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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
今回の服好きゲストは、ランディのデザイナー・相川 龍之介さん。
1.〈LEVI’S®︎〉の501
「20代前半の頃に古着屋で見つけたリーバイス®︎の501®︎です。ブラックデニムのうえからブラックの顔料をコーティングしてある、ちょっと珍しいもの。ほかにも水色とかオレンジなどがあるみたいで、仲のいい古着屋の友達に、買い付けのときに見つけたら買ってきてもらうよう頼んだりしているんですけど、ぜんぜん出ないみたいで」
「買った当時は、ほぼデッドの状態で、1万円くらい。もちろん年代はそんなに古いものではないのですが、いま考えると破格ですよね。ちょっとデカいので、ベルトで絞って穿いています。かなりしっかり穿いて、洗ってを繰り返してきたので、一部破れてしまっていたり、タグももうボロボロだったり、雑なイイ味が出ています」
「『王道だけどちょっと変わってる』みたいな古着が、昔から大好きなので、これはズバリです。デザインの参考にしようとか、買い物のときはまったく考えませんが、『あのとき何も思っていなかったけど、いま、いいかも』みたいな洋服もたまにあったりして、こういうコーティング加工は、まさにいま気分で。自分のブランドでも挑戦してみようかなと思っているところなんです」
2.〈POLO RALPH LAUREN〉のフードパーカ
「人生のベストバイっていうと、古着ならヴィンテージとか、そういうイメージがありますよね。でも、僕はいわゆるヴィンテージには、ぜんぜん興味がなくて。持っているのはレギュラーばかりで、それも、見た目のインパクトやノリだけで買うこともかなり多い」
「これ、ラルフ ローレンなんですよ。見た目だけでは絶対わからないと思います。最近一番よく行っているキオスク シーシーで、可愛いなと思って買ったもの。古着といっても、ぜんぜん古くないんです。形もわりと普通で、たぶん2000年代のアジア企画。もしかしたら日本の企画かもしれません」
「でもプリントデザインは、ラルフ ローレン史上一番ポップじゃないですか? しかも意外と凝っていて、たぶん版で刷ってあるんだと思うのですが、このかすれた風合いとか、大企業だからこそできる系の加工だなって思います」
「たとえばリーバイス®︎の2ndのGジャンとか、そういうのって、すぐ誰かに売ったりあげたりしちゃうんです。手元に残るのは、こういう市場的には評価されなさそうな古着ばかり。むしろそういうもののほうが、二度と巡り合えないかもって思いますし、だから意外と手放さず、大事にしていたりします」
3.昭和時代の巾着ポーチ
「これはもっとも最近買ったベストバイ。高円寺にオープンしたばかりの古着屋・ドマ_ビルディングで買いました。洋服以外に、国内外の雑貨や民藝も取り扱われていて、これは昭和の頃におもちゃ屋さんをやっていたどこかのおじいちゃんから仕入れたもので、詳細はほとんどわからないそうです」
「ちょっと不思議なつくりで、口の部分に輪っかがあって、そこに紐をクロスして通してあるだけ。シンプルだけど、理にかなっています。裏地もあるので意外としっかりしていて、僕はタバコ、財布、鍵なんかを入れて使っています」
「初めてドマに行ったときに、『まずはこれ買います』って、即決でした(笑) 3,000円でしたが、それが高いのか安いのかもわからないまま、でも、かなり気分が上がった買い物だったのは間違いなくて。きっとずっと取っておくだろうっていう、予想も込めて選んだベストバイです」
Photos: Taiki Kasuga Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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