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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でもどの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎月一軒、ディープに紹介。
第2回はバイカーとしてのアクティブな一面も持つメンズノンノモデル岩上隼也が、モードにフォーカスしたシュール・バイ・ライラをレポート!
メゾンもサルトリアも垣根なく
メンズモードのヴィンテージを一堂に!
岩上隼也が選んだシュール・バイ・ライラは、メゾンのヴィンテージを扱うことでおしゃれ通の間では有名なブティック。青山通りの裏手にあるマンションの一室に店を構える。2002年にレディースとメンズのヴィンテージをそろえるライラ・ヴィンテージ(LAILA VINTAGE)としてこの場所でスタート。2014年にレディース部門が独立移転して、ここがシュール・バイ・ライラ(SURR by LAILA)と名前を新たにしてメンズ専門店となった。
「ファッション業界で活躍する友人の紹介で知りました。初めてなのでちょっとドキドキしています」(岩上)。外からはダイレクトに入れず、マンションのエレベーターを利用して入店する。ドアの表札だけで、通りに看板などが出ていないから少しとまどうが、ドアを開けるとそこは別世界。いわゆる“古着屋”というイメージとは違う、洗練された空間が広がる。
オーセンティックな雰囲気が漂う店内
ハイファッションと肩を並べる存在であるヴィンテージの世界を知ってもらいたいという思いがすみずみまで投影されている。「安くてカジュアルな古着ではなく、上質で大人も楽しめるヴィンテージをひとりでも多くの人に知ってほしいというコンセプトです」とショップスタッフの鈴木孝宏さん。
取り扱うのはヨーロッパのヴィンテージ。グッチやドリス ヴァン ノッテン、ヴェルサーチェのようなハイブランドから1990年代のC.P.カンパニーに代表されるイタリアンカジュアルブランド、さらに1910年代のブリティッシュテーラードやワークウエアなど、近代から現代のメンズファッションがなぞらえるような商品構成で他店とは一線を画する。
洋服だけでなくシューズやアクセサリーもコンディションのいい価値あるものだけを厳選。ディスプレイも専門店のように端正で、スタッフのヴィンテージ愛が伝わってくる。ちなみに靴はJ.M.ウエストン、ジョンロブ、エドワード・グリーン、チャーチなどヨーロッパのドレスシューズがメイン。
眼鏡類もカルティエ、オリバーゴールドスミス、カザールなどのヴィンテージで、1960年代くらいのものが多いが、中には博物館クラスの希少なものが並ぶことも。ご覧のように、どの商品もゆったり、見やすく陳列されラグジュアリーなムード。
ヴィンテージのチェスターコートを
着比べた!
まずは今の時期にまだ着たいコートをチェックしていると、スタッフ鈴木さんが岩上の手にしたコートについて解説してくれた。「岩上さんが手にしたコートは上質なボタニーウール(メリノウールの最上級のもの)とカシミヤのミックス素材で1940年代のヴィンテージになります。同じチェスターフィールドコートですと、1910年代に一個人のために仕立てられた正装スタイルのものもおすすめです」(鈴木)
1940年代のボタニーウール×カシミヤのコート¥85,000
中に着た1992年のドリス ヴァン ノッテンのニット¥56,000
ソフトでしっとりとしたタッチ。シルエットやサイズ感も岩上に見事にフィット。「まさに僕が欲しいとイメージしていたコートです! 1940年代のものがどうしてこんなにきれいなんですか?」(岩上)。「私たちは商品をヴィンテージのコレクターから買い付けています。メンズモードの遺産のような貴重なものなので、保管する温度や湿度などの管理はもちろん、専門家がきちとんと手入れをしているものばかりです」(鈴木)
海外ではメゾンのデザイナーがコレクションの着想を得るために、コレクターからヴィンテージを買うというエピソードをよく耳にするが、シュール・バイ・ライラの商品はそのクラスのもの。
1910年代のオーダーメイドチェスターフィールドコート¥97,000
鈴木さんからすすめられた1910年代のチェスターフィールドコートがこちら。「比翼仕立てで上襟がベロアのデザインが正統なデザインとされています。アンティークですが、きょうの岩上さんのようなカジュアルに合わせて着ていただきたい」(鈴木)。「イギリスのテーラードらしいしっかり肩パッド入りのデザインや、生地にも重みがあってすごく上品」(岩上)。
バイクにも乗れる
ショートブルゾンをチェック
ドイツのハインゲリック社の80’sライダースジャケット¥69,000
「僕はバイクに乗るので、ショート丈のブルゾンも欲しいんですが…」と岩上がいうと、鈴木さんが紹介してくれたのが、ドイツのモーターサイクルウエアブランド、ハインゲリック社のライダース。「1900年代初頭のデザインを80年代にリプロダクトしたもので、これはお値打ち品です」(鈴木)。
アメリカンヴィンテージでも希少とされるダブルボタンのデザインはもちろん、胸ポケットの独特なチェーンファスナーや編み込みのエポーレットもスタイリッシュ。「チェーンファスナーは手袋をしたままでも使えるようにという機能なんですよ」(鈴木)。「デザインじゃないんですね! スゴイ」(岩上)。まさに機能美という名品に感動。
1990年代のC.P.カンパニーのブルゾン¥104,000
