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特定の企業や組織に属さず、自身のノウハウで仕事をつかむフリーランス。きっかけや働き方など気になるライフスタイルにフォーカス! 第一線で活躍する美容師・中西鉄郎さんの、独立にいたる経緯と今を聞いてみた。
FREELANCER
美容師
中西鉄郎さん
TETSURO NAKANISHI
都内の有名サロンでの勤務を経て、2020年からフリーランスに転身。剃刀(かみそり)を使ったレザーカットが得意。
もっと切りたい、をかなえる
ためにフリーランスに!
美容師として働く兄の影響を受け、同じ道を志した中西さん。美容専門学校を卒業と同時に上京し、東京のヘアサロンで働き始めた。
「高校生の頃からファッション誌やヘアカタログが大好きで、そんな誌面に写るキラキラした世界に憧れがあって。だから働くのは雑誌掲載のあるヘアサロンと決めていました。そうしてスタートした美容師人生。アシスタントとして先輩のヘルプについて一生懸命働き、営業時間の前後でカラーやパーマ、カットの練習、そして空き時間には街で声かけをしてモデルハントの日々……もうがむしゃらでしたね(笑)。大変だったけど、その間には念願だった雑誌の仕事へ同行することもでき、楽しく働けていました」
そんな下積み時代を6年ほど経て、中西さんはヘアスタイリストとしてデビュー。しかし、それから集客の難しさを実感したそう。
「髪を任せてもらえるようになったから終わりではなく、そこからは自分の指名を増やさねばなりません。これまでの地道なモデルハントや友達の紹介など、徐々にお客様の数も増えてきたのですが、まだまだという感じでした。指名なしでお店を予約してくれるお客様も多かったのですが、サロンの規模が大きいからこそ、先輩たちの層が厚く、なかなか自分に入客のチャンスが回ってくることがなかったんですよね。技術に自信があった分、それを生かすチャンスが少ないことがもったいなく感じてしまい、お店を移るという選択肢が自分の中に出てくるようになり、フリーランスで働くことを決めました」
技術があれば必ず
指名をもらえるように
正規雇用の美容師から、業務委託契約のフリーランス美容師へと転身し、働き方から売り上げまで、180度変わったという中西さん。その内情を具体的に教えてもらった。
「僕らのようなフリーランスの美容師は、会社に所属しているわけではなく、あくまでお店との業務委託契約。お店に髪を切る場所を提供していただき、僕らの売り上げの中から場所の使用料を支払うというイメージが伝わりやすいかと思います。そして僕が今働くAgu hair benjiは、集客のシステムにも力を入れていて。SEO対策をしたうえで、ホットペッパーなどのウェブ予約フォームをしっかり稼働させています。毎日一定数の新規予約が入るんです。だから現場で髪を切る僕たちは、目の前のお客様に集中することができる。その結果、次回以降の予約につながるんです。もちろんそこには広告費がかかっているけど、美容師にとって一番の課題ともいえる集客を、店側がサポートしてくれるのはありがたいですね。宣伝広告費はみんなの売り上げから出し合っているから、それぞれの持ち出しは少しなのもうれしいポイントです」
ストレスなく働くことができる環境のおかげか、時間の使い方にも余裕ができてきたという。それに伴ったうれしい弊害も?
「フリーランスとして働く以前は、スケジュールの決定権は常にお店側にありました。しかし今は、働く時間や休みを自由に設定できるので、プライベートにかけられる時間が増え、仕事と個人の時間にいいメリハリが生まれた気がします。働きやすい環境が整いすぎた結果、仕事の楽しさと相まって働きすぎてしまう問題も出てきました。その結果、去年の大みそかからお正月にかけても髪を切っていましたね(笑)」
Photos:Norito Ohazama Composition & Text:Kanta Hisajima
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