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――取材対象者によって、アプローチの仕方は変えていますか?
衝突が起きそうな質問を意図的に投げかけるようにしてます。例えば、シベリアの奥地にあるカルト教団の村に潜入して信者たちに話を聞いたときに、彼らが明らかに定型文みたいな答えしかしてくれなかった。それだと一人ひとりの人間の感情が見えてこないですよね。だから、ある少年に「この宗教がカルトだっていわれてるのは知ってる?」って聞いてみたんです。そうすると露骨に感情が表れて、彼の教団に対するひと筋縄ではいかない思いが見えた。大切なのは相手が聞かれたくないだろうなと思うことを、タイミングを見計らっていかに聞くことができるかですね。あと、「今、幸せですか?」っていう質問もよくします。聞かれた相手はその瞬間に自分の日々を振り返るんですけど、これくらいの直接的な質問でしか見られない面白いリアクションがあるんです。
――司会の小籔千豊さんの苦い表情にも表れていますが、好奇心をくすぐる番組だと思って観ていると重い現実が後を引きます。
テレビって「人を傷つけちゃいけない」という安定志向がベースにありすぎて、どんどん視聴者を安心させるのに特化していて。でもそんな刺激のないものばかり観ていると、現実に起きていることを見逃すし、知的な成長も止まってしまう。だから僕は、ショッキングなものを不意打ち的に視聴者に与えたいという気持ちで番組を作っています。「面白い番組であること」を第一にめざしつつ、裏切りたいし驚かせたい。観る前と後で目の前の景色がまったく違って見えるような視聴体験、びっくり箱みたいな罠(わな)を仕掛けていきたいと思っています。
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