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広告やジャケット写真を中心に活躍する写真家・刈馬健太さんの作品は、エネルギッシュで力強く、鮮烈なインパクトを残す。「被写体との、呼吸でのセッションを大切にしている」と語る刈馬さんと鈴鹿、まだ夏の空気が残る夜、東京の下町で2人が向き合った。
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刈馬健太 ── 写真家
KENTA KARIMA ── Photographer
かりま けんた●1991年、長野県生まれ。専門学校卒業後、単身渡米。主に国内外のエディトリアルや広告、ブランドビジュアル、アーティストのジャケット写真などで活躍。2022年に自身初となる個展「Atmosphère」を開催。
鈴鹿君は、力が抜けていて、でも芯がある。撮りすぎないようにセーブするのが大変でした。── 刈馬健太
刈馬健太
撮影中はしゃべらないことが多いです。ポーズや表情を「やって」と言うとそれは作りものになってしまうので、僕はなるべくナチュラルなものを撮りたい。モデルに自由に動いてもらえたら、どんな表情でもポーズでもそれが正解だと思います。鈴鹿君はちょっとした動きや表情が全部、本当にすてきでしたね。力が抜けていて、でも芯がある。限られた人にしかできないことだと思います。鈴鹿君を前にするとたくさんシャッターを切りたくなるから、撮りすぎないようセーブするのが大変でした。
初めて会う人を撮るときはまず遠い距離から撮影をし、相手が醸し出す空気感に応じて距離を取ったり詰めたりするんです。鈴鹿君は直感的に「この人は近寄っていい人だ」と感じさせるオーラがあって、近くからも遠くからも、いい写真を撮れました。
どちらかが「今だよ」とタイミングを提示するわけでなく、互いの息がぴったり合う瞬間が確かにありました。── 鈴鹿央士
鈴鹿央士
最初のほうは「めちゃくちゃ遠くから撮られるな」と思ってました(笑)。刈馬さんもあえて遠くから撮っていたとおっしゃっていましたけど、その余白というか、距離を置いて自分を見てもらえたのがうれしかったですね。武士が互いに剣を構えて探り合う感じ! 刈馬さんに「力んでなかった」と言ってもらえたけど、それは刈馬さんと僕の間の空気感が心地よかったから。どちらかが「今だよ」とわかりやすくタイミングを提示するわけでなく、互いの息がぴったり合う瞬間が確かにありました。
東京の下町でパンクな服を着て、撮影中は自分だけ「異物感」があると思っていたのですが、いざ写真を見るとすべてが不思議とマッチしていて驚き。刈馬さんは「アンバランス感を狙うのが好き」だと聞いて、その世界に入れたことがうれしかったです!
Hair & Make-up:Asahi Sano Stylist:So Matsukawa
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あの人が撮る鈴鹿央士「たゆたう」