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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
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今回の服好きゲストは、ビショップでプレスを務める黒須将大さん。
1.〈ORCIVAL〉のボーダーシャツ
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「人生のベストバイについて考えてみたとき、『メンズノンノ』の若い読者たちにもぜひ持っておいてほしいなって思ったのが、コレでした。僕はビショップに入社してすぐに買ったので、5、6年着ていることになるのですが、“売り”でもあるタフさを実感しています。まだまだ着られそうですね」
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「クレイジーパターンとかシーズンカラーとか、いろいろ出ているシリーズで、僕もいくつか持っていますが、なんだかんだ選んじゃうのはこの定番タイプ。ちょっとルーズな方がいいなと思って、一番大きいメンズXLサイズを買いました」
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「古着のデニムに合わせてもいいし、スラックスでもいいし。ジャケットのインナーでも、このシャツがメインになるような着こなしも楽しいです。とくにビショップの諸先輩方を見ていると、『こう着ちゃうんだ!』みたいな面白い取り入れ方をしています。『こう着ると今っぽいかな?』とか自分でもいろいろ考えながら、そうやってどんどん自分の正解も見えてくるというか。定番ゆえに気恥ずかしいときは、腰に巻いたっていいですし。腕が試されるし、定番こそ、ひととなりが出ると思うんです」
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「着なくなる時期もあるし、でも、それでいいかって思えるし、ふとまた着たくなる。そういうのが、定番が定番であるゆえんっていうか。だからこそ、いくつになっても着られるんだと思います」
2.〈ALDEN〉のプレーントゥ
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「20歳くらいのとき、当時働いていたセレクトショップで買った、ショップ別注のオールデン。初めて買った本格革靴です。僕は当時カジュアルフロアの担当だったんですけど、ドレスの先輩方がみんなカッコよく履いているのを見て、憧れていました」
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「10年前の当時は、ショップの店頭にはほとんど在庫がないような時期でした。僕は足のサイズも小さいからなおさらだったんですけど、あるときちょうどマイサイズが残っていて、『黒ちゃんも行っときなよ』って先輩に言われて買ってみたんです」
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「当時の僕にはかなり大きな買い物でしたね。いまと比べるとかなり安かったとはいえ、それでも10万円くらいはしたので。でも、だからといって別にコーディネートは適当でいいというか、アメリカのブランドらしい気軽さがあって。バーガンディを選んだのも、デニムとかチノパンに合わせるのが自分のキャラにも合っていると思ったから」
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「といっても、普段はほとんどスニーカーしか履かないんですよ。ただ、スニーカーしか持っていない、だと年齢的にもちょっとボキャブラリーがなさすぎるというか。とりあえず持っておけば、いつでも履けますし。そういう意味では、オーシバルのボーダーシャツにも似ているかもしれません」
3.〈FANNI LEMMERMAYER〉のカーディガン
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「ビショップに入社して3年経ったくらいの頃に買ったもので、ブランドのアイコンでもあるこのマルチカラーは、最初見たときは『こんな派手なカーディガンは着ないな』って思ったんです。でもこれも、社内の先輩方が着ていたりとか、いろんな雑誌やウェブメディアで紹介されているのを見かけたりとかして、気にはなっていて」
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「先輩の女性に、『黒須、たぶん似合うよ』ってさらっと言われて、いやいやいや!と思いながらも手に取ってみたんです。いざ着てみると、当時からたくさん持っていたデニムなんかにも相性がよかったし、インナー次第でトレンド関係なく着られるし、本当に買ってよかったなって。この間同じ企画に登場していたランディの相川くんとかは、あるときグレーのスウェットを着てこれを腰に巻いてたりして、そういう着こなしも、レマメイヤーだからこそ成立するんだろうなって思います」
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「オーシバルにもオールデンにも共通することですが、やっぱり先人の言うことは聞くべきっていうか(笑)。いろんな声を取り入れつつ、それを踏まえていかに自分らしく着るか。そういうのも洋服の楽しさだって気づくことができた、人生のベストバイです」
Photos: Taiki Kasuga Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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