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「タライにお湯をためて入ってた」ランジャタイ、予測不能で破天荒なコンビに聞く“人生を楽しむ秘けつ”とは!?

「タライにお湯をためて入ってた」ランジャタイ、予測不能で破天荒なコンビに聞く“人生を楽しむ秘けつ”とは!?

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昨年の「M-1グランプリ」決勝戦で強烈なインパクトを放ったお笑いコンビ・ランジャタイが、メンズノンノに初登場! 斬新かつ奇想天外な漫才を次々と生み出し、新時代の「天才芸人」と称される彼ら。しかし下積み時代は長く、NSC(吉本総合芸能学院)退学や所属事務所を転々とするなど紆余(うよ)曲折を経験してきた。

2回にわたってお届けするスペシャル企画の前編は、たくましく芸を極めながらコンビ結成15年を迎えたふたりのロングインタビュー。芸人をめざしたきっかけに始まり、下積み時代の思い出、人生哲学、さらにラストイヤーとなる今年の「M-1グランプリ」で披露するネタまで!? 深い絆を感じさせる掛け合いとともに、たっぷりと語ってくれた。

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就活で全滅。お笑いはいちばん
簡単で手っ取り早い選択だった

――コンビを結成した2007年から欠かさず参戦してきた「M-1グランプリ」。昨年ついに決勝戦初進出を果たし、生活は変化しましたか?

国崎 正直、こんなに変わるのかとびっくりしました。

伊藤 環境ががらっと変わりましたね。「M-1」の威力は尋常じゃないです。決勝戦に出るだけで、普通の番組100本よりも影響力がある。

国崎 おかげでバイトも辞められましたし。人生最大にラッキーでしたね。

伊藤 間違いなく最高のラッキー。

国崎 ふざけて人を笑わせながら生きられるんですよ。芸人になってよかったです。

――NSC東京校の同期として出会ったおふたり。芸人をめざしたきっかけを教えてください。

国崎 僕は工業高校出身で、卒業とともに就職するはずだったんですよ。9社くらい立て続けに落ちたら、焦った先生に、大卒の資格必須の会社も受けろと言われて。“高校生だよね?”と聞かれては落とされるのを繰り返し、結果、全滅でした。

伊藤 就職する気はあったんだ?

国崎 何も考えてなかったね。周りのみんなが就職してるし、俺もしちゃおっかな!ってテンションで、流行りに乗っかる感覚。でもうまいこと転がっていきますね、人って。就活が全部ダメで、もういいや! となってNSCに入ったわけですから。


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――就職活動がうまくいかなかった当時は不安でしたか?

国崎 不安はまったくなかったですね。このまま落ち続ければ働かなくてすむぞ! という思考で就活してたんで、自分でも意味不明。当時はとにかく“いかに働かずに生きていけるか”ということばかり考えてました。

伊藤 芸人になってよかったね。

国崎 本当にね。お笑いは得意だったし、いちばん簡単で手っ取り早い選択だったんですよ。バカな脳みそですけど。地元の友達に「クニちゃんならいけるよ!」ってすすめられるがままに、NSCに入りました。

――伊藤さんは、大学を中退してNSCに入られたんですよね。

国崎 伊藤こそ、最初からお笑い芸人をめざしてたのに、大学を経由したのが謎。あ、キャンパスライフを楽しみたかったんだっけ?

伊藤 どんなものかな、と気になっちゃって。大学生活って、すごく楽しそうなイメージがあったんですよ。結局、友達もできずに終わりましたけど。

国崎 中退するときに悩んだ?

伊藤 当時は悩んだかもね。でもお笑いは絶対にやると決めてたから、割とスパッと決めた気がします。なるようになるだろう、と。

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なんだかんだ楽しかった下積み期。
今戻れと言われたら、キツいけど

――NSCで出会ったときの、お互いの第一印象は覚えていますか?

