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日々、最先端のファッションやアイテムに触れているデザイナーやPRの人たち。そんな玄人たちがセルフストックしているギフト4選を紹介。
Perfumer H
インセンス「ASH」
"気持ちのいい毎日のために、
少し贅沢ぜいたくなインセンスを"
日常の中に自然とある、けれど欠かすことのできない「空間の香り」を自分に贈っている佐藤さん。
「すでに3箱目。使い切る前に、さらに3箱ストック買いしました。これまでいろいろなインセンスを手に取ってきましたが、パフューマー Hの『ASH』の心が整う香りにハマってしまった。ありがちなスパイシーでオリエンタルな匂いではなく、かといって甘くもセクシーでもない。お線香のようなニュアンスを感じるのですが、実際に京都で添加物を使わずに1本ずつ手作業で作られているそう。使うタイミングは自分を整えてリスタートしたいとき。例えば、朝の身支度をしながらインセンスを手に持ってリビングや玄関を回ってリフレッシュしたり、日中にデスクの横に置いてから作業を始めたり。夜、子どもが寝た後に音楽を聴きながら焚たくのもいい。どこか禅問答のようなストイックな雰囲気が漂うので、お寺や日本庭園のような心地いい空間が頭の中に広がります。誰かに印象づけたいわけではなく、あくまで自分が生活を共にしたい香りなので、欠かさずストックするようになりました。『動』ではなく『静』、内向的な香りが日々のイマジネーションにも役立っているはず。ただし服のデザインを最終決定するような本格的に追い込まれているときは、インセンスを使う余裕もなくレッドブルを飲んでます(笑)」
NAME:佐藤佑樹
Cale デザイナー
空間やアートにも精通し、洗練されたセンスで信頼を集めるカルのデザイナー。服のルーツを大切にしながら現代的に再解釈した端正なコレクションが人気。
PANTHERELLA
コットンソックス
"年末年始の靴下8足総入れ替えが、
恒例のセルフギフト"
1937年創業、高級ソックスメーカーのパンセレラ。勝負靴下かと思いきや、齊藤さんは毎年豪勢に8足まとめ買い。
「年越し前にアンダーウェアを総取っ替えするのが昔からの習慣。Tシャツも同様ですが特に靴下にはうるさいほう。アメトラに傾倒していた学生の頃はドットやチェックの柄モノを買い集めていたし、シティボーイのマナーという感覚で安価な白ソックスを大量にストックしていたこともある。それが30代になり、ちょっといいソックスをはいたらクセになりました。起毛したウールや美しいシルクも好きですが、最も日常使いにちょうどよかったのが『パンセレラ』で、それもコットン70%混紡の素材。ドレスソックス由来のブランドですが、これなら艶っぽくならずちょうどいい。真っ黒は何だか喪服みたいで嫌なので、黒に近いグレーを選択。僕の定番、ポストプロダクションの黒ローファーによく合うし、たまに履いてるジェイエムウエストンの黒のゴルフ、レユッカスの茶のダブルモンクなど革靴の色やデザインを問わずになじむ。スニーカーにはほどよい品も与えてくれます。いつも同じ靴下だとシューズのフィットが選びやすいし、クローゼットに美しくそろったさまも気持ちがいい。8足で3万円ほどですが1年分と思えば高くない。ちなみに、ダークグレーを1週間分+最も好きな色のグリーンが1足で、計8足です(笑)」
NAME:齊藤篤史
PRプランナー
様々な雑誌のスナップ常連かつ、日用品などのコラムの執筆を担当。差し色のきいたスタイリングが得意で、衣食住へのアンテナにも定評がある。
klarm
クレイ
"顔に塗ってパック、湯船に溶かして入浴剤。優秀すぎるクレイ"
せわしない毎日に癒しを求めている西澤さんは、バスタイムをグレードアップさせるためのセルフギフトをストック。
「4年前から愛用し続けているクラームのクレイ。美容にあまり明るくない僕ですが、粘土状のテスターを手に塗って洗い流した後の、吸いつくような肌質に驚いて購入。誰の手かと思うほどでした(笑)。ボトルに入っているのはブレンドされた砂のみで、土壌は農薬や不純物が入らないように管理されているそう。自然を大切にするストーリーにも惹ひかれます。使い方は簡単で、洗顔後に砂と水を混ぜてペースト状にしたら、5分ほど顔に塗って放置するだけ。さらに、このクレイは入浴剤にもなるので毎日、湯船につかる僕にはうれしい。顔にパックをしたまま、お風呂で動画を観たり音楽を聴いたり、ときには電気を消してキャンドルを焚いて頭を空っぽにすることも。そのまま顔のクレイを湯船の中で洗い溶かして入浴剤として楽しんだりもします。“無香料”ですが、粘土のような香りがするのもいい。人工的な香りは苦手なので土の匂いが落ち着きます。多忙な時期は、このバスタイムだけが癒し。しかも、100%砂だから使用期限がない(?)ことに気づきました。自分へのご褒美として、1年はもちそうな3瓶をストック買い。空き瓶もかわいいので、花を飾ったり思い出のある海で集めてきた砂を入れたりしています」
NAME:西澤祐哉
STUDIO FABWORK/ENKEL プレス
長野と山梨の県境で育った自然派で、休日の趣味は虫とり。仕事ではファッションに限らず家具や民芸も取り扱う。手触りのあるものが好き。
仁井田本家
料理酒「旬味しゅんみ」
"味の決め手になる料理酒を
豪快に一升瓶で"
ビリヤニのポップアップを神出鬼没で出店、「流しのビリヤニ」主宰として知られ、最近は自身のビリヤニ料理店も構えた奈良さんのセルフギフトは、意外にも(?)日本酒の酒蔵がつくる料理酒。
「10年ほど前に日本酒がマイブームになったことを入り口に、いろんなお酒を嗜たしなんでみるようになりました。この仁井田本家はその頃に知った自然酒を推す酒蔵。お米から無農薬でつくっていて、通常はよそから仕入れることが多い酵母菌を、自分たちの蔵にすみついた酵母のみで醸しているのが特徴。生きもと造りという手間がかかる醸造で、その分、どっしりとしたコメのうま味や酸味を感じられる。乳酸が出るとビリヤニにも合うし、濁り酒もスパイスに負けない強さにほれ込みました。今では毎年の蔵開きである『にいだの感謝祭』を目当てに福島県の蔵まで通っています。そこで出会えたのがこの『旬味』。肩慣らしとして初めにつくるお酒を料理酒として出していたのですが、これがすごくよかった。通常の3分の1くらいの量でうま味が十分。聞くとアミノ酸がたっぷり入っているのだとか。肉じゃがや茄子なすの揚げ浸しみたいな普通のメニューが、おいしくランクアップするので最高です。絶対に切らしたくないので豪快に1・8Lの一升瓶をストック買い。大きい瓶から鍋にかけ回すほうが、気分的にもおいしくなりますから(笑)」
NAME:奈良 岳
イベント編集・不動産開発 流しのビリヤニ主宰
フェス、マーケット、下北沢の「BONUS TRACK」でのイベント企画や不動産開発、日本橋と静岡に構えた自身の店舗「ビリヤニ炊爨室すいさんしつ」と、多彩に活動中。
Illustrations:Yoshimitsu NIPPASHI
Composition & Text:Takako Nagai
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