店内を歩き回って次に岩上が手にしたのがC.P.カンパニーのブラウンダックのブルゾン。フロント部分にレザーをあしらった異素材のコンビネーションが生きるデザインだ。「武骨さのあるブラウンやダック生地に弱いんですよ。似たものを持っているんですが、つい同じものを手に取ってしまう」(岩上)。アメリカ空軍のフライトジャケットがベースになったデザインで、ライニングにはラバーウールというC.P.カンパニーならではの機能素材が特徴。
「サイドアジャスターを絞るとバイクに乗ったとき風が入ってこなくていいんですよね」(岩上)と、後ろ姿も念入りにチェック。まるで着てきたかのように、この日のデニム&ブーツにしっくりとなじむ。
モード感あふれる
メゾンの傑作にも挑戦
1970年代のヴェルサーチェのフリンジブルゾン¥128,000
シュール・バイ・ライラの象徴でもあるメゾンヴィンテージも試着することに。「どうせなら…」と、普段なら手を出さない鮮やかブルーのヴェルサーチェをピックアップ。カジュアルなベルベット素材のブルゾンを金属パーツとフリンジでモードに昇華。「きらびやかな一着ですが、70年代のヴェルサーチェは紳士服としての仕立てのクオリティがとても高いので、コレクターも多いんです」(鈴木)
2004年のグッチのウエスタンシャツ¥200,000
続いてはトム・フォード時代のグッチから、2004年春夏コレクションのランウェイでも紹介されたのレザーウエスタンシャツ。花柄部分はハンドエングレーヴィングによるクラフトとモードを融合させた傑作として、マニアの間でも注目されている。「この襟の大きさが今またいい感じですね」(岩上)。スタッフから年代やコレクションの解説を聞いていると、モードの歴史がなぞれてとても勉強になる。
今のストリートブランドの
元ネタを発見!?
ベストカンパニーの80’sパデッドジャケット¥62,000
90’sスウェット¥32,000
ドレッシーなものだけでなくカジュアルなものにも優品が多い。「シュプリームの元ネタか? みたいなアイテムがありますね」(岩上)とベストカンパニーのカジュアルアイテムをピックアップすると「ベストカンパニーはイタリアのカジュアルウエアブランドで、80~90年代に一世を風靡しています」(鈴木)。80年代後半に注目された“パニナリ(イタリアの若者のユーロブランドをミックスしたアメカジスタイル)”で日本でも脚光を浴びた歴史が。
80’sセルッティ スポーツのニット¥30,000
1999年のドリス ヴァン ノッテンのジーンズ¥43,000
イタリアのスポーツウエア、セルッティ スポーツの80年代のニットはフロントの大胆なV模様がアクセント。「このVラインのニットなんかも、似たようなものを今またけっこう見ますよね」(岩上)。色落ちが美しいドリスの日本製デニムパンツとコーディネートすれば、今っぽいクリーンカジュアルが完成。
オーセンティックな
大人スタイルをマスター
90年代ロロピアーナのウールカシミヤコート¥93,000
1999年秋冬のドリス ヴァン ノッテンのコットンベルベットジャケット¥68,000
50年代のスラックス¥40,000
70年代のJ.M.ウエストンのサイドゴアブーツ¥100,000
最後はスタッフ鈴木さんおすすめの大人の着こなしをご紹介。「メンズモードとオーセンティックなヴィンテージをミックスするのが個人的にも好きで。このコーディネートは、テーラードのコートにスラックス、レザーブーツと正統派の着こなしにドリスのデザインジャケットでアクセントをつけました。スラックスはストライプ、ジャケットでワインレッドを差すなど色や柄も入れて奥行を持たせています」(鈴木)
70’sバレンタインのカシミヤニット¥38,000
50’sデッドストックスラックス¥45,000
鈴木さんが見立てた、素材の良さが引き立つシンプルなコーディネートがこちら。「スコットランドのニットブランド、バレンタインは70年代の製品が絶品です。当時のものは特級のクラスのカシミヤなので風合いが違います。スラックスは50年代のデッドストック。クロッチが入っていることからもわかるように当時のワークウエアなんです」(鈴木)。「こんなにドレッシーでワークウエアなんですか? 驚きました」(岩上)
90年代のサルトリアジャケット¥70,000
最後はコットンベルベットのハンドソーンジャケットを、この日の私服に。「見立てた通り、ぴったりですね。ハンドワークのサルトリアジャケットで、ここまでサイズがぴったり合うものにはなかなか出会えません!」(鈴木)。「デニム&ワークブーツでもこんなに大人っぽくなるなんて素晴らしいですね」(岩上)
この後、カルティエの眼鏡なども試着して(こちらは後日アップする動画でお届け!)、充実の2時間が終了。「好きな世界にどっぷり浸れて、きょうはとても幸せでした。ファッションの歴史にも触れることができたし、新しい発見もいろいろありました。またじっくり買い物しに行きたいです」(岩上)。シュール・バイ・ライラはメンズノンノモデルの先輩、栁 俊太郎も通う一軒。一歩進んだおしゃれを楽しみたい人は必見だ。
動画も公開中!
SURR by LAILA(シュール・バイ・ライラ)
住所:東京都港区北青山3-15-13 秀和北青山レジデンス202
TEL:03-5468-5966
営業時間:12:00~19:30 無休
Instagram:@surr_by_laila
HP:surr.co.jp
ONLINE STORE:online.surr.co.jp
Photos:Yuumi Hosoya
Models:Shunya Iwakami [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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