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人気沸騰中のブランド、カル。スタイリスト視点で注目の新作を取材して浮かび上がってきたキーワードは「古着」モチーフ。トレンドになじませるか、主張させるか。キミ好みはどっち?
旬のブランドのデザイナーとの
対談から見えてきた
キーワードは「古着」でした
スタイリスト
Shota Iigaki|飯垣祥大(左)
ニッチなブランドへの感度が高く、玄人好みなスタイルが得意。古着を交えた大人っぽいスタイリングも支持されている。
Cale デザイナー
Yuki Sato|佐藤佑樹(右)
美術大学を卒業後、ギャラリーや美術館に勤務。その後、ブランドを手がける異色の経歴で、独自の視点が毎シーズン注目を集める。
タイムレスな服に、今の味つけで主張をプラス
飯垣「カル定番のMA-1を毎年色違いでお代わりしてしまって、もう3着目(笑)。丸みのあるフォルムは優しい印象でここ数年の気分にマッチするし、毎年ちゃんと欲しいカラーが出てきます」
佐藤「今季は光沢のあるコットンシルクギャバジンを使用した玉虫色ですね。他のアイテムでもミリタリー・ワーク・アウトドアという基本のメンズ服の軸はぶらさずに、色や素材で味つけします。ペインターパンツの形をレザーで、Gジャンをコーデュロイで、というように」
飯垣「トレンドを観察していると、ユース世代は情報を得るのがうまくて好みが細分化しているけれど、アイテムのデザイン自体はずっと前から流行が繰り返されているところもある。だから結局決め手は素材やシルエットをいかに変えるかなんでしょうね」
佐藤「あくまでスタンダードな中で、新しいものを生み出す必要がある。伝統的な服のルーツを参照しながらワクワクする服を作りたいです」
飯垣「派手で目立つデザインではなく、モチーフの古着からのアップデートにひそかな主張がありますよね。服好きに刺さるし、どれも武骨さを和らげて洗練されて見える。ギャラリー(下写真)にも佐藤さんの美学が表れていて、ミニマルな空間からもそれがわかる。カルのアイテムは今の気分でもあり、10年後も飽きずにワードローブに残したいものだと思うんです」
Mouton vest
表地は毛の長さが異なるムートン素材をパッチワーク。昔ながらのアウトドアブランドを思わせる色味だが、ラグジュアリーな素材と立体的な質感で今っぽいムードに一新。「レザーのパイピングと美しい縫製もこだわりです」(佐藤)。ベスト¥275,000/カル
Leather pants
「80年代に流行したカーハートのダブルニーが着想源。赤みのあるブラウンが気分です」(佐藤)。「ストリートで人気のワークパンツを最高級のレザーで作る発想が面白い。滑らかでしっとりとした、極上のはき心地もやみつきに」(飯垣)。パンツ¥132,000/カル
Corduroy jacket
60年代に発売されたオーセンティックな名作のGジャンのパターンをもとにしながら、コーデュロイ素材で品よく仕上げた。「武骨なデザイン、あたたかみのあるマスタードイエロー、光沢のある細畝(ほそうね)のコーデュロイ、すべてが絶妙」(飯垣)。ジャケット¥66,000/カル
MA-1
定番のMA-1に角度によって光沢の色味が変わる玉虫色を採用。普通のカーキとは異なる繊細なズラしが魅力。「コンパクトな丈感とパンパンにダウンを詰めた丸いフォルム。ベーシックな1着が、現代的にアップデートされています」(飯垣)。ブルゾン¥154,000/カル
Photos:Shintaro Yoshimatsu Text & Composition:Takako Nagai
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