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日本を代表するファッションフォトグラファー、鈴木親さんの写真はドラマチックだ。知っているはずの街や日常の風景が、物語の1シーンのように見えてくる。「相手について知らないほうが、フレッシュにその人自身の魅力を撮れる」と語る鈴木親さんは、初対面となる鈴鹿をどのように撮影するのか。しとしとと冷たい春雨が降る早朝の渋谷にて、ロケを敢行した。
take : 002
鈴木 親(ちかし)── 写真家
CHIKASHI SUZUKI ── Photographer
すずき ちかし●1972年生まれ。96年に渡仏し、フランスの雑誌『Purple』にて写真家としてのキャリアをスタート。様々なブランドのワールドキャンペーンを手がけるなど、インターナショナルに活躍している。
渋谷という日常に根づいた場所と、写真というファンタジー、そのつなぎ目としてどう存在するべきかをぐるぐる考えていました。── 鈴鹿央士
鈴鹿央士
親さん、いつシャッターを切っているのかわからなくて初めは戸惑いました。いつ撮っているのかな、緊張するな、春の雨って寒いな、といろんな考えが頭の中を巡って。でもそのうちにだんだんと意識がカメラに集中して、撮影の世界の中に入っていけるような、なんだか不思議な感覚でした。撮影中に親さんがおっしゃっていた、“写真はファンタジー”という言葉も印象的でしたね。普段、撮影のときに“こういう見られ方をしよう”とはあまり考えないのですが、渋谷という日常に根づいた場所と、写真というファンタジー、そのつなぎ目としてどんなふうに在るべきかを、今日はぐるぐる考えていました。
鈴鹿さんは衣装を着た瞬間に顔つきがガラッと変わった。その姿を見て、僕自身の気持ちも上がりました。── 鈴木 親
鈴木 親
鈴鹿さんは、“服によって顔が変わる人”。ヘアメイクを整えて衣装に着替えた瞬間に、ギアが入って顔つきがガラッと変わったのを感じました。その姿を見たら、僕自身も気持ちが上がるというもの。
僕は撮影自体を素早く行うようにしているんです。モデル自身が、どんな表情をすればいいのかまだ定まっていない間に撮影を終わらせるのが理想的。鈴鹿さんとは今日が初対面ということもあり、お互いの緊張感も相まって、いい“戸惑いの表情”を捉えられたと思います。1カット目(1枚目の写真)は緊張と不安から生まれた、はにかんだ表情がよく似合う。2カット目(2枚目の写真)では徐々に顔つきがキリッとし、モデル然としていく過程がよかったですね。
Hair & Make-up:Ai Miyamoto[yosine.] Stylist:So Matsukawa
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あの人が撮る鈴鹿央士「たゆたう」