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母親の影響で幼い頃からブラックミュージックに親しみ、15歳からラッパーとしての活動をスタート。16歳で日本一のフリースタイル高校生ラッパーを決める『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』で優勝し、一躍スターダムに。また、モデルとしての顔も持ち、従来のラッパー像を更新するそのファッションセンスは世界からも注目されている。新時代のアイコンとして高い支持を集めるこの人のこれまでとこれからについてインタビュー。
HIYADAMさん
RAPPER, MODEL
1996年生まれ、北海道出身。中学生のときにリリックを書き始め、15歳からラッパーとして活動を開始。2013年、16歳のとき、No.1高校生ラッパーの座をかけたフリースタイルバトルの甲子園『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』で優勝。2019年、1stアルバム『Antwerp Juggle』をリリース。今年3月26日、レーベルメイトでもあるYo-Seaを客演に迎えた新曲「Honey」をリリースし、ミュージックビデオも公開。
「あんたは歌がヘタだから」と言われてラッパーに
――ラッパーとして活動されていますが、音楽との出会いというのはいつ頃だったんですか?
ハッキリといつ頃というのはないんですよね。とりあえずお母さんが音楽好きで、物心ついたときから家の中でよく音楽がかかっていたんですけど、どんな曲か理解していたわけではなくて、小学校6年生ぐらいになってそれがブラックミュージックやヒップホップというものだと知ったんです。そこから意識して聴くようになって、中学生になって自分でもリリックを書き始めました。
――どういう内容のリリックを書いていたんですか?
えーっ、ほとんど覚えてないんですけど、まぁ、不満ですよね。中学生なりの不満だと思います(笑)。
――その頃からラッパーになりたいと思っていたんですか?
いや、ヒップホップよりもR&Bとかのほうが好きだったので、最初はシンガーへの憧れがあったんです。ただ、お母さんに「あんたは歌がヘタだから」と言われて(笑)。たしかにうまくはないので、シンガーは無理なんだろうなと思って、だったらラッパーしかないなって。そんな感じで始まりました。
――それで、16歳のときに、『BAZOOKA!!! 第3回高校生RAP選手権』で優勝して、日本一のフリースタイル高校生ラッパーになります。
そうですね。それまでバトルとかしたことはなかったんですけど、第1回とか第2回の放送を観ていたら、何か言葉に詰まっちゃったりする人も割といたので、これだったら余裕で勝てるんじゃないかなと思って応募しました。
――どういうところでラップのスキルを磨いたんですか?
中学校3年生ぐらいから地元の先輩のイベントに出たりして、毎月ライヴをしていたんです。フリースタイルに関しては、そこで鍛えられた感じですね。
――『高校生RAP選手権』で優勝して何が変わりました?
ライヴイベントとかで全国から呼んでもらえるようになって、いろいろなところに行きましたね。ただ、当時はまだ高校生だし、プロになるかどうかは正直ちょっとフワフワしていました。ラップは好きでやっていましたけど、これ一本で生きていくんだとまでは全然考えていなくて。真剣に考えるようになったのは、高校を卒業して東京にやって来てからですね。単純にラップをしてお金を稼がないと生活できなくなっちゃって。そのときから、これはもう仕事だなという認識になりました。
ドレッドだとだいたいジャージとか着せられちゃう
――ラッパーらしからぬというか、そのファッションセンスも注目を集めていますが、どういった経緯で今のようなファッションになったのですか?
ヒップホップが好きだったので、高校生ぐらいのときまではいわゆるラッパーのファッションをマネしていました。ただ、海外のラッパーを見ていると、ストリート系だけじゃなくて、ハイブランドとかを取り入れてミックスする人たちが出てきて。僕もハイブランドのファッションに興味があったので、上京してからは自分でも買って着るようになって、そこからもう完全にストリート系は抜けて、今みたいな感じになりましたね。過去にはドレッドにしていたこともあったんですよ。2年半ぐらい。でも、これってみんなが想像しているラッパーと同じだなと思って、それじゃあちょっと面白くないから、意識的に変えていくことにしたんです。
――モデルをやっていることもそうですが、従来のラッパー像を更新していきたいという感じなんですか?
そうですね。ドレッドにしていてもいいと思うんですけど、ドレッドでハイブランドの服を着ても結局ヒップホップの人みたいになっちゃうというか。あと、モデルとして出るときにドレッドだとだいたいジャージとか着せられちゃうんですよね。グッチのジャージ上下とか。それでヘアスタイルもファッションも変えていったというのはあります。
――よくジェンダーレスなファッションと言われていますが、そこは意識しているのですか?
いや、正直僕はあんまりジェンダーレスと言われる意味がわからないんですよね。まぁ、メンズの服でレディースっぽいやつを選びがちってのはありますけど、おしゃれだなと思った海外の友達がそういう感じの服を着ていて、僕も自分なりにただ好きな服を着ているだけです。以前は本当に3か月ごとに好きなファッションが変わっていましたけど、さすがに落ち着いてきて、今は「コモン スウェーデン」とか「ナマチェコ」といったブランドが好きですね。特にルールはなくて、欲しいものがあったら買う感じで、月に少なくとも15万円は洋服に使っていると思います。
――ヘアスタイルも特徴的ですよね。
ヘアスタイルも昔は3か月ごとに変えていましたけど、やっぱりイメージづけしなきゃいけないので、しばらくはこのままでいこうかなって思ってます。ファンの中でも人によってドレッドだったり、ボウズだったりと、イメージが全然違うみたいなんですよ。それってよくないので、全員このイメージにしてやろうと思っています。なので、しばらくこれでいく予定です。
――では、インスピレーションの源って何ですか?
何でしょうね。僕、リリックは書くんですけど、トラックはつくらないんですよ。リリックはやっぱり普段の遊びからですかね。日常がいちばんのインスピレーションの源です。
「日常がいちばんの
インスピレーションの源です」
――何をして遊んでいるんですか?
それはちょっと言えないかな。というのは、冗談で。普通に大富豪とかしてますよ。僕があまり外に出ないので、みんな僕の家に来て、ご飯を食べたりしながら大富豪とかして遊んでます(笑)。
――マンガとかアニメはどうなんですか。好きなんですよね?
好きですね。今また見直しているんですけど、『D.Gray-man』は服とかの世界観も全部含めて好きなアニメです。あと、『ヨルムンガンド』がめちゃくちゃ好きですね。最近のだと『呪術廻戦』とか『約束のネバーランド』とか、人気があると言われているものは全部観ています。『約束のネバーランド』はマンガも読みましたけど、すごく面白かったですね。
プラモデルの展覧会をやってみたい
――音楽以外で何かやろうと思っていることってあるんですか? それこそ洋服をつくってみようとか思わないんですか?
洋服は難しいなって思うんですよね。僕の周りにもブランドをやっている友達とかいるんですよ。その人たちの話とか聞いていると、実際につくるのと着たいのって別なのかなという気がするんです。着たい服はいろいろありますけど、それを形にしてつくるのは僕にはちょっと無理だろうなって。
――ほかに何かやりたいことってありますか?
最近やりたいことができたんですよ。僕、めちゃくちゃプラモデルが好きで、基本的につくるのは戦車とか戦闘機なんですけど、自分がつくったプラモデルの展覧会をやってみたいですね。ちょっと非現実的なジオラマをつくってみたいです。まぁ、そんなこと言われても意味がわからないですよね。僕も話しててやばいなって思いました(笑)。
――5年後とか10年後でもいいんですけど、最終的に自分はこうなっていたいという具体的なビジョンはあるんですか?
具体的なビジョンですか。うーん、そういうのはないかもしれないですね。もちろんラッパーとしてもっと有名になりたいみたいなことはあるんですけど、それは現在進行形というか、通過点みたいな感じなので。それに、ラッパーとして注目されたいといっても、例えば40歳になってラッパーとして最前線で頑張りたいっていう感覚はほとんどなくて。ラップはもういい感じのときに趣味に切り替えて、ほかの違うことで生きていけたらいいなって思いますね。洋服じゃないブランドをやるのでもいいし、自分のスキルを生かして何かクリエイティブなことをやって、ラップもできるというぐらいのスタンスでいたいなって。理想ですけどね。
――じゃあ、例えば俳優をやってみないって誘われたらどうしますか。チャレンジしますか?
やってみたいですね。だって、面白そうじゃないですか。「この人、年とってもいけているね」みたいな感じになりたいんですよ。そのためには、面白そうなことはいろいろやってみたいです。
ジャケット¥62,700・シャツ¥36,300・パンツ¥46,200(すべてナマチェコ)/コンテナストア トーキョー
Photos:Kyouhei Yamamoto Stylist:IORI® Composition & Text:Masayuki Sawada
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