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MUSIC
ヤッフル
Yaffle
東京都出身。小袋成彬と共にTOKA(旧Tokyo Recordings)を設立。多様なプロデュース・ワークをこなす一方で、2018年より自身の作品も発表。20年に初アルバム『Lost, Never Gone』をリリース、先日開催された「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S Yaffle Edition」ではプログラム・オーガナイザーを務め、注目を集めた。
「時代が示す矢印の『ちょっと先』を表現したい」
藤井風やiriを筆頭に個性的なミュージシャンの楽曲を多数プロデュースしているほか、アニメーション界のアカデミー賞と呼ばれる第49回アニー賞でサウンドトラックを手がけた『映画 えんとつ町のプペル』が最優秀音楽賞にノミネートされるなど、国内外で才能が高く評価されている、Yaffle。
「初期設定が異なるだけで、どの作品も変わりないというか。ただ、自分が興奮できる音楽を追求しているだけ。それが、さまざまなプロジェクトに振り分けられていく感覚ですね」
彼の手がける音楽は、どれも光の粒子のような繊細でエッジのきいたエレクトロニックなサウンドが中心にあるものの、一瞬にして耳に残るシンプルな旋律が流れているのが特徴。
「音楽を複雑にすることは簡単なんです。いろんな音を加えたらいいだけですから。シンプルな構造にして、そこからいかに差別化を図っていくかが、大変なんですけどね(苦笑)」
特に、最近力を入れて取り組んでいるという自身の楽曲制作に関しても同様。最新曲「Wish You Could Come feat. Satica」においても、英語曲でありながら、日本人の心の琴線にも触れるメロディやサウンド展開が印象的。
「仮想で誰かを想定して楽曲を作ったとしても、どこに響くかわからないし、誰にもいいと思ってもらえないかもしれない。だったら、自分がいいと感じるもの、聞き心地がいいものを作ろうと思った。その中で、自然と日本人らしさが表現されたのかなって」
邦楽や洋楽などのジャンルを飛び越え、心地よく踊れる仕上がりの楽曲。
「この楽曲は海外のアーティストと対面で完成させたんですけど、そのことでこれまで硬くなっていた創造力がほぐされた感じがしました。自分が持っていた考えには、違う側面があることに気づかされましたね」
今後もプロデュース業と並行し、自身の楽曲も精力的に発信していくという。自身なりの“流儀”を持ちながら。
「時代が示す方向性ってあると思うんです。そこから離れたらいくらでも奇抜な音楽を作ることはできますが、僕は時代の矢印の『ちょっと先』にあるものを表現したいと思います」
きっと、その洗練された音から輝きにあふれる未来を感じ取れるはずだ。
「音楽の聴き方に正解はないので、好きに解釈をしていただきたいです。先入観にとらわれずに何が好きで、何を許せないのか。若いときに自分自身を深く知ることが、人生を楽しむうえでとても大切なことではないかと思います」
「Wish You Could Come feat. Satica」
(Picus Records/NexTone) 配信中
3月に配信された最新曲は、昨年秋にL.A.で行ったスタジオセッションの中から生まれたもの。カンボジア系アメリカ人オルタナティブR&B系シンガーソングライターであるSaticaによる甘いヴォーカルに乗せ、現代の世界が抱える孤独感、誰かとつながっていたい切ない思いを、エレガントなピアノの旋律を絡めたグルーヴィなエレクトロサウンドで表現。
Photo:Shinsaku Yasujima Interview & Text:Takahisa Matsunaga
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