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オシャレな人が愛用している一生モノのコートをピックアップ。プレスやデザイナーなど服好き4人の思い入れのある1着とは? 買ってよかった名品をコメントとともにお届け!
オシャレな人が買ってよかった
「大人コート」4選
1.〈FOLL〉のリバーコート
「ブランドのシグネチャー的定番の『リバーコート』ですが、最初に作ったのは、22AWシーズンのこのモデル。自分自身、この冬も一番よく着たコートです。メンズでは裏地付きのコートが主流であるなか、自分のいいと思うデザインを忠実に突き詰めた結果、それがブランドを代表する洋服になり、以降のシーズンもマイナーチェンジを加えながら作り続けています」
「2枚の生地を接結し、端を内側に折り込んで手縫いする、いわゆる『毛抜き合わせ』という技法を用いています。レディースではよく見かけますが、ピーコートやトレンチなどのカテゴライズが主軸のメンズ服には、珍しいんです」
「毛抜き合わせということで裏地がなく、ステッチも露出しないので、とてもシンプルで着心地はやわらかです。ウールのコートはこれまでもたくさん作ってきましたが、なかでも軽く羽織れるのがこのリバーコートだと思います。カジュアルにも着られますし、パーティーみたいな特別なシーンにも合わせやすい」
「ボタンも付けていません。そうすると生地が後ろに引っ張られ、前が開いていってしまうのですが、生地の柔らかさや厚み、そして重心のコントロールで、むしろ生地が前側へ集まっていくように設計しました。ラペルもノーステッチで、アイロンのプレス仕上げだけで返していて、段返りのテーラードジャケットのような見た目です。チェスターコートの原型のような印象も受けると思います」
「このコートを着ると、中がジャージやスウェットでも、心地よく、自分らしくいられる気がします。ケアが最小限で済むのも大事。綺麗な状態を保たなければいけないものは、やっぱり人生のベストバイとは言えませんから。完璧な状態をコントロールしなくてもいい、というマインドで、つねに自然な状態の自分でいられます。『この状態もいいし、この状態もいいよね』と肯定できる洋服が、自分は好きなんです」
2.〈visvim〉のコート
「入社直後は、メンズオンリーの店舗に配属されました。それまで洋服屋で働いたことがないなか、服好きたちのなかに突然放り込まれて、『なにかいいものを持っておかないと……』みたいな気持ちになって。それまでは、派手なデザインやわかりやすくオシャレな服が好きでしたが、ビューティー&ユースのシンプルで上品なスタイルのよさにも、だんだんと感化されていきました」
「それで、ちょうどコートを探していた頃、先輩のひとりに相談したところ、『ビズビムがいいんじゃない?』と。それで、6、7年前の当時もらったボーナスを、一気に注ぎ込みました」
「冬物なので、裏には毛が張ってあって、襟元はコーデュロイで切り替えられています。表はダック生地なので風も通しにくいですが、ただ、見た目にはそんなに暑苦しくないので、冬のわりと長い期間着られるんです」
「わかりやすいものが好きな人には、響きにくいブランドではあると思うんです。でも、服好きたちは一目置くブランドだし、だからよかったというか。それなりに長く着ていると、だんだんとよさに気づいてきます。デザインの派手さとかじゃないところの、迫力というか、存在感というか。少しずつアタリが出てきたので、ゆくゆくはリペアなんかしながら、ゆっくり長く着ていきたいと思っています」
3.古着のロングコート
「アシスタント時代、師匠のブランドルックの撮影仕事で、年に2回ロンドンへ連れていってもらっていました。撮影予備日があったので、スムーズに撮影が終われば、丸一日はフリー。何回目かの出張から、『古着好きなんだよな? 行ってこいよ』って、時間をいただけるようになったんです。その最初のときに買ったのが、このコートでした」
「バカでかいスタイリストバッグを担いで、バイヤーばりに(当然、本職のバイヤーには比べられませんが)、いろいろな古着屋を回りました。朝イチに宿を出て、ちょっと離れたところまでひとりで電車に乗って行くだけでも、本当に楽しかったんですよね」
「そうして、ある古着屋で見つけたこのコートは、おそらく80年代のもの。その年代ならではの感じと、それでいて現行のブランドがつくっていてもおかしくないようなモダンさとが混在していて、そこにとにかくビビッときました。長い毛足も特徴で、その奥にチェックも見えるユニークな生地。裏地にも気品があります」
「こうした類のコートは当時すでに3着くらい持っていましたが、これは、そのなかで一線を画していたというか。アーネストダブルベイカーの話にもつながりますが、自分は結局、大きく枠を外れるより、自分の軸のなかでいろんな選択肢を持つ方が性に合っているんだと思います。このコートも、いつものフレアパンツにすんなり合わせられるけど、でもどこか目新しく見える。だから、きっとこれからも長く着るだろうと思います」
4.Polo Ralph Lauren
コート(ポロ ラルフ ローレン)¥165,000/ラルフ ローレン[Tel 0120-3274-20]
古き良きアメトラの雰囲気を感じる
ポロ ラルフローレンのピーコート
一生モノにできる、重厚感のあるポロ ラルフ ローレンのピーコート。上質なウールを贅沢に使用したメルトン素材をロング丈に仕立て、なめらかな光沢感にはラグジュアリーを堪能できるし、大きな襟と木製のボタンもクラシックな雰囲気。ばさっと羽織るだけでスタイリングが決まる、スタンダードかつ主役級の一着。
「コート上質な素材を生かして、インナーはウールカシミヤのニット、ボトムはウールのスラックス、足元はサイドゴアブーツでコンサバにまとめたい。襟を立たせて、よりストイックなスタイルにするのも気分です」
スタイリスト
中道康生 さん
雑誌や広告など幅広く活躍する新鋭スタイリスト。フレッシュな感性と抜け感のあるスタイリングが注目を集める。モードやストリート、古着にも精通。
Photos: ITCHY Shintaro Yoshimatsu Yoshio Kato Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL] Takako Nagai
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