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冷たいクリームソーダ、小銭入れ片手に向かう一番風呂、ひと手間がいとおしいフィルム写真……。なぜだか惹かれるレトロカルチャーの魅力について、それぞれの「沼」にハマった達人に語ってもらった。
純喫茶
きっかけはフォトジェニックなクリームソーダでもいい。一歩足を踏み入れると、訪れた人にしかわからないやすらぎがある。気難しそうに見えたマスターとも、いつの間にか話がはずむ。
ユーピケさん
空想喫茶トラノコク 店員
"架空の喫茶店"として、その魅力を発信するグループ「空想喫茶トラノコク」に所属。本業のかたわら週末のたびにこつこつ回り続け、訪れた喫茶店は150軒以上に。
Twitter:@toranocoku
Instagram:@toranocoku
西荻窪どんぐり舎
ジャズ喫茶に憧れて、マスターのお兄さんが始めたそう。半世紀にわたりここでお客さんを迎え続けている。窓際の一角は、木漏れ日を感じられる特等席。
今は亡きお兄さんによる、壁に貼られた手書きのメニューがあたたかい。
一番人気のコーヒーは、マンデリンをメインにグァテマラとキリマンジャロを混ぜたほろ苦ブレンドだ。「自家焙煎だから、毎日微妙に違った味になるんだ」と笑うマスター。お姉さんが考案したという、ピザトーストも絶品だ。ジャムトーストやバタートーストもある
スピーカーを修理して、開店当時から使い続けているというオーディオも味がある。
古きよき純喫茶を楽しみたいならまさにうってつけのお店です
SHOP DATA
杉並区西荻北3の30の1
TEL:03-3395-0399
営業時間:10時30分~22時30分 不定休
渋谷喫茶サテラ
もとは「青山茶館」という、48年続いた喫茶店だった店内は、椅子や戸棚、壁などをそのまま残し、当時の趣を感じられる。
ハンドドリップで入れるコーヒーは、浅煎り・中煎り・深煎りの3種類から選べる。バリスタが厳選した「スペシャルティコーヒー」だ。プリンは練乳とクリームチーズをたっぷり使い、毎日すぐに売り切れてしまう人気商品。外側はかためなのに対し、内側はとろっとやわらかく作られている。
透きとおるクリームソーダは、きれいなグラデーションを楽しめるよう、丸みのあるグラスで提供している。
都会にありながら、静かな時間を過ごせる隠れ家的喫茶店
SHOP DATA
渋谷区渋谷1の7の5 青山セブンハイツ1F
TEL:070-3128-2362
営業時間:11時~19時 不定休
※店舗の営業時間やメニューは変わる可能性があります。
純喫茶の数だけ、
人知れぬ物語が存在する
正直なところ、以前はあまり喫茶店に興味を持っていませんでした。けれど「トラノコク」に入って様々なお店を回っていくうち、その魅力にどっぷりとつかってしまったんです。
チェーンのカフェとは違い、純喫茶は回転率に神経質じゃないところが多い印象です。それって、空間を大事にしているということではないでしょうか。ゆったりくつろげる純喫茶は、時間や世代を超えてつながれる、憩いの場所だと思いますね。僕を含め若者が惹かれるのは、そんなタイムレスな魅力なんじゃないかと、最近考えています。
だからこそ行くときに大切にしたいのは、「自分が今、どんな空間を求めているのか」ということ。友人とたっぷり語り合いたいなら、光がたくさん入る、明るくて広い空間のお店。落ち着いた気分で過ごしたいなら、照明が暗めで静かなBGMがかかっているお店。そういうふうに選んでいます。
純喫茶は皆、個性豊かです。扉を開けると、使い込まれた家具やカップ、気さくなマスターに出迎えられ、創業以来、それぞれに物語が紡がれているのを肌で感じられます。
(ユーピケさん)
Photos:Shinsaku Yasujima(model) Naomi Ito(still) Hair & Make-up:Miki Masue Tatsuya Suzuki Stylist:Masashi Sho Model:Rintaro Hinotsu[MEN’S NON-NO model] Illustrations:Nao Hashibiro
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