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映画監督・今泉力哉が通う古着屋とは?「着心地がよくて汚れてもいい緊張しない服のほうが好き」

映画監督・今泉力哉が通う古着屋とは?「着心地がよくて汚れてもいい緊張しない服のほうが好き」

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「古着=安くてイイ」は当たり前。問題は何を求め、どう掘るか。古着を愛するスタイリスト、俳優、映画監督の3人のディープな「ディグ」に同行。うんちくよりも、感覚!? トレンドよりも、好み!?

発掘するのは…

古着を見る映画監督の今泉力哉

映画監督

今泉力哉

1981年、福島県生まれ。2010年『たまの映画』で長編監督デビュー。映画『愛がなんだ』、ドラマ『1122 いいふうふ』などが話題に。映画『街の上で』では古着屋で働く青年の日常を描いた。今日訪れたのは、中目黒にあるお気に入りの古着屋「オルゴー」。

 

自分と過去の歴史が交わる
ストーリーに惹かれる

登場人物の心情や成長に合わせて
衣装も変化させていく

古着を見る映画監督の今泉力哉

「映画監督という仕事柄かはわかりませんが、普段生活をしていても、この街にはこんな服を着ている人が多いんだな、というように観察してしまうことがよくあります。僕が映画をつくる際は、衣装もできるだけ実際に存在している人に見えるような選び方を心がけています」


映画『街の上で』

 映画『街の上で』では下北沢の古着屋、ラーメン屋、バー、喫茶店などを舞台に、若者の日常が繊細に描かれる。駅前の商店街を抜け、ライブハウスも点在する通りに店を構える古着屋の『hickory』は主人公・荒川青(若葉竜也)の職場として登場する。長く着られる仕立てのいい古着を目当てに、ファッション業界人も足しげく通うお店だ。

OLGOU 古着屋 店内

「下北沢には古着屋がたくさんあるので、いろんな店舗を回りました。『hickory』は知り合いのアーティストからも行きつけと聞いていて、お店のサイズ感もよくて、交渉したら撮影許可をいただけました。この街に住みながら古着屋で働く青年の日常を描いた映画ですが、下北沢は様々な文化が混じり合った街で、古着もその文化の一部。主人公らが古着屋で繰り広げるたわいのない会話から、物語を生み出せたらな、と考えていました。2019年に公開した映画『愛がなんだ』でも、主人公のテルコ(岸井ゆきの)とマモちゃん(成田凌)の日常を描いています。マモちゃんはもともと特別おしゃれだったわけではないけど、奇抜なファッションのすみれ(江口のりこ)に出会うことで古着も着るようになっていく。登場人物の心情や成長に合わせて衣装を考えていくのですが、同じ古着でもこの感じの服は知っているけど、この感じの服は知らないよね、というように衣装さんと決めていきます。特に僕は、監督の中でも衣装を決めるのに時間がかかるほう。古着は『自分がある人、人と一緒なのが嫌な人』の衣装だと感じています」


さりげなくも
唯一無二のデザインに惹かれる

古着を試着する映画監督の今泉力哉

「僕自身は物欲があまりないほうで、服を購入するのも年に3〜5着程度ですが、最近は古着が多いですね。古着屋という存在自体知らなかった頃に『街中で見かけるおしゃれな人は一体どこで服を買っているんだろう?』『僕が行くような店では売っていない丈の長い白シャツは、一体どこで売ってるんだ?』とよく考えていたのですが、それらは大抵、古着でした。自ら古着を調べてその店を訪れる、みたいなことも実はあまりしたことがなくて、基本的に洋服好きな妻に連れられて知ったお店ばかりを巡っています。今回訪れた中目黒の『オルゴー』もそのうちのひとつです。中目黒はおしゃれな人が多いイメージで降り立つたびに緊張しますが(笑)、毎回寄ってしまいます。今日のシャツも数年前にこのお店で購入したもので、褪せた青色や長めの袖リブ、スナップボタンなど、見たことがないデザインがお気に入り。ある撮影の際に着ていたら、現場で一緒だったオダギリジョーに『幼稚園児の服みたいですね』と言われて。それ以来、このシャツのことは『スモック』と呼んでいます(笑)」

前の持ち主のストーリーや
200年前の歴史に思いを馳せる

古着のブルーデニム

「タグに誰かの名前が書かれていたり、当時の職業・文化・生活背景が表れていたり。前の持ち主のストーリーに思いを馳せるのも古着の楽しみ。そういえば昔購入した古着のデニムは、はくと必ず雨が降るので、何か呪われているのでは…とか。そのせいではないけれど、最近はデニム自体をはいていなかったのですが、知り合いの若い監督がさまざまなデニムをカッコよく着こなしていて、僕も雨が降らない(笑)ブルーデニムを追加したかったところ、本日気になる1本を発見。一見爽やかなデニムだけど、手に取ると武骨な印象。店員さんいわくフランス産モールスキンのパンツとのこと。派手ではないけどオリジナリティがあって、ほどよい色落ちがいいですね。


古着を試着する映画監督の今泉力哉 2
古着のリネンシャツ

壁に丁重にかけられていたシャツは、一見レディースのワンピースかと思いきや、1800年頃に羊飼いたちが着ていたリネンシャツと知って驚き。


当時の写真

当時の写真を見せていただき、長い年月をかけて旅をしてきた服だということがよくわかり、図らずも服飾の歴史を学べました。

古着のスエードのジャケット

古着のスエードのジャケット 表面

柔らかい革ジャンみたいなスエードのジャケットもくたくたに色落ちしていて、表面はベルベットのような滑らかな質感。

古着を試着する映画監督の今泉力哉 3

ブラックだけどハードな印象にならないのがいいですね。


古着のスウェット
古着を試着する映画監督の今泉力哉 4

そして僕、実は大のスウェット好きでして。何より楽じゃないですか。今日気になったのが、鮮やかなブルーと謎のロゴワッペンがかわいい1着。


古着のチャンピオンのスウェット

チャンピオンのスウェットは、サツマイモみたいな素朴な色味と、かなり幅広の裾リブがユニークで、惹かれてしまいました。迷いますね、どれも魅力的で。

古着を試着する映画監督の今泉力哉 5

芝生でゴロゴロできる服を選びます

「リラックスできる服が好みです。芝生でゴロゴロ寝転がれる服のほうが好き。以前舞台挨拶での登壇時などきちんとした場に出るとき用にめちゃくちゃ高い革靴を購入したんですが、緊張感のある服のよさを知れた一方で、やはり自分は着心地がよくて汚れてもいい緊張しない服のほうが好きだと気づきました。一度気に入ったら撮影現場でも休日の公園でも、何年でも着たい。すてきだと思う人のスタイル、なじみの店で聞く古着のルーツ、自分の日常生活で起こるストーリー…。そういう自然なつながりの中で服を選びたいし、誰かの手もとから渡ってきた古着は、より味わい深く感じます」


仕事に向かう映画監督の今泉力哉

 当初の中目黒への身構えはどこへやら。しゃれたレイヤードスタイルの今泉監督は、店を後に仕事に向かった。

OLGOU 古着屋 外観

OLGOU
2006年にオープン後。ヨーロッパ古着の取り扱いが豊富で、老若男女問わず訪れる名ショップ。
住所:目黒区上目黒1の10の6
営業時間:12時〜20時 無休

 

Composition&Text:Takako Nagai

永井貴子

永井貴子

エディター

メンズノンノの本誌とウェブ両方でファッションテーマを担当。カルチャーにも造詣が深い。

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