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人気ショップやブランドを多数ディレクション、自身のお店「ブティック」も絶好調のクリエイティブディレクター・金子恵治さん。新しい視点と発想に満ちた「頭の中」を、旅の話を通してのぞいてみよう。
SEOUL
知人のクチコミ情報を頼りに後輩と気ままに
ソウルをぶらり旅




ダボッとしたフォルムが人気
「街歩きをしながら韓国ファッションにはしっかりしたトレンドを感じた」


人気ショップが並ぶ
「Camel COFFEE」のクリームラテ。

オールデンやジョンロブなどの名品革靴の専門店「Unipair」は店構えがモダン。

「これ目的で訪れた『Drake’s』。韓国のアイビーブームを担うお店で、日本よりもドレス寄りのファッションが健在。お店づくりも細部まで凝っています」


「Drake’sだけでなく、ドサン公園周辺にある『Random Walk』は紳士の家の中を再現したかのようなディスプレイがすてき」

朝まで開いている服飾市場のエリア、東大門。「林立するビルの中で、膨大な量の服を目の当たりにして、強大なファッションシーンの存在を改めて実感」


予定を詰めすぎず気ままに散歩旅
「知人からいただいたマップのピンを頼りに、周辺をうろうろ。基本的に自分がどこにいるかはよくわかってないまま(笑)、飛び込みスタイルで楽しむ旅でした」
ソウルのお店づくりは
モノより前に、夢を見せてくれた
実はこれが初ソウル。仕事仲間の石黒くんたちと一緒に社員旅行感覚で遊びに訪れました。かねて聞いていたとおり、“夢”を見せるお店づくりがうまい。エントランスも内装も凝っていて、ダンキンドーナツひとつにしても大きなサイネージに照らされた売り場にワクワク。聖水の「アーダーエラー」、狎鴎亭の「トム・グレイハウンド」のように人気エリアのお店はどこも“見せ方”に手を抜いてない。ディズニーランドみたいに、モノを売るより前にまず「どう楽しませるか」が考え抜かれている。僕はファッションは必需品ではなく嗜好品で、服より先にスタイルがあるべきだと考えています。その点、ソウルにはちゃんと「スタイルをつくる」という価値が根づいていました。

ドサン公園の周辺には「Drake’s」をはじめとするトラッド系のショップが多かった。日本ではスーツのファッションが弱くなっていますが、どこも我が道をいく強気なムードの店構え。品ぞろえが超クラシックで突っ張っていてカッコいい。Drake’sもイギリスとアメリカを両方感じる正統派でした。他にも古着店の看板を見つけ、「とりあえず入っとく?」と、期待せず(笑)入ったお店で掘り出しものが。後輩がいる手前、自分が一番いいモノを探り当てたい“スイッチ”が入り、好みのノーティカを発見。レザーの衿にブタ鼻のコードストッパー、ライナー付きと作りに感動。日常では見過ごしそうな、旅先のノリだからこそ目に留まった逸品をピックアップできました。逆に昔ながらの卸売市場と小売りのファッションビルが共存した東大門では、圧巻の量の洋服を観賞。トレンドの服や小物が安価で手に入る場所が多く、ファッションシーンもいろいろだなぁと改めて実感。
Photos:Erina Takahashi(still) Keiji Kaneko(London, Seoul) Composition&Text:Takako Nagai
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