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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!
今回の服好きゲストは、スタジオファブワーク/エンケルでプレスを務める西澤祐哉さん。
1.US ARMYのオールインワン
「仕事で、器や家具、雑貨など、洋服以外のライフスタイルアイテムに触れる機会が増えたからか、最近は洋服の選び方が変わってきたように感じています。『長く使ったときにどう見えるか』、そういうことを考えながら買い物することが増えました」
「そんななか、この70年代頃のアメリカ陸軍のオールインワンは、経年ですでにカッコよく仕上がっている状態で手に入れたもの。下北沢の古着屋、ロマド・ロマンで買いました」
「上半身部分は腰に巻いて、パンツとして穿くことがほとんどです。ラフに巻いてもいいんですが、ちょっとキレイに見せたいときは、下にベルトを噛ませたりもします」
「こうした迫力のある古着は、新品の洋服を買うときにもひとつの基準になるような気がします。『こういう表情になったらいいな』という見本になったり。着込んだときにどこにどういうアタリが出るか、どれくらいやわらかくなっていくのか、など、想像がつきやすくなりました」
2.〈TEMBEA〉のバックパック
「これはテンベアが6年くらい前から定番で展開しているバックパックで、学生だったころに買ったものです。キャンバス生地ってほっこりしたイメージが強いのですが、テンベアのキャンバスアイテムは、すごくモダンに見える。テンベアらしい穏やかさと緊張感のこの絶妙なバランスに惹かれました」
「両手を空けておきたいので、基本的にいつもバックパックです。でもこれに出会ってからは、本当に毎日のように背負っていて。見てわかるとおり、元の色がわからないくらい褪せてしまいました(笑)。かろうじて背中あたりに元の色が残っていますが、たしか、最初から少しフェードしたグレーでしたね。ショルダーの根元は一度ちぎれましたが、お直しに出して元通りに。そうやって長く使うほど、捨てられないですね」
「最初はかなりハリコシが強く、正直、使うのが億劫なほどでした。でも、使っているうちにすごくしなやかになって、自分の体にも馴染んできて。レザーみたいな感覚というか。モノを育てる、という感覚に喜びを覚えた最初のアイテムだったと思います。一度新しいのを買ったことがあるのですが、結局、こちらを背負っちゃうんですよね(笑)」
3.〈swatch〉の腕時計
「つい最近、代官山のアーツ&サイエンスにふらっと立ち寄ったとき買った腕時計。器や香水といったものが並んだガラスショーケースのなかに、この8,000円の腕時計が並んでいるのが意外で、なんだか、すごく惹かれてしまったんです」
「腕時計が欲しいなと思って、いろいろ探していた時期ではありました。ヴィンテージのロレックスといった高級時計も見ていましたが、しっくりくるものがなかなか無くて。そんなとき、むしろ、この“ザ・シンプル”という雰囲気が刺さった」
「チープな感じもするのに、高級感がないわけじゃない。そして、つけたときのフィット感は抜群で、薄さも軽さもものすごく気持ちよかったんです。チープカシオなどと比べても、これはもう少しシャープな印象で、真に削ぎ落とされたミニマルさが魅力です」
「たとえば文字盤の数字の書体が素敵だったり、針が蓄光仕様だったり。“絶対に必要なものだけが残った”というデザインに惹かれました。裏蓋もカッコよくて、自分で電池交換できるので、本当に長く使えそうです。“美”は、装飾的なものからだけでなく、機能や余白から生まれることもあるんだなぁと、実感しました」
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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