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新鋭か復刻か。両極端なアツいブランド
ともにファッション業界で話題の新鋭インポートブランドと復刻DCブランド。かたやニュークラフト、かたやレトロポップ、真逆の持ち味だけど、どちらも欲しい。
デザイナーのルーツが息づく、
インドの新鋭ブランド

KARTIK RESEARCH
Country:India
Since:2021
Designer:Kartik Kumra
カルティック リサーチのプロダクトは50人以上の職人たちと協業して製作。天然染料で手織りの生地を染め上げ、刺繍や縫製など、ほとんどの工程を手作業で仕上げている。



ビーズを用いた「ザルドージ刺繍」や刺し子を用いた「カンタ刺繍」のアイテムが象徴的。
バイヤーやショップオーナーからにわかに注目を集めているブランド「カルティック リサーチ」。インド出身のデザイナーは弱冠24歳にして、今季でパリコレ参加は3シーズン目。いち早く目をつけた業界人のひとり、エディフィスのバイヤー、三浦凛太郎さんが魅せられたワケを教えてくれた。
「2021年の設立からほんの2年で、世界の若手デザイナーに賞が贈られるLVMHプライズのファイナリストに選出されて話題になりました。直接の出会いは23年パリの展示会。うんちくを聞かずとも、相当な時間と技術を要する服であること、手作りであることが一目瞭然だった。知ると案の定、手織り機で織られたシャツやキルトの生地、土着的な『ザルドージ刺繍』と『カンタ刺繍』を踏襲した特殊な技法、ハーブを使った染色など、伝統技術が詰まっていました。何百年を超えて、現地で受け継がれてきた技術であり、それも、インドをルーツとするデザインである点も我々にとっては未知であり新鮮ですよね。多種多様なエスニックが共生している土地柄、布や刺繍や染色は追いきれないほど豊富です。正直なところ謎が多いし、カルティック リサーチの装飾的なデザインが真新しく感じます」
今季のコレクションは、よりワードローブになじんでくれる。
「工芸品ではなく、あくまで今着たい服。ファッションに仕上がっているのが秀逸。例えば、このジャケット(上写真)はゆとりのある身幅と短丈、ダーツを入れて膨らみを出したフォルム、大きめの衿、とすべてが今っぽいバランス。立体的なビーズ刺繍の色を生地に合わせることで、品のよさと主張の強さを両立している。土着のものに立ち返るという本質的なムードは失わずに、シルエットと色だけで現代のスタイルにチューニングしています。デザイナーのパーソナリティと服づくりのアプローチが強く結びついているのに加え、バランス感覚にも脱帽。僕自身、今すぐ着たいです」
伝説のDCブランドが復活!

PERSON’S SHOP
Country:Japan
Since:1976
Designer:KATSUYA SUZUKI
80年代当時のDCブランドブーム下で、モードなデザイナーズとしてではなく、ポップで軽やかなムードの日本ブランドとして若者に愛されていた。
アメカジをベースに、カラフルな配色や印象的なグラフィックで味つけしているのが特徴。


パンツのポケットやスウェットのフロントにプリントされたキャラクター

ポップなTシャツの「P」ロゴ

ブルゾンのグリーンのチェック柄やスカーフのレトロなグラフィックなどは、80年代当時のものを採用。パーソンズらしい賑やかなムードはそのままに、シルエットのみ現代的に調整したウェアが多数。
80年代に人気を博したDCブランドの「パーソンズ」。アメカジ×原宿スタイルの先駆けとなったブランドだ。複数のラインを展開していたが、なかでも人気だった初期ライン「パーソンズ ショップ」が昨年末に原宿に帰ってきた。30年の時を経て復刻した理由をクリエイティブチームの設立者、大坊義明さんが語ってくれた。
「復刻のきっかけは、セレクトショップ、CCXを営むパーソンズのコレクター、鈴木克哉さんにアーカイブを見せてもらったこと。パーソンズ ショップを象徴するスタジアムジャンパーやイラスト入りのスウェット、カラフルなチーフを手に取り、当時の原宿の風景がまざまざと蘇りました。懐かしさを感じつつ、このポップさと遊び心は現代のファッションでも新鮮だと気づいたんです。80年代のファッションカルチャーが再注目されたらうれしいし、今の新しいブランドにも何かしらの影響を与えられるかもしれない。そう考えてディレクションチームを結成しました」
復刻にあたり、当時の空気感をそのまま表現することを重視したそう。
「パーソンズ自体は変わっていないけれど、当時とは違う立ち位置のブランドになる。そんなストーリーに期待感があります。昔の雰囲気を忠実に再現しているのに、新しい愛され方をしたら面白い。だからコンセプトは以前と変えず『明るく、元気に、健康的』を謳い、ポップなイラストと鮮やかなカラーでアイテムを企画しました。ブルゾンやスタジャンのようなメインアイテムのみパターンを引き直して現代的で着やすいシルエットにアレンジしています。お披露目のポップアップをしたのは、当時の直営1号店の隣という立地にあるユナイテッドアローズ 原宿本店。原宿で培われてきたルーツへの敬意は忘れたくありませんが、若い人たちには自由に楽しんでもらいたい。今の感性で他のブランドや古着とミックスしていただけたらうれしいです」
Photos:Teruo Horikoshi[TRON](model) Yoshio Kato(still) Hair&Make-up:Hirokazu Endo[ota office] Stylist:Yasuki Nakamichi Models:Shoma Arashi Tone Kaiya[Both are MEN’S NON-NO models] Text:Namiko Yamamoto Composition&Text:Takako Nagai
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