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ファッションが好きだから、欲しい服もいっぱいある。けど、それって本当に必要なもの? ずっと着られるアイテムを選ぶことや、修理しながら長く愛用することだってかっこいいし、環境の保護にもなる。「パタゴニア」の若手スタッフと服好きモデルの稲井がずっと着続けたいお気に入りを紹介しながら、これからの服との向き合い方まで同世代トークをしてみた!
パタゴニアのスタッフと稲井の
ずっと愛用したいアイテムは?
リペアしながら大切に着続けたい
稲井:今日は皆さんが「買ってよかった!」「長く着続けたい!」というアイテムを持ってきてもらったんですけど、早速、ベディさんから見せてもらえますか?
ベディさん(以下、敬称略):3〜4年くらい前に兄から譲り受けたパタゴニアの「ギ・パンツ」です。クライミングをやっているんですけど、オーガニックコットンを採用していて、タフに使えるところが気に入っています。
高瀬さん(以下、敬称略):「ギ・パンツ」は日本の道着をモチーフに作られていて、どんな動きにも対応するカッティングとしっかりとしたステッチが特徴。とにかく頑丈で、長く着られるよね。バックポケットのところは修理してる?
ベティ:穴があいたり破れたりしたら、自分でセルフリペアをしますね。どんどん愛着が湧いていきます。普遍的なデザインなので、アウトドアだけでなく、どんなシチュエーションでも着られるところも好きなんです。幅広いシーンで使えれば、いろいろなアイテムに手を出す必要もなくなりますよね。
稲井:あれ、高瀬さんのパンツの裾もリペアしてますね!?
高瀬:いらなくなったTシャツを使って、ミシンで叩き縫いで補修していて。ワンポイントのデザインのようで気に入っています。
稲井:どちらもかっこいいですね。自分で修理するという発想がなかったので、僕もやってみたくなりました!ベティさんのそちらのショーツはどうですか?
譲りうけたものを大切に使っていきたい
ベティ:祖母からもらった「ロイヤル・ロビンズ 」のショートパンツです。ロイヤル・ロビンズはパタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードのクライミングパートナーでクリーンクライミングを広めた人です。実はこのショートパンツ、まったく同じものを祖父も持っていて。
稲井:ペアルックだ!素敵ですね。
ベティ:祖母の小さいサイズの方を僕が、祖父の大きいサイズの方を兄が譲り受けました。97年製で自分よりも年上なんですが、キレイに使っていたみたいで、状態がイイんです。クライミングでガンガン使ってますが、まだまだ現役です!
稲井:さきほどのパンツと同じく、機能性抜群ですね。ワイドなシルエットだから今っぽく履けそう。みなさんは、周りの人から服をもらうことも多いんですか?
高瀬:パタゴニアのストアでは、先輩スタッフが自分たちみたいな若手の後輩に「まだあまり持ってないだろ」ってアイテムを譲ってくれることが多いですね。僕もTシャツや時計を譲っていただいて大切に使ってますし、もしかしたら僕の後輩にまた譲ることもあるかもしれません。アイテムの裏にあるそういうストーリーに惹かれるんです。
稲井:素敵なストアですね! では高瀬さんのアイテムも教えてください!
長く使えるものに出会えれば買い足しは不要
高瀬:高校生の時にパタゴニアの黒いフリースをずっと着ている先生がいて、「パタゴニアはおもしろい理念を掲げているよ」と教えてもらって、自分で調べてみたところどんどん興味が湧いてきたんです。それで古着屋で買ったのがこの89年製の「メンズ・シェルド・キャプリーン・ジャケット」。ビビッドな色に惹かれました。
ベティ:僕も「パタゴニア」の古着をよく探していて。一時期しか作っていない製品だったり、当時の機能だったり、丈夫だから昔のものでもいまでも通用するところに魅力を感じます。
高瀬:実はシェルド・シンチラジャケットよりも中のフリースが薄いんですけど、それでも保温力と防風性は十分。北海道に住んでいたんですけど、−10℃の元旦にみんなで遊んだ時もこのジャケットを着ていました。レイヤリングがしやすいデザインなので、気温に合せて中に着込んだりしています。東京の冬ならこれ1枚で通用するのでほかのアウターは必要ないですね。
稲井:確かにいくつもアウターを持たなくても済みますよね。“ファースト パタゴニア”でそういう1着に出会えたのがうらやましい!そちらのTシャツはいかがですか?
高瀬:実はこれ、友人がつくっている世界に1枚だけのTシャツなんです。イラストをボールペンなどで手描きして1枚ずつ手刷りしていて。
稲井:着ていくうちにかすれていくんですか?
高瀬:そうですね。ボディにもこだわっていて、オーガニックコットンで8.5オンスという厚めの生地って珍しくて、しっかりして丈夫だし、ガシガシ洗えるし、プリントが落ちていく感じも好きなんです。長く使うのがかっこいいところがパタゴニアの「アンファッショナブルウィーク」に当てはまっているなと思って持ってきました。
稲井:長く使える、というのは魅力ですよね。ちなみに、さっきから気になっていたんですけど、高瀬さんのキャップも色落ち具合がかっこいいですね!
