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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
今回の服好きゲストは、フリーランスPRの宮崎翔太さん。
1.〈JIL SANDER〉のカーコート
「ジル サンダーは、新品・古着問わず10着くらいは持っていて、ラフ(シモンズ)の時期のちょっとソリッドな感じも好きだし、いまのルーク(・メイヤー)の、ストンと綺麗に落ちるボックスシルエットも好きで。そういうのを目指して買うことが多いんです」
「細部の繊細さや、計算されたデザインもすごいですよね。たとえば以前勤めていた会社の社長からもらったナイロンジャケットは、ドローコードがものすごく長くて。でも、それを絞って垂らした状態のバランスがものすごくいいんです。“意味のある無駄”みたいなものを感じます」
「このカーコートは、PRアシスタント時代に古着屋で買ったもの。たぶん2000年代初期あたりの、ミラン(・ヴィクミロビッチ)かラフの時代のやつだと思います。べっ甲のボタンとか、いい具合の経年変化とか、気に入ってずっと着ています。最近かなり太ってしまって、あまりちゃんと着られなくなりましたが、それでも近所のコンビニ行くときとか、短パンと合わせて着たりします。かなりアブナイ感じに見えてると思いますが……(笑)」
「地元の熊本で、兄が昔から洋服屋をやってるんです。その影響もあって、洋服の世界の入り口はストリートカルチャーでした。そこから古着が好きになって、アメカジにどっぷりハマるようになった。このコートは、そんな僕が初めてラグジュアリーブランドに手を出した記念的な1着もであります」
2.〈MIU MIU〉のサングラス
「車に乗るので、サングラスはよく掛けます。基本的に古着を買うことが多くて、20本くらい持ってますね。90年代くらいのカルバン・クラインとかジバンシィがとくに好きです」
「90年代のそうしたサングラスは、小ぶりなラウンド型で、スタイリッシュなものが多い気がして、このミュウミュウの24AWの新作は、そういう意味でも気に入りました」
「かなり最近買ったものですが、ミュウミュウらしくないものを探していました。これはロゴもさりげないし、フレームの上品な感じも、サイズもよかった。べっ甲柄もひと粒ごとが小さめで独立している感じで、ちょっと珍しい感じがして」
「ブランドものだからといってイヤらしくないし、無理せず掛けられる感じ。ただ、買って帰るときのショッパーは、薄ピンクでリボンもついていて……。僕が持つとかなりパパ活感あって、さすがにしんどかったです(笑)」
3.〈DRIES VAN NOTEN〉のカットソー
「これはもう一生着てますね。4、5年前に古着で買ったものですが、定番なので、それからは毎シーズンのように買い足してます」
「ドリス好きのひとは、まず気にしない服だと思います(笑)。たぶんみんな柄物とか、ちょっとゴールドの入ってるアウターとか、そういう繊細なアイテムが好きですよね」
「でも、僕的にはこれこそがドリスの名作。なにがすごいって、どんな身長や体重のひとが着ても、女性が着ても、だれでも似合うんです。そのシルエットデザインが、エグいというか……。身幅とか、肩の落ち具合とか、計算し尽くされているんでしょうね」
「同じモデルを3枚くらい持ってて、どれも黒。特定の洋服を狙って買うとか、あんまり好きじゃないんですけど、こういうのは別ですね。心底気に入ったものはいくつも買っちゃいます。予備って意味もあるし、ときどき気づかずに二度買いしちゃうこともある。笑っちゃいますよね」
Photos: ITCHY Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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