▼ WPの本文 ▼
MOVIE
YUKI INOUE
井上祐貴
1996年6月6日生まれ、広島県出身。2018年、ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』でデビュー。19年のドラマ『ウルトラマンタイガ』でドラマ初主演を果たす。代表作に、ドラマ『ホリミヤ』『痴情の接吻』や映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』『NO CALL NO LIFE』『Bittersand』などがある。
「本来の自分の弱さを隠すために、けっこうクサいことを言っちゃうんです」
ツイッターで絶大な人気を誇るライター・カツセマサヒコの小説家デビュー作『明け方の若者たち』が、刊行からわずか1年で早くも映画化された。〈僕〉と大学の飲み会でひと目ぼれした〈彼女〉、そして会社で知り合った同期で親友の尚人と過ごした、みずみずしくもはかない20代の“沼のような5年間”を描く群像劇。〈僕〉と〈彼女〉の神聖ともいえる恋物語に、現実世界との接点をつくる重要な存在が尚人だろう。社会人になって理想と現実のギャップにもがく〈僕〉に共感し、元気づける好青年・尚人を演じるのは、いま注目を集める俳優、井上祐貴だ。
「尚人って本当にカッコよくて、仕事もこなせちゃうタイプ。だけど、普通にみんなに認められたいし、必要とされたいと考えていて、本当の弱い部分や意地を隠すためにカッコいいことを言って、人とつながろうとしている。実際、彼のセリフはひとつひとつクサくて…シラフの男同士で『これを機会に、いい男になろうぜ』って言えますか?(笑) でもそれが彼のよさ。その分、〈僕〉の弱さに共感したり尚人の優しさを見せたりするところはかなり考えました。弱くもあって強くもある、そんな姿に人間味を感じたから、嫌なやつに映らないように意識しました」
〈僕〉と〈彼女〉の純粋な恋愛模様が描かれた前半から、ある真実が開示され、ミステリアスな雰囲気をまとう後半へ。我々が見守ってきた恋は、みるみるうちに形を変え、尚人や〈僕〉への見方、感じ方が変化していく。
「2回観ると、それぞれ性格や振る舞いがより違って見えてくる。〈僕〉の引っ越しを手伝うシーンや夜明けの高円寺を走るシーンとか…観てくださった方の感想が気になります。それでも尚人は前向きに生きていて、〈僕〉の親友だとわかってもらえたらうれしい。そんな彼に僕も刺激をもらいました」
最後に、メンズノンノで2022年1・2月合併号から始まるカツセさんの小説連載と、北村匠海さんの料理連載について伝えると…。
「カツセさんは試写の後にお話をして、『尚人がそこにいた』と言っていただいたことがすごくうれしかったです。原作者の方から直接感想をいただくのはあまりないので。匠海くんといろいろな趣味の話をしたのですが、僕も料理づくりが好きで、盛り上がりました。彼はスパイスからカレーをつくったり、ハンバーグは肉汁が出ないように片栗粉の膜をつけたり…こだわりがすごい(笑)。彼とは初対面でしたが、そんな話をしながら、〈僕〉と尚人のような関係を最初からつくることができました」
『明け方の若者たち』
2012年の4月、東京・明大前の飲み屋で開かれた学生最後の退屈な飲み会に参加した〈僕〉(北村匠海)。そこで出会った〈彼女〉(黒島結菜)に一瞬で恋をした。二人の関係が徐々に進展する中、〈僕〉は就職直後に社会人の壁にぶつかって…。〈彼女〉と親友・尚人(井上祐貴)、彼らと一緒にいる時間が幸せだった。だけど、わかっていた。いつか終わりがくることを…。
●2021年12月31日より、全国公開
©カツセマサヒコ・幻冬舎/「明け方の若者たち」製作委員会
Photo:Shinsaku Yasujima Hair & Make-up:Seigo Amano Stylist:Tomoyo Nishiwaki[M DOLPHIN] Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi
▲ WPの本文 ▲