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「古着=安くてイイ」は当たり前。問題は何を求め、どう掘るか。古着を愛するスタイリスト、俳優、映画監督の3人のディープな「ディグ」に同行。うんちくよりも、感覚!? トレンドよりも、好み!?
発掘するのは…

スタイリスト
中道康生
雑誌や広告などで幅広く活躍する注目のスタイリスト。ドレス・モード・ストリートと各ジャンルに精通したうえで、お得意の古着をフレッシュな感性でピックアップ。
古着はカルチャー<ムードで探す
STÜSSY

「ロゴなしのジャージというのが今っぽい。タグを見たらゼロ年代のステューシーのトラックジャケットで納得。スポーティなアイテムはほどよいフィットでクリーンに着たい」
Reebok

リーボックの面ファスナー付きスリッパ。「履き心地の気軽さと、品のよさが漂うスエード生地とのバランスが絶妙。アクセントになるアイテムながら¥6,490という価格も魅力」
SIERRA DESIGNS

「コンパクトなシルエットに惹かれたシエラデザインズのダウンベスト。ブラックが退色してチャコールグレーに変化し、ストイックさが軽減されているのも古着ならではのよさ」
GAP

「オールドギャップのオーバーオールは滑らかなコーデュロイ素材でキレイな印象。ヒップホップやロックのように特定のカルチャーが匂わず、それでいてストリート見えする」
STÜSSY

「ステューシーのバケットハットは¥8,690。ツバの大きなデザインがファニーで刺さったし、これひとつで存在感が生まれる」。ドローコード付きでフィットの調整が可能。
ゆるい雰囲気と上品さ、
どちらも兼ね備えていたい
「年代や当時のカルチャーにこだわって古着を掘るのではなく、ディテールの面白さや雰囲気のよさで選びたい。完全にムード重視です。古着屋に入ったらすべての服のサイズとディテールを細かく見て、自分の体に合いそうなものはとことん試着。今はほどよく気の抜けたムードが気になっていて、下高井戸の『TEMPO』は随時チェック。例えば、リーボックならスニーカーではなく、ぽってりしたスエードのスリッパ、スポーツブランドではなく、ロゴなしで匿名性のあるオールドステューシーのジャージを選ぶといった具合。デザインにひとクセありながら、クリーンに見えるサイジングが多いのもポイントで、品よく洗練されたセレクトがうれしい。なんてことなさそうなナイロンパンツも、キレイにストンと落ちるシルエットで、ハリがあってさりげなく上品です。一見、おしゃれが好きな人なのか、テキトーに服を着ているのかわからないような絶妙なラインを攻めるのが楽しいんですよね」

TEMPO
オールドステューシーやGAPなど、ストリートブランドの取り扱いが豊富。店主のポッドキャストも要チェック。
住所:世田谷区赤堤4の36の19 UKビル206
営業時間:14時〜20時 不定休
ARC’TERYX


「ハイテク素材の最先端をいくアークテリクスは、あえて経年変化の焼けた風合いのフリースを選ぶのが面白い。品行方正なスラックススタイルに抜け感を与えたい」
Tasso Elba

「アメリカの百貨店のオリジナルブランド、タッソ・エルバのニットポロを発見。洗いで色が抜けきったライトブルーが逆に爽やか。ゆるく開いたリラクシーな衿もとも気分」
Eddie Bauer

「エディー バウアーのバックパックは¥12,100。アウトドア感が強くなりすぎないコンパクトさ、ギミックのきいたディテール、意外な配色、すべてが玄人好みだと思います」
DANIEL CREMIEUX

「フランス製のカシミヤニットは¥14,300。セクシーにはなりすぎない浅めのVネックで、ジャストなフィット感も好み。ラグジュアリーな素材で、これはお値打ちです」
コンサバなアイテムでも
古着ならこなれて見える
「『muri vintage』にはアシスタント時代から足しげく通っています。基本のアメカジ、仕立てのいいイタリアもの、アウトドアブランド…とセレクトが幅広く、古着然とした経年変化の強いものから状態がかなりキレイなものまでギャップのある品ぞろえですが、不思議とどれも今のムード。来るたびに新しい発見があり、最近はここで出会えるコンサバなアイテムが気に入っています。例えばVネックのニット。こういうベーシックな服も、縫製やシルエットが時代ごとにアップデートされて、現行モノとはもちろん違う。編み立ても袖付けもクラシックで、現代のデザイン性が皆無だからこそ、スタイリングに抜け感を出すのに重宝します。昔ながらのコンサバ古着の投入で、トレンド一辺倒のスタイルからは簡単に脱却できる(笑)。スラックスも同じ視点で黒ではなく淡いブラウンをチョイス。全身をニュアンシーな配色にすることで、スタイリングはあくまでコンサバに見えないように調整。他には、所々色が焼けたパープルのフリースや、現行では見つけにくい極めて淡いライトブルーのニットポロも好み。色褪せた一点モノを取り入れて、より気楽なムードでいきたいです」

muri vintage
アメリカからのインポートが多く、エッジのきいたセレクトが面白い。業界人にもファンが多数。
住所:世田谷区三軒茶屋2の15の3 寺尾ビル202
営業時間:14時〜22時 不定休
Photos:Erina Takahashi Composition&Text:Takako Nagai
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