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僕らの永久定番アウターである「ザ・ノース・フェイス」のヌプシ、「アルファ インダストリーズ」のMA-1、「ラベンハム」のキルティングアウターの歴史をわかりやすく簡単にまとめてみた。いつの時代も愛される老舗ブランドの名品の歴史を秒でチェック!
老舗ブランドの「永久定番アウター」の
歴史まとめ
1.アルファ インダストリーズ / MA-1
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ジャケット¥26,400/アルファ インダストリーズ
グローバル展開の「コアスペック」。
米軍フライトジャケットMA-1は
アルファ社によって進化
MA-1は1950年代中期に登場したアメリカ軍のフライトジャケット。セージグリーンの中綿入りナイロンブルゾンで、左袖のファスナーポケットが象徴的だ。アルファ社が設立されたのは1959年。前身のドブス インダストリーズ時代からMA-1の開発・製造に携わり、60年代の半ばには米軍にMA-1を納入する最大の製造会社に成長した。
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ドブス社製のセージグリーン裏地にフロントタブ、ワイヤータブがついた初期型MA-1。
MA-1の初期モデルは裏地も同色だったが、1963年に、非常時に裏返して着ることで救助隊に発見されやすくするためレスキューオレンジに変更された。また70年代初頭には中綿が軽量なポリエステル素材になり、ポケットにフラップがつくように。アルファ社は70年代に入ると軍用だけでなく、一般消費者向けのビジネスにも着手し、MA-1=アルファ社のイメージが定着。英国ではスキンヘッズのユニフォームとして、日本では80年代に映画『トップガン』の影響でMA-1がブレイクし、ストリートの定番アウターとなった。
2.ザ・ノース・フェイス / ヌプシ
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ジャケット(ザ・ノース・フェイス)¥38,500/ゴールドウイン カスタマーサービスセンター
肩の切り替えデザインがヌプシの象徴。
最先端のアウトドアダウンが
ヒップホップカルチャーと共鳴
1966年に米国サンフランシスコで創業したザ・ノース・フェイスは、高品質のグースダウンを使用した寝袋やダウンパーカの原型といわれるシエラパーカでヒットを飛ばし、アウトドアシーンをリードしていた。チベット語で「西の峰」を意味するヌプシは、1992年に“エクスペディションシステム(過酷な気象条件に対応するレイヤリング)”の一環として開発されたダウンジャケットだ。
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ヌプシが発売された1992年のカタログ。黒×黒以外はシーズンカラーで展開されてきた。
ザックを背負ったときに摩耗する肩部分をナイロン生地で切り替えたデザインが印象的なヌプシは、その防寒性で冬は氷点下になるN.Y.のヒップホップクルーに歓迎された。90年代にはウータン・クランのメンバーやナズなどがMVで着用し、ストリートシーンへと進出。2010年代はシュプリームのコラボやカニエ・ウェストなど影響力のあるラッパーやセレブが愛用して人気が再燃。2018年からはリサイクル素材のグリーンダウンを採用するなど、サステナブルな素材にシフトしている。
3.ラベンハム / キルティングアウター
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ジャケット¥52,800/ラベンハム カスタマーサービス
オリジナルはナイロン素材だったが、現在はリサイクルポリエステルを使用。
100%自社工場で作られる信頼の
英国製キルティングアウター
キルティングアウターの代名詞ともいうべきラベンハムは、1969年にロンドン北東部のサフォーク州で創業した。エリザベス女王の女官だったミセス・エリオットが、当時画期的だったナイロンキルティング素材のホース・ブランケットを作ったのがはじまりだ。従来のジュート麻製に比べて機能性に優れた製品は、すぐに英国中に広まる。同素材のジャケットが欲しいという要望に応えて1972年にダイヤモンド・キルティング・ジャケットを発表。乗馬用に作られたが、ファッション性の高さで街中でも着る人が登場した。
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「ラベンハムのすべての製品は1969年以来ずっと、英国サフォーク州で作られている」というパッチが証。格子の縫い目を交差させる独自の縫製方法で、他社の追随を許さない。
90年代にはイタリアでスーツの上にラベンハムというファッションが流行し、日本でもセレクトショップに並ぶように。コーデュロイ衿、フロントドットボタンに2つのパッチポケットというオリジナルを踏襲するジャケットの中でも、ボックスシルエットとゆとりのあるサイズ感で着やすいデンハム。創業から50年以上がたつ今もサフォーク州の自社工場ですべての製品を生産しているのが誇りだ。
Photos:Naoki Seo(still) Composition & Text:Hisami Kotakemori
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