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長きに渡り受け継がれてきた、
息をのむほどに美しいジュエリーには
秘められた物語がある。
ジュエリーと宝飾芸術の学校「レコール」が、名門ジュエリーメゾン「ヴァン クリーフ&アーペル」のサポートを受けて1月14日(金)から3月13日(日)まで「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」を開催。アンティークディーラーとして知られるイヴ・ガストゥ氏がコレクションしていた400点ものメンズリングを展示する。
イ ヴ・ガ ストゥ氏と 彼の息子ヴィクトール・ガストゥ ©ギャラリー・イヴ・ガストゥ
展示するのは、17世紀のヴェネツィア共和国のドージェ(元首)がはめていたリングから1970年代のアメリカのバイカーリング、古代エジプトにインスピレーションを受けたリングから19世紀の“メメント・モリ”スカルリング、18世紀のエナメルリングから現代アーティストが手がけたリングまで多種多様。2020年に亡くなったイヴ・ガストゥ氏の最後の遺言であり、彼の究極のクリエーションといえるだろう。
リング、はたまた武器!?
1_ヴェネツィア元首の指輪
©Benjamin Chelly
ひときわ高い権力の象徴であるヴェネツィア共和国のドージェ(元首)が身に着けていたリングは、恐ろしいほど凝ったディテール。驚くべきは装飾だけにあらず、ベゼルを開くと封ろう(手紙の封筒や文書に封印を施したり、主に瓶などの容器を密封したりするために用いる“ろう”のこと)を入れておくための空洞があり、これを溶かして陰刻に用いることで、シーリングスタンプとして使われていた。ちなみにこの空洞、実は毒を隠すのにも使われており、ルネサンス期のヴェネツィアでは、このリングで人知れず暗殺することも可能だったという。
バラ色の人生か、イバラの道か
2_死を昇華させる棺の指輪
©Benjamin Chelly
1970年代に作られたもので、バラをふんだんにあしらった棺が特徴。人生はバラが咲き誇る峡谷のようなものであることを、死が思い出させてくれるという暗示を込めている。バラ色の人生であっても、美しいバラには棘があるのだ。
絢爛さに動悸と目眩
3_司教の指輪
©Benjamin Chelly
この見事な司教の指輪は、1920年から30年の間に作られた真の技術的偉業と呼ぶにふさわしいもので、ガストゥ氏のお気に入りリングだった。中央のアメジストの周りにはダイヤモンドがあしらわれ、ベゼルには、舟の中で網を持って魚を釣っている聖ペテロが描かれている。礼拝だけでなく日常生活の中でも着用されるこうした指輪は、ミサや行列の際に白手袋の上からも着用できるよう、この指輪のように調節可能になっていることがほとんどだ。
歴史的発明!奏でるリング
4_オルゴールの指輪
©Benjamin Chelly
音楽の演奏装置がジュエリーに組み込まれている極めて珍しい一例。花のモチーフに隠された歯車を回転させることで音が鳴る仕組み。ゴールドとシルバー製で、肩の部分を男性と女性の2つのカリアティード(人像柱)が飾っている。
メンズリングのみを集めた展示は極めて稀。しかも日本にいながらヨーロッパをはじめ世界中のヴィンテージリングが拝めるとあれば足を運ばずにはいられない。予約不要で無料の展示なのでフラッと立ち寄ってみてほしい。
「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」
期間:2022年1月14日(金)~3月13日(日)※会期中無休、予約不要
開館時間:10:00〜19:00
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内
エキシビションの詳細について:https://www.lecolevancleefarpels.com/jp/ja/mens-rings-exhibition
お問い合わせ:0120-50-2895 (レコール事務局/平日11:00〜19:00)
◆オンライントーク◆
「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」
日時:2022年1月27日(木) 20:00〜21:00
オンラインにて実施
※リンクおよび内容の詳細は下記公式ウェブサイトでお知らせ
https://www.lecolevancleefarpels.com/jp/ja/mens-rings-exhibition
Text by Sayaka Arai
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