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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
今回の服好きゲストは、フリークス ストアでプレスを務める片岡佑太さん。
1.〈CALMANTHOLOGY〉のジョッパーブーツ
「4年前、あるセレクトショップのポップアップストアで買ったブーツです。カルマンソロジーのことは知ってはいましたが、実物を見たのはそのときが初めて。めちゃくちゃ美しいなと思って、勢いで買っちゃいました」
「それまで、USネイビーのサービスシューズとかサンダースのスリッポンとか、革靴はいくつか持っていましたが、いわゆる本格革靴というとこれが最初で。歩くと、カツンカツンって音がして、なんかゴージャスな感じがして気分がよかったですね。だから、あえてトゥ部分は裏張りしていません」
「当時はアメカジとか、ヒッピーっぽいスタイリングが好きだったんです。よく穿いていた古着のフレアパンツなんかにも、すごくバランスよく合わせられて、それでいて、自分のスタイルがちょっと格上げされたような感覚。いまでも合わせ方はほとんど変わりませんね。デニムやジャージなど、カジュアルなものに合わせるのが好きです」
「アパレルあるあるで、洋服を買いすぎて金欠になることも多かったので、そういうとき、これを売ってお金にしようって考えることもあったんです。たしか8回くらい(笑) でも、どうしてもこの靴だけは手放せませんでした。思いとどまってよかったです」
「こういう思い切った買い物って、若いうちにしておいたほうがいいって改めて思います。とくに革靴は、履いてみないとわからないことが多い。こういう形が足に合うとか、細いものも履いていくうちに意外と馴染んでくるとか、どのブランドが自分に合いやすいとか、早いうちに経験を積んでおくのがいいと思います。若いうちなら勢いで買って失敗しても取り返しがつくし。やっぱり革靴も値上がりしているので、つねに“いまが最安値”みたいなところもありますし」
2.〈HERMES〉の巾着バッグ
「いわゆるメゾンブランドへの憧れみたいなものって、なかったんです。なんか、“照れ”が先行するというか、身の丈に合ってない感じがして。でも、だからこそ気に入っているのが、このエルメスのバッグです」
「ポロションミミルっていう、いまは生産されていないモデルで、僕も古着を買ったんです。ほかにもいろんなカラーがあって、大きさも、もうひと回り大きいモデルもあります」
「休日のちょっとしたお出かけ、みたいなときによく使います。香水、帽子、サングラス、最近買ったカメラ、そういう“一応持っとく系”のものを入れるのにちょうどよくて。ストラップの長さがほどよいので、肩掛けしたり、斜め掛けもギリギリできたり、両手を空けたいときにも便利。適当に首に掛けてもいいですし」
「この手のキャンバスバッグが一生モノになることってあまりないと思いますが、ストラップもパイピングももちろんエルメスの革製ということで折り紙つきですし、なにより、“ぽくなさ”とか、さりげない感じが、とにかく気に入っています」
3.60年代のカーコート
「ここ1年間くらい、パンツのポケットが隠れるくらい着丈の長いトップスがマイブームです。その流れで去年の冬に買ったのが、この古着のカーコート。冬のあいだはほぼ毎日着てたんじゃないかってくらい、気に入っています」
「知人がやっている古着屋で見つけました。ブランドは見たことなくてわからないんですけど、おそらく60年代のものらしいです。やわらかいシープレザーが、着込まれてさらにやわらかくなっていて、迫力がありますよね。サイズがちゃんとデカいのも、めちゃくちゃよくて」
「内側にはボアライニングが付いていて、防寒性もしっかりあります。首元までボタンを閉めて襟を立てれば、完全防備。防寒性の高いレザーアウターってあまりないので、その点でも重宝しています」
「あと、Vゾーンの深さもポイント。パープルやイエローといった差し色のマフラーを巻いたり、Vネックのカシミヤニットをインナーにしたり、ジャケットみたいに解釈して着られるところも気に入っています」
Photos: ITCHY Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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