高瀬:実はこのキャップ、初めてショップで買ったものなんです。大学生の時に沖縄から関東まで自転車で旅をしていたんですがそのときもずっと被っていて、行く先々の景色を一緒に見てきた相棒のような存在。
高瀬:元々は隣の帽子くらい真っ黒だったんですよ(笑)。僕はパタゴニアのお店に遊びに行くのが好きで、当時のスタッフさんに「このロゴは、73年に創業した当時のロゴなんだよ」と教えてもらって購入したのを覚えています。
稲井:お店のスタッフさんと気軽に話せるのっていいですね。僕は結構緊張しちゃって話せないんですよ…。実はこのバギーズ・ショーツもパタゴニアの直営店で買ったんですけど、さっと入ってさっとレジに向かっちゃいました(笑)。
ベティ:僕はお客さんと話すのが大好きで、気軽に話しかけて欲しいですね。お客さんと意気投合して、後日一緒にクライミングに行ったこともあります(笑)。パタゴニアのストアは製品を販売するだけではなくて、いわゆるコミュニティのハブ的な役割もあるのが楽しいです。アウトドアや旅の話や、環境についてもお客さんと気軽に話をしています。
高瀬:僕も同意見です。話をするためだけに来てもらっても大歓迎なので、今度は声をかけてください(笑)。ストアに来てくれたということなんですが、稲井さんのそのバギーズはいつごろ買われたんですか?
お気に入りをシェアをするのだって楽しい
稲井:僕は宮城県の港町出身で、高校1年生のときにひとりで上京してきたんですが、サーフィンに行きたいなと思った時にスウィムショーツを全部実家に置いてきてことに気がついて(笑)。慌ててこのバギーズショーツをゲットしました。
ベティ:6年前くらいから使っているとは思えないほど状態がいいですね。
稲井:実はかなりヘビロテしていて。サーフィンで荒く使っても耐久性はバッチリだし、海でも街でも、そして家でも(笑)、毎年夏になると穿いてるんです。色の落ち方もかっこいいし、自分だけの味が出てくるところも大好きですね。あと、流行り廃りに関係なく長く着ていけるところも魅力だと思います。僕のクローゼットの中で一番長く使ってるアイテムですね。
高瀬:最近だと、そのバギーズ・ショーツも「ネットプラス」という廃漁網をリサイクルした素材を使っているんですよ。そちらの白いジャケットはどんなアイテムなんですか?
稲井:高校三年生のときに、弟が高校に受かって、2人で着られるものがないかと奮発してかった「ストーンアイランド」のものです。弟とシェアして大切に着ています。
ベティ:僕も兄から服を譲り受けることが多いのですが、稲井さんも弟さんに服をあげることはありますか?
稲井:あげることもありますし、シェアすることも多いです!何でもかんでも新しいものを買うと言うより、そういう服の着方もおもしろいのかなって思ってます。みなさんが新品のアイテムを買う時ってどういうところを気にしていますか?
買った後のストーリーまで考える
高瀬:この仕事をしていなかったらほとんど古着だと思うんですが、新品を買うにしても自分が使ったあとに、誰かに託すこともあるかもしれないと考えたりします。なので、普遍的なデザインを選ぶことが多いですね。自分の手から離れた時に「このアイテムは何年のこの色で〜」など話してくれる人がいるかなって。
ベティ:最近僕は、新品をなるべく買わないようにしてますね。買うとしても、「同じ機能のものをすでに持っているか?」「同じ着方ができるものや似たようなデザインではないか?」と自問自答をして、必要かどうかを考えています。
稲井:なるほど。僕も古着が好きで、それまで着てきた人のストーリーや背景を考えたり感じたりするところに惹かれています。
ベティ:パタゴニアのストアでは、パタゴニアの製品だとわかれば古着でも修理するサービスがあるんです。愛着のあるアイテムを長く着てもらえるサポートをしているので、ぜひ利用して欲しいです。
稲井:古着でも修理してくれるのは嬉しいですね。僕のバギーズ・ショーツは今のところ全然へたれないくらい丈夫なんですが、もしも将来リペアが必要になったら持っていきます!
高瀬:僕はウィンタースポーツをするんですが、体感としても環境問題を感じる機会が多くて。先ほどの「ネットプラス」など、パタゴニアの製品すべてが環境に責任を持ったアイテムになっているところもここで働いている理由です。
稲井:新品を選ぶにしても、パタゴニアのような質の高いアイテムを買うことが環境保護に繋がっていくということがわかりました。1つのものを長く大切に愛用したり、シェアしたり譲ったり、古着を買ったり…色々な選択肢があるんだなと気づくことができてよかったです!今日はみなさんありがとうございました!
パタゴニア 東京・渋谷 スタッフ
高瀬 薫 さん
学生時代にゼミで文化人類学を専攻。少数民族地域の文化・生活様式を学んでいくうちに、環境問題への意識が高まり、パタゴニアのスタッフに。スノーボードをこよなく愛する。
パタゴニア 東京・渋谷 スタッフ
べディ・ジャスジョット さん
大学4年生。クライミングなどアウトドアスポーツをする過程で環境汚染を肌で感じ、「ただ働くだけでなく、