伊藤 最初から、面白いなと思っていましたね。詳しい理由は覚えていませんが。

国崎 友達がいなかったよね、お互いに。面白いと感じるコンビが同じで、意気投合した気がする。ダウンタウンさん、笑い飯さんとか。

伊藤 確かに、笑いのツボが似てたね。

国崎 人がスベると笑うんですよ、僕ら。それが印象的だった。

――入学からわずか3か月ほどでNSCを退学になった伊藤さんの後を追い、国崎さんが自主退学したとか。

国崎 もともと出席日数が足りてなくて、僕もクビ同然でした。ダンスの授業しか出てなかったんで。

伊藤 しんどかったよね。ふたりとも合わなかった。

国崎 そうそう、だから焦りもしなかった。むしろ、解放された!って感じでした。

伊藤 いろいろあったけど、ずっと、いつかは売れると思ってましたね。確信めいた予感というか。

国崎 周りも言ってくれてたしね。にゃんこスターのスーパー3助さん、THE GEESEの尾関さんとかさ。

伊藤 もっと他にも言ってくれてたけどね。なんでそのふたり?

国崎 芸人に言われるとうれしいし、なんだかんだ楽しかったですよ毎日。


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――当時の生活で、どんなことが印象に残っていますか?

国崎 とにかくお金がなかった。……ちゃんと思い返すと大変でしたね(笑)。

伊藤 そうね。

国崎 10年間住んだ部屋は、お風呂がなかったし。実家から持ってきた、でかいタライにお湯をためて入ってました。

伊藤 今、あの時代に戻れって言われたら確かにキツい。

国崎 ワンルームのど真ん中でタライにつかってたら、郵便局の人が来て全裸を見られたり(笑)。感覚がマヒしてましたね、当時は。

伊藤 でも本当につらかったら辞めてるだろうから。結局、楽しんでたってことだね。

人生は、なるようになる。
期待せずに生きています

――何事も楽しめる姿勢がすてきです。

伊藤 “なるようになる”と思っていれば、なんでも楽しめますよ。楽しさも幸せも人それぞれですから。他人と比べずに、自分が楽しいと感じたらそれでよし、と割り切ることが大事だと思います。

国崎 なるようにならないことも、あるけどね。期待しすぎないことじゃない? 以前、地元のローカル誌の取材で“受験生にエールをください”と言われて、「落ちるときは落ちます」って宣言したんですよ。どうしようもないこと、うまくいかないこと、いっぱいありますから。

伊藤 落ちたとて、だと思うけど。あとあと振り返って、落ちて正解だったってこともあるでしょ。

国崎 ないよ。そんなタラレバ信じちゃダメ。

伊藤 読んでる人に絶望を与えたいの?

国崎 絶望を感じることもある、ってことですよ。そんなもんです、人生なんて。

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――おふたりは絶望を感じた経験、ありますか?

国崎 ないと思います。今のところ。

伊藤 そもそも期待してないですからね。

国崎 それ、さっき言いました僕が。

伊藤 あなたが言ったことを改めて説明してるの。パクったわけじゃないから。

国崎 パクったでしょ?

伊藤 人生に期待してないから、僕たちはこんな感じでやってこられたんですよ。

国崎 伊藤がパクったって、ちゃんと書いてくださいね! まぁ結論、なるようにしかならないんですよ、人生は。

伊藤 ……。

――(笑)。30代半ばにして、すでに達観していますね。

伊藤 期待しないと、全部がラッキーに感じますから。

国崎 それは本当。僕なんて、この時代に生まれたところから最高にラッキーだと思いますもん。

伊藤 なんでも許される、いい時代だよね。選択肢がたくさんあって。

国崎 戦国時代に生まれてたら、もっと大変でしたよ。さらに言えば、ジュラ紀だったら恐竜に食べられて終わりですからね。お笑いどころじゃない。


ランジャタイ ジャンプする国崎さん

来世の生き方を選べるなら
ミュージシャンになりたい

――生まれ変わっても、同じ人生を歩みたいと思いますか?

国崎 僕は全然違う人生がいいですね。

伊藤 どんな?

国崎 ロックスター。

伊藤 それは僕もなりたいです。

国崎 音楽で活躍する人は憧れますね。お笑いとは、観客の母数が違いますから。国境を越えるし。

伊藤 かっこいいよね。

国崎 僕らなんて、国境どころか県境も越えられない。東京の中野あたりでいちばんウケて、離れれば離れるほどスベるんで。

伊藤 僕は、この人生の果てにたどり着いてみないとわからないです。今の段階では、なんとも言えない。

国崎 めちゃめちゃ不幸になってるかもしれないしね。

伊藤 そのときも、きっと今と同じように“人生なんてそんなもんだ”って言ってるんでしょうね。

――なんだか哲学的です。

伊藤 極論ですが、死ぬまで生きることが人生だと思ってるんで。色紙にメッセージを求められると、必ず“死ぬまで生きる”と書いてますし。

国崎 えっ? 俺が10年前から書いてるやつじゃん。

伊藤 これはマジでパクってないから。

国崎 今年、七夕の短冊にも書いたし。また影響受けちゃったね、俺の。

伊藤 僕は七夕の前から言ってます。

国崎 もう立派な国崎チルドレンだね。

伊藤 違うから。

国崎 あ、国崎直撃世代か!

――笑いのツボから人生哲学まで合致しているとは!

国崎 色紙の話で、ふと思い出したんですけど。伊藤のお母さんが亡くなったときに、僕らのサイン色紙を棺(ひつぎ)に入れたんです。あのとき俺、なんて書いたっけ?

伊藤 なんだっけな……。あ、“激ヤバ”だ。

国崎 “激ヤバ”だ! 棺に入れるとき、伊藤の親父が必死に笑いをこらえてたよね。

伊藤 そんなこともあったね。

国崎 要は、何が言いたいかと言うと、”生きてるだけで丸もうけ”ってことですよ。

伊藤 (明石家)さんまさんの?

国崎 さんまさんも同じこと言ってるの?

伊藤 いや、さんまさんが元祖だから。

国崎 国崎チルドレン、着々と増えてるなぁ。


「M-1」ラストイヤーも変わらず
僕らがやりたいことで攻めます

――コンビ結成15年の絆を感じます。今年はついに、「M-1グランプリ」ラストイヤーですね。

国崎 もうラストか、という気持ちです。いまだに実感がない。

伊藤 あっという間だったね。

国崎 周りからは、「出るんですか?」って聞かれますが。今年は出ないと思われてるみたいです。

ランジャタイ 芸人 インタビュー バンザイする国崎さん ポージング

――どうしてですか?

国崎 去年の僕らのネタは、失格に値するそうです(笑)。もちろん出ますけどね!

伊藤 ラストイヤーもこれまでどおり、僕らのやりたいことをやるつもりです。

国崎 許されるなら、去年と同じネタで勝負したいですね。

伊藤 許されません。

国崎 そうかな? 面白いじゃん。

伊藤 面白くありません。

――最後に、メンズノンノ読者に向けてメッセージをお願いします。

国崎 同じ時代を生きる皆さん。ぜひ、「THE W」での僕らの雄姿を見てください。

伊藤 出ないし、出られません。

国崎 告知くらいはしておかないと。『A-Studio+』もよろしくお願いします。

伊藤 出たことないですけど……。

国崎 せっかくのメンズノンノだよ。何か言ってください。

伊藤 我々とともに生きていきましょう。死ぬまで生きましょう。

国崎 余計なお世話じゃない? お前誰だよ、みたいな。

伊藤 みんな好きなように生きましょう。なるようになりますから。

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ランジャタイ

伊藤幸司(いとう こうじ/写真左)1985年11月18日生まれ、鳥取県出身。国崎和也(くにざき かずや/写真右)1987年9月3日生まれ、富山県出身。2006年にNSC東京校12期の同期として出会い、翌年コンビを結成。唯一無二の芸風を誇り、『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「この若手知ってんのか!? 2017」にて、「天才と一目置かれている芸人」部門1位に選ばれる。「M-1グランプリ」に結成時から毎年欠かさず出場し、2021年に決勝戦初進出を果たす。ライブやテレビ、ラジオなどで活躍中。
事務所公式サイト:https://grapecom.jp/talent_writer/ranjyatai/


■国崎さん
ジャケット¥214,500・パンツ¥99,000(ともにボーディ)/ファイ[MAIL:faye.eyaf.yona@gmail.com] シャツ(ボーディ)¥74,800/メイデンズショップ[TEL:03-5410-6686] その他/スタイリスト私物

■伊藤さん
パジャマ[上下セットで]¥8,690・ガウン¥9,240(ともにエル・エル・ビーン)/エル・エル・ビーン カスタマーサービスセンター[TEL:0422-79-9131] その他/スタイリスト私物

Photos:Sakai De Jun Hair & Make-up:MIHO EMORI[KiKi] Stylist:So Matsukawa Composition & Text:Ayano Nakanishi

中西彩乃

中西彩乃

ライター

インタビューやヒューマンテーマを主に担当。海外ドラマ、東南アジア、セレブのゴシップ、占いをこよなく好む。

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