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俳句とイラストで綴る恋の風景【フルーツポンチ村上健志の17音のラブストーリーズ】Vol.14

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お笑い芸人としてだけでなく、独特の視点とセンスで詠む短歌と俳句が話題の、フルーツポンチの村上健志さんの連載。メンズノンノWEBでしか読めない、季節感あふれる”恋”にまつわる俳句とエピソードが秀逸すぎるエッセイ、そしてイラストを隔週でお届けします! 今回は、2月に入るとみんながソワソワする、ソワソワできることすら幸せなあのイベントについて。

「バレンタインデーにチョコを贈るのって日本だけなんだよ。チョコ会社が作ったルールらしくて、企業の戦略に躍らされてるんだよ!」という雑学を何度披露されてきただろうか。その度に「へー」と大人のマナーとして初めて聞いたようなリアクションをしてきた。好きな相手の条件を三つ言わせて、もう一つ挙げるとしたら?と四つ目の条件を新たに質問し最後にあげたその条件があなたの本当に大切な条件です。それが深層心理です。という心理テストもなかなかのうんざりランキング上位だ。

まあ由緒は置いといて、チョコレートをあげる日って洒落ていると思う。バレンタインデーの醍醐味といえば、やはり貰えるか貰えないか分からないあのドキドキだろう。女性からすれば、渡そうか渡さないかのドキドキかもしれない。学生時代の学校全体がソワソワしているあの日は、特別に輝いている。イベントごとの中で平日の方が盛り上がるなんてのも珍しい。自分には、ザ・バレンタインデーの学生時代の思い出は残念ながらない。「勘違いしないでよね。これ義理チョ
コだかんね!」とぶっきらぼうに渡されたチョコが本当は本命だったという思い出がどこかに売っていたら、そこそこお金を払ってもいい。華やかな学生時代の思い出はないが、チョコをもらえるはずもないイケてない学生だった自分も、もしかしたらとそわついたあの気持ちは良い思い出だ。

バレンタインに熱狂しているわけではない。けれどバレンタインデー近くに食事に行った女性から、「あんまり甘いの苦手かもなと思って、、」とつまみになりそうなお菓子と「でも、一応」と小さなチョコをもらった時は嬉しかった。僕といない時に僕のことを考えてくれた時間があったなんて最高じゃないか。ありがとうバレンタインデー。
その人とは付き合えるようにはならなかったけれど、、、それでもありがとう。
勘違いさせてくれてありがとうハートのチョコレート。


★Profile/1980年生まれ。茨城県出身。お笑いコンビ”フルーツポンチ”のボケ担当。TV『プレバト!!』(MBS系・毎週木19:00~)での奮闘ぶりが話題に。また、情報サイト『好書好日』の連載をまとめた『フルーツポンチ村上健志の俳句修業』(春陽堂書店)も好評発売中。自身のYouTubeチャンネル『フルーツポンチ村上の俳句の部屋』での俳句実況もチェックを!

Haiku & text & illustration : Kenji Murakami

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