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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
今回の服好きゲストは、BEAMSでプレスを務める丸 海都さん。
1.〈Cartier〉のマストタンク
「25歳の節目の誕生日に、中野のジャックロードで買ったカルティエの『マストタンク』です。その頃は、ビームスの先輩たちのあいだでロレックスブームみたいなのがきてて、ロレックスも気になっていたのですが、自分は線も細いし、キャラ的なことも考えて、カルティエにしました」
「もちろん18Kの『タンクルイ』も欲しかったんですけど、値段は3倍くらいするし、とりあえず最初のカルティエとしてこれに決めました。ヴェルメイユでちょっとずつ剥げてくるのも、なんだかアジがあっていいなと思っています」
「クオーツを使うひとの方が多いと思うんですけど、個人的なこだわりで、手巻きを選びました。ただ、実際は巻くのが面倒で、時間は止まったまま。アンディ・ウォーホルみたいにアクセサリー感覚で着けて、時間はスマホでチェックしています(笑)」
「いまは若いひとってあまり腕時計をしないですけど、やっぱり社会人の身だしなみとして、自分は着けていたい。仕事柄、会食でも古着を着ていたりするので、手元にこういうのがあるとちょっとキチンとした印象を与えてくれるというか。カジュアルにもドレスにも使えるデザインは、さすがジュエリーブランドだなって。『アクセ感覚で着ける』っていうのも、あながち間違っていないのかもしれません」
2.〈GUIDI〉のジップアップブーツ
「時計もしかりですが、自分の父は、車だったり靴だったり、わりとオトコ臭い趣味のものが好きなんです。自分が中高生のときなんかは、よくそんな父のクローゼットから洋服を借りて着ていたりして、時計や靴や、レザーやデニムといった育てる系のアイテムなんかが好きなのは、父の影響が少なからずあるかもしれません」
「グイディは、ビームスで学生バイトしていた頃から憧れで、でも当時は金額的に手が出なかったので、新卒入社して1回目のボーナスが出たときにやっと手に入れて。これもやっぱり先輩たちがみんな履いてましたね。革靴ならオールデンなんかももちろんあるけど、そこも、やっぱり自分のキャラを考えるとちょっとオトコ臭すぎると思って、グイディにしたんです」
「以来、本当に気に入っていて、もう何年も、よく履いてます。うちのスタッフは裏貼りしない派が多いんですが、自分はソールが減るのがイヤで、最初から薄く貼って履いています。とはいえ大事に履きすぎてピカピカなのもイヤなので、ケアはブラッシングをかける程度にして、ラフに履いています」
「グイディを履いたことがある人はわかると思いますが、履き心地は、まるでスニーカーみたいで。履きはじめから靴擦れしないし、ぜんぜん疲れない。あと、ヒールが高いので、履くと身長が180cm越えるのも、気分がいいんです(笑)」
3.〈A.PRESSE〉のウールブルゾン
「ビームスに入社する前後は、どちらかというとトレンドを追いかけて、柄物や今っぽいシルエットの洋服を選ぶことが多かったのですが、だんだん、そういうものはワンシーズン着て飽きてしまうようになって。ここ最近は、できるだけ良いものを見つけて長く着る、みたいな方向に自分がシフトしている気がします」
「大きなきっかけは、コモリが出している定番のフットボールT。入社後に配属された六本木ヒルズ店で買ったのが最初で、普通なのに、着るとドレープが綺麗で、首の空き具合もめちゃくちゃいい。すごく気に入って、すぐに2色目を買い、それからもたまに買い足しています」
「そういう意味では、今季の展示会で買ったアプレッセのこのブルゾンも、シンプルで質がよくて、長く着ることになりそうな1着。デザイナーの重松さんの『振り向かれない服』っていう考え方も素敵だなと思いますし、実際、上質な素材やシルエットでオシャレな感じに見せるのが、本当に上手なブランドだと思います」
「とくに気に入っているのはシルエットです。ポケット下部にダーツが入っていて、着るとそこが膨らむのですが、短い丈と相まって絶妙なシルエットができあがるんです。あと、アプレッセはルックも毎回格好よくて。ブルゾンの襟からデニムジャケットをチラッと覗かせる今日のスタイリングも、そんなルックを参考にしたものです」
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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