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【渋くてもディグりたくなる日本美術②】葛飾北斎《神奈川沖浪裏》

【渋くてもディグりたくなる日本美術②】葛飾北斎《神奈川沖浪裏》

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第2回を迎えたこの渋すぎる連載。前回紹介した作品はほとんどの人が初見だったと思いますが……今回はそうは言わせません! きっとみなさんおなじみの、超有名な浮世絵を紹介します。さらに、おすすめ展覧会の情報も必見。どうか最後までお付き合いくださいませ!

※記事内で紹介している展覧会は終了しています

冨嶽三十六景《神奈川沖浪裏》

今にも富士山を吞み込んでしまいそうな大きな波と、必死に船にしがみつく人々。荒れ狂う海の迫力が臨場感たっぷりに伝わってくるこの作品、おそらく多くの人が一度は見たことがあるはず。

実際の作品は思ったよりも小さくて、その緻密さに驚かされます。しかしなんと今、この《神奈川沖浪裏》を超巨大スケールでじっくり鑑賞することができちゃう、特別な展覧会が開催中なんです!

それが、「巨大映像で迫る五大絵師 -北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界-」。9月9日まで大手町三井ホールで行われています。私もひと足先にお邪魔してきたのですが、とても言葉では表しきれないダイナミックさで、日本美術が好きかどうかにかかわらず、是非足を運んでそのすごさを体感していただきたいと思いました……。3面の大きなモニターに囲まれて、まるで絵の中に入ったかのような気分に! 詳しくはこの記事の最後でもお話します!

葛飾北斎ってどんな人?

申し遅れてしまいましたが、作品の題名は「かながわおきなみうら」と読みます。描いたのはこちらも超有名な、葛飾北斎という浮世絵師。1700年代半ば~1800年代半ばまで、江戸後期に生きた人物です。当時としてはかなり長生き!

彼はとにかく「描く」ことが好きで好きで仕方ありませんでした。生涯に残した作品数は、実に約3万点を超えるといいます。

通常、浮世絵師は「雅号」という、自分のニックネームのような名前を作品に記していました。北斎も例外ではなく、というか頻繁にかえていたことが知られています。驚きなのは、彼が晩年名乗っていた「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)」という雅号。思わず「…なんて?」と聞き返したくなるクレイジーな響き! とはいえ、絵を描くことに狂い、一生をそれにささげた彼の生きざまが伝わってきますよね。

ちなみにこれも知られた話ではありますが、北斎は尋常じゃない頻度で引っ越しをしたといわれています。その数なんと93回。日本に今まで、これ以上に引っ越した人間はいるのでしょうか……。

《神奈川沖浪裏》の“すごいところ”

冨嶽三十六景は、「ふがくさんじゅうろっけい」と読みます。《神奈川沖浪裏》は、この一連のシリーズに収録された1作品なんです。もともとは題名のとおり、富士山を描いた36の作品が収録されていました。しかし出版されると大人気だったため、あとから10の作品が追加されています。

「描いた」というとちょっと紛らわしいんですが、これは前回も少し説明したように木版画作品です。なので正確には、北斎が描いた下絵を、彫師や摺師、版元が協力して世に出した作品といえます!

あまりにも有名なこの作品、着目すべき点は数えきれないのですが……なかでも興味深いのは、「波」の描き方です。

そもそもみなさん、静止した海の波を肉眼で見ること、できますか? できないですよね? 北斎は止まった波の姿かたちを、カメラもないこの時代に、精緻(せいち)に描きとっているんです。信じがたいほどの観察眼だと思いませんか!?

勢いよくしぶきを飛び散らせ、襲いかかってくる力強い生きもののように感じられる波の描写。北斎はほかの作品でもいろいろな波を描いていることから、「波」に対して、もはや執着といってもいいほどの関心を向けていたのだろうと思われます。彼の画業のなかでも後半に制作されたこちらですが、描いて描いて描き続けたからこそ、きっとここまでの境地に達することができたのでしょう。

ただでさえダイナミックなこの作品を、超巨大映像で体感!

さて冒頭でもお伝えしましたが、《神奈川沖浪裏》を超巨大スクリーンで見ることができるまたとない展覧会が、今大手町三井ホールで開催されているんです。ちょっとだけ、その様子をお見せしますね。


北斎だけでなく、宗達や光琳、若冲など、豪華すぎる日本美術のビッグネームが揃い踏みな今回の展覧会。貴重な機会、是非お見逃しなく!

展覧会について詳細は、こちらのHPをご覧ください▶https://faaj.art/2021tokyo/

最後まで読んでくださり、ありがとうございました! 次回は琳派か、北斎か、ほかの誰かか、まだ決めていませんが……お楽しみに!

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渋くてもディグりたくなる日本美術

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