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ボルダリングの壁を見つめ、ひたすら登り続けるクライミング部の小寺さん。なぜ彼女はまっすぐに上をめざしているのか…。人気漫画『のぼる小寺さん』を実写化した本作で、ちょっと不思議なボルダリング少女を演じるのは、今回映画初主演に挑戦した女優、工藤遥だ。
淡々と過ぎていく高校生活の中の一瞬を切り取りながらも、ひたむきな小寺さんの姿を目にしたことをきっかけに変化を見せていく少年少女をみずみずしく描いた青春物語『のぼる小寺さん』。小寺さんを演じるにあたり、「彼女ってすごく変わり者。だけど、現場ではキャラクターをつくるのではなく、そのままでいることを意識していた」と振り返る。
「小寺さんはボルダリングのことになると登ることしか考えてなくて、周りのことは気にしなくなっちゃう。すごく独特な空気感を持っているけれど、それはひとつのことに真剣に向き合っているから。古厩(智之)監督がおっしゃったように『ただその場にいるだけでいい』という心持ちでいました。自ら周りにアクションを起こしていくというよりは、伊藤健太郎さんが演じる近藤をはじめ、小寺さんを見つめる人たちのちょっとした心の動きを通して、彼女の魅力が伝わると思っていて。演技について強いて言えば、マイペースな部分を表現しようと思ったときは、まばたきをゆっくりしてみました」
©2020「のぼる小寺さん」製作委員会 ©珈琲/講談社
撮影の3か月前からボルダリングを共演者とともにゼロからはじめ、みんなすっかりハマったという。競技をやっている人が見ても嘘がないようにしたいという共通認識はもちろん、いちばんの理由はおもしろかったから。
「原作や台本を読んで、ボルダリングをする回数がたくさんあることにかなり身構えていたのですが…、クライミング部のメンバーで練習していくうちにすごく楽しくなってきて。現場では撮影まで時間があると誘い合って登りに行ったり、一緒に好きになってうまくなっていく姿を見ているから、お芝居中も部活仲間の自然な雰囲気が出せていたと思います。また、監督は私が登れるかどうかのギリギリの課題を出して撮影するんです。負けず嫌いな性格なので、結果、小寺さんのように夢中で登ることができました」
登場人物と同じく、そんな小寺さんの姿に、観る者も元気をもらえる。
「一生懸命になっている人ってカッコいいし、たとえ失敗していても、見た目が不格好だったとしてもキラキラ見える。そして、がんばっている姿は誰かが必ず見ていてくれる。本作が勉強や仕事、就活や部活など、何かに取り組んでいる人の背中をそっと押せる作品になったらいいなと願っています」
『のぼる小寺さん』
クライミング部の小寺さんは大好きなボルダリングに一直線。隣で練習をする近藤は、何度でも立ち上がり目の前の壁に挑み続ける彼女から、なぜか目が離せない。どんどん小寺さんに惹かれる近藤。しかし、小寺さんを見つめているのは近藤だけではなかった…。彼女を中心に、しだいに周りの人々の気持ちが動いていく。監督:古厩智之 出演:工藤 遥、伊藤健太郎、鈴木 仁、吉川 愛、小野花梨
7月3日より全国公開 公式サイト
工藤 遥さんプロフィール
1999年10月27日生まれ、埼玉県出身。2011年に「モーニング娘。10期メンバー『元気印』オーディション」に参加し、11歳11か月の史上最年少で加入。17年、モーニング娘。およびハロー! プロジェクトを卒業し、女優として活動スタート。代表作は映画『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』や舞台「魔法使いの嫁」など。
公式インスタグラム@haruka_kudo.official
Photo:Masato Yokoyama
Interview&Text:Hisamoto Chikaraishi
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