パンツ(参考商品)・シューズ¥135,000/クリスチャン ディオール[TEL:0120-02-1947]
Photos:Teppei Hoshida Hair & Make-up:Taichi Nagase[VANITES] Stylist: Shogo Ito[sitor] Interview & Text:Hiasmoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
©2022「アキラとあきら」製作委員会
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