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数々の映画のスチールを手がける木村和平さん。木村さんの写真を前にすると、その空間に引き込まれるかのような感覚を覚える。1枚の写真から、空気や温度感までもが伝わってくる気がするのだ。「鈴鹿君に会った瞬間、人間を5個くらいの種類に分けたら同じタイプの人だと感じた」と話す木村さんが切り取った、自然の中に佇む鈴鹿央士の姿。
take : 006
木村和平 ── 写真家
KAZUHEI KIMURA ── Photographer
きむら かずへい●1993年生まれ。ファッションや映画の分野で活動しながら、作品制作を続けている。第19回写真「1_WALL」で審査員奨励賞を受賞。今年3月には、不思議の国のアリス症候群から着想を得た写真展「石と桃」を開催した。
僕も風景の一部に溶け込めればと思い、カメラを意識しすぎないようにしました。── 鈴鹿央士
鈴鹿央士
自然に包まれて漂っている感じが心地よくて、僕も風景の一部に溶け込めればと思い、なるべくカメラを意識しすぎないようにしました。木村さんと僕はどちらもゆったりしたタイプだからか、湖の雰囲気も相まって、リラックスしたムードで撮影ができたと思います。
木村さんは僕の目の話をしてくれたけど、実は最近ちょうど目への光の入れ方に興味を持っていて。どんなふうに目を開くと光が入るか、入らないかを考えていたので、目線について指示をいただくやりとりが楽しかったです。それから、今日は自分のフィルムカメラも持参していたので、木村さんとカメラの話をできてうれしかった! 楽しそうにカメラの話をする木村さんの少年っぽい表情、とてもよかったです。
撮られている意識はあるけど意思はこっちに向いていない、うっすらと開いている弱い感じの目が魅力的だと思います。── 木村和平
木村和平
鈴鹿君はぱっちり丸い目が印象的ですよね。まっすぐカメラを見たときの強さももちろんすばらしいけど、個人的には“目を閉じかける瞬間”が魅力的だと思います。撮られている意識はあるけど意思はこっちに向いていない、うっすらと開いている少し弱い感じの目。それを撮りたくて、撮影中は目の話ばかりしていたような気がします。
今日はそっとその辺に鈴鹿君を置いて、自然の中に「たまたまいた」くらいの姿を撮りたいと思っていました。鈴鹿君も同じように感じてくれていたようで、「そうそう! 僕もこうしたかったよ~」と思う瞬間がたびたびありました。岩の上でのカットが、まさにそう! 静かな時間の中、少しずつ着地点を見つけていくことができました。
Hair & Make-up:Taro Yoshida[W] Stylist:So Matsukawa
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あの人が撮る鈴鹿央士「たゆたう」