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お笑い芸人としてだけでなく、独特の視点とセンスで詠む短歌と俳句が話題の、フルーツポンチの村上健志さんの連載。メンズノンノWEBでしか読めない、季節感あふれる“恋”にまつわる俳句とエッセイ、そしてイラストを隔週でお届けします! 第30回はそばに居るからこそ知ることができる特権について。
知らなくてもいいことを知ることができるのは喜びだと思う。 身長、体重、生年月日、血液型、趣味なんていうプロフィールに書くような情報ではなく。なんかもっと些細な情報というか、情報とも呼べない、本人も気づいていないような、他愛もない、知ってしまったらこちらが辛くなるとかの知らなくていいとかじゃなくて、なんかとってもくだらない何か。
かつて好きだった人の星座は覚えてないが、枝豆の食べ方は覚えている。枝豆のさやを口に直接くっつけて豆を食べるのではなく、一度左の手のひらの上に豆を出し、右手で豆を摘んで口に入れる。教えてもらったのではなく、よく目にするからすっかり覚えてしまったその人の特徴。全然 読み進まなくて栞の位置がほとんど変わらない本がバックに入っていて、店員さんが下げようとする食器に大葉が残っていたら必ず取って食べる。カラオケは恥ずかしいとあまり歌いたがらないのに鼻歌はすぐに歌う。その人がプロフィールに書かないどうでもいいことを知れたのは、きっ とそばにいた人の特権なんだと思う。
★Profile/1980年生まれ。茨城県出身。お笑いコンビ”フルーツポンチ”のボケ担当。TV『プレバト!!』(MBS系・毎週木19:00~)での大健闘が話題に。また、情報サイト『好書好日』の連載をまとめた『フルーツポンチ村上健志の俳句修業』(春陽堂書店)も好評発売中。インスタのアカウントは@mura_kami_kenji,
だが、センスが炸裂するイラストのアカウント@kenji_mura_oekaki,@birthdaychairもぜひフォローを。自身のYouTubeチャンネル『フルーツポンチ村上の俳句の部屋』での俳句実況もチェック!
Haiku & text & illustration : Kenji Murakami
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