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特定の企業や組織に属さず、自身のノウハウで仕事をつかむフリーランス。きっかけや働き方など気になるライフスタイルにフォーカス! 第一線で活躍する料理人・北村ジョン正寛さんの、独立にいたる経緯と今を聞いてみた。
FREELANCER
料理人
北村ジョン正寛さん
MASAHIRO JOHN KITAMURA
レストランで働くほかに新規開業の飲食店のメニュー開発も手がける。最近はお茶のプロデュースも。
食事を振る舞うのが
とにかく楽しかった
料理人として様々な飲食店と仕事をする北村さんは、食にまつわることなら何でもこなすマルチプレーヤー。そのバイタリティは、作れる料理を増やしたいという欲求からくるという。
「高校時代のアルバイトから始まった飲食業界も、気がつけば8年目。現在は銀座のレストランのキッチンに業務委託で入っているほかにも、新規開業の焼き肉店やバーのメニュー開発、最近では三軒茶屋のグリーンショップ、Style-Gとの協業でハーブティーを監修しました。ここまで触手を伸ばせたのは、いろいろな料理を知りたいといった探究心があったからだと思います」
そんな北村さんが料理人として働くようになったきっかけは中学時代の夕食にあった。
「父子家庭で育った僕には年の離れた弟がいて、仕事が忙しい父に代わって中学生の頃から夕食を作ることが多かったんです。最初は焼く、煮る、炒めるといった簡単なものしか作れていなかったけど、弟や父が自分の手料理をおいしそうに食べているのを見ると楽しくなってきて。そのうち誰かに食事を振る舞うことにハマりました。そこからレシピサイトや本を頼りに凝ったものを作るようになったんです。
その中でも煮物には自信があって、それを食べた父から『料理人になるのか』と聞かれたのはいい思い出ですね(笑)。今後は料理を教える側に回ってみたり、移動式のキッチンカーに挑戦してみたり。まだまだやりたいことは盛りだくさんです」
責任感と行動力を得た店長業務
多ジャンルのメニューに挑戦する北村さんの攻めの姿勢は、社員として参加したとあるカフェで得た経験からくるものだという。
「21歳の頃にカフェメニューの勉強をしようと入社したお店があったのですが、僕が入った途端に先輩社員さんが次々と辞めていってしまうことがあって。入社早々、店長に昇格してしまったんです。それまで居酒屋でアルバイトをしていただけの僕が、いきなり責任のある立場に。逃げ出したくなることもありましたが、その店のオーナーはそんな隙を与えてくれませんでした(笑)。
しかし、そこでむちゃ振り的に店長を務めて得たことは今にも通じていて。それは、本気でやればなんとかなる、というモットーです。その考えがなかったら、今のように料理人として独立できていなかったと思います」
そんな怖いもの知らずなマインドが北村さんに生まれ、ますます行動力に磨きがかかる。
「店長という役職があったからこそ、責任感が芽生え、今あるメニューをよりよく仕上げたいと思うように。なので休日はいろいろなカフェやレストランを巡っていました。そこで見つけたのが、鳥羽周作シェフが経営するレストランsio。サービスの質も高く、何よりメニュー全部がおいしくて。その秘密を知りたくなってしまい、“給料はいらないので働かせてください!”と直談判。カフェの店長をしながら、休みの日はsioのお手伝いをするようになりました。
今思うとかなりぶっとんだ思考回路だけど、そういう欲求に忠実だったから、フリーランスとしての今の僕があるんだと思います」
Photos:Norito Ohazama Composition & Text:Kanta Hisajima
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