▼ WPの本文 ▼
REVIEW
BOOK
『むき出し』
兼近大樹
文藝春秋/¥1,760
お笑い芸人として忙しい日々を送っていた石山の前に週刊文春の記者たちが訪れる。石山は自分の過去に心当たりがあった。貧乏で問題児だった子ども時代。家計を助けようと始めた新聞配達。悪い仲間とつき合い始め、普通がわからなくなってしまった10代。初めての恋。そして…。繊細な内面を率直な言葉で表現したピュアな青春小説。
『虚魚(そらざかな)』
新名 智
KADOKAWA/¥1,815
その魚を釣り上げた人は死ぬ。怪談師の三咲はワケありの同居人カナ、元カレで大学院生の昇とともにその怪談の発生源を探し始める。三咲は本当に人が死ぬ怪談を求め、カナがその実験台を引き受ける約束だった。怪談の真相に迫るミステリと、理屈では説明できない現象を描くホラー。二つの要素がミックスされた新人作家のデビュー作。
『パラアスリート 谷 真海 切り拓くチカラ』
徳原 海編著
集英社/¥1,760
東京2020パラリンピックのトライアスロン競技に出場した、義足のアスリートがいま社会に伝えたいこととは? コロナ禍で大会が延期されるなど、開催まで紆余(うよ)曲折あったパラリンピック。その道のりを描くとともに、“ダイバーシティ”のあり方とそのために必要なことが浮き彫りにされている。これからの社会のあるべき姿を知りたい人へ。
MUSIC
『ダイヤモンド』
石崎ひゅーい
菅田将暉らへの楽曲提供で注目されているシンガーソングライターの5年ぶりとなるアルバム。私立恵比寿中学への提供曲のセルフカバーを含む内容。ダンサブルな楽曲からアコースティック・バラードまで彩り豊かなサウンドと、ストレートに心に響いてくるヴォーカルに乗せ、日常の風景の中にある「輝き」の瞬間を丁寧に表現した。
(ソニー・ミュージックレーベルズ)2021年12月22日発売
『Ladies In The City』
Night Tempo
1980年代の歌謡曲を中心に、日本の隠れた名曲を世界に発信し、シティ・ポップを広めた存在のひとりであるプロデューサー/DJのオリジナル盤。BONNIE PINKから山本彩まで、さまざまな世代の女性ヴォーカリストを招き、華麗に都会を生きる人々の姿をポップかつグルーヴィに表現。自然と足音が軽やかになるダンスミュージックに。
(ユニバーサル)発売中
『無限のHAKU』
ROTH BART BARON
フォーク・ロックをベースに、幻想的かつ実験性にあふれたサウンドを展開し、海外からの評価も高い、三船雅也を中心にしたバンドの新作。アイナ・ジ・エンドとのユニット「A_o」で発表した話題曲のセルフカバーなどを収録。目まぐるしく変化する世界の中でも変わらない人間のピュアな部分を、映画のような物語性のある構成で描く。
(SPACE SHOWER MUSIC)発売中
MOVIE
『偶然と想像』
世界が熱い視線を向ける濱口竜介監督の新作がまたも登場。カンヌ国際映画祭で4冠に輝いた『ドライブ・マイ・カー』の前に完成させていた1本で、こちらはベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。短編集と銘打たれたオムニバス形式。「偶然と想像」を共通のテーマに、恋愛など様々な人間模様にまつわるエレガントでコミカルな3つのエピソードが軽やかに紡ぎ出される。
●2021年12月17日より、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
©2021 NEOPA / Fictive
『決戦は日曜日』
とある地方都市で巻き起こる選挙珍騒動。初めて出馬する保守政党の大物の娘・有美(宮沢りえ)のサポートに就くことになった、事なかれ主義の議員秘書(窪田正孝)。彼は、政界に無知なお嬢様育ちながら謎の熱意はある有美に振り回されるが…。俊英・坂下雄一郎監督の秀逸な脚本に豪華キャストが集結。日本映画には珍しいポリティカル・コメディの快作の誕生だ。
●2022年1月7日より、新宿バルト9ほか全国公開
©2021「決戦は日曜日」製作委員会
『エル プラネタ』
時代の寵児(ちょうじ)として注目されるミレニアル世代の異色アーティスト、アマリア・ウルマン。彼女が監督・脚本・主演を兼任した長編デビュー作だ。自らの故郷であるスペインの田舎町ヒホンを舞台に、一見ゴージャスに着飾りながら貧困生活を送るヒロインの日常を描く。ウルマンの実の母親が共演。モノクロームの瑞々(みずみず)しい映像で、現代人の生きづらさを優しく描く傑作。
●2022年1月14日より、渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開
©2020 El Planeta LLC All rights reserved
[BOOK]Text:Kenji Takazawa
[MUSIC]Text:Takahisa Matsunaga
[MOVIE]Text:Naoto Mori
▲ WPの本文 ▲