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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
今回の服好きゲストは、BEAUTY&YOUTHでプレスを務める矢本亮太さん。
1.〈J&M DAVIDSON〉のレザーベルト
「ジェイアンドエムデヴィッドソンのこのベルトは、たしか、4、5年前に六本木のユナイテッドアローズで買ったもの。ベルトって、なんとなく後回しになりがちなアイテムというか、個人的にもそれまではいいものに出会えず、そのときの気分で買っては、短い期間で使い切ってしまうことが多かったんです」
「やっぱり、革製品は“ちょっといいもの”を長く使いたいところですし、そうなるとなおさら、欲しいと思えるものがなかなか見つからなかった」
「そういう意味では、これはものすごくちょうどいいデザインだと思って、即決でした。小さな丸いスタッズは“やりすぎてない”感じで、あまり服装も選ばず使えるし、でも“服好きな人”っぽい感じはあって、タックインしたときや、チラッと見えたときに気分がいい。『それどこの?』って聞かれることも、実際多いですね」
「ネイビーや黒のワントーンコーディネートをすることも多いので、そういうときも、このベルトがほどよくアクセントになります。愛用しているクロムハーツのキーホルダーと組み合わせたときの一体感も気に入っています」
2.〈Hender Scheme〉のトートバッグ
「休みの日は基本手ぶらです。入社して店舗勤務だった頃も荷物はほとんどなかったのですが、1年前にオフィス勤務になってからは、パソコンを持ち歩く必要も出てきて。以前買ってあまり使っていなかったエンダースキーマのバッグを使いはじめたら、思いのほかよくて、いまでは毎日のように使っています」
「もともと荷物は少ないので、いまも、バッグのなかにはパソコンと財布とイヤホンくらい。入れるとしても、サングラスや替えのシャツといった、時季的なもの。バッグを持っていても手は空けておきたいので、いつも肩掛けしています。ショルダーを適当に結んで、コンパクトに持つのがマイ定番」
「エンダースキーマって、なんとなく若いイメージがあって、これまであまり手に取ってきませんでした。でも、これは革が使われている面積も少ないから“いかにも”な感じがしないし、でも使ってみると、革に似た魅力もあって」
「キャンバス地なので、最初の頃はバキッとしていたのですが、どんどんやわらかくなってきて、見た目も使い心地も次第によくなりました。革が一部使われていますが、気にせず、洗濯機で洗ったりしちゃってました。そうやってアジが出ても、不思議と野暮ったく見えないんですよね」
「これもベルトと同じく、服装を選ばないところが魅力だったりします。僕が長く使うのは、そういうものが多い気がしますね」
3.〈visvim〉のコート
「入社直後は、メンズオンリーの店舗に配属されました。それまで洋服屋で働いたことがないなか、服好きたちのなかに突然放り込まれて、『なにかいいものを持っておかないと……』みたいな気持ちになって。それまでは、派手なデザインやわかりやすくオシャレな服が好きでしたが、ビューティー&ユースのシンプルで上品なスタイルのよさにも、だんだんと感化されていきました」
「それで、ちょうどコートを探していた頃、先輩のひとりに相談したところ、『ビズビムがいいんじゃない?』と。それで、6、7年前の当時もらったボーナスを、一気に注ぎ込みました」
「冬物なので、裏には毛が張ってあって、襟元はコーデュロイで切り替えられています。表はダック生地なので風も通しにくいですが、ただ、見た目にはそんなに暑苦しくないので、冬のわりと長い期間着られるんです」
「わかりやすいものが好きな人には、響きにくいブランドではあると思うんです。でも、服好きたちは一目置くブランドだし、だからよかったというか。それなりに長く着ていると、だんだんとよさに気づいてきます。デザインの派手さとかじゃないところの、迫力というか、存在感というか。少しずつアタリが出てきたので、ゆくゆくはリペアなんかしながら、ゆっくり長く着ていきたいと思っています」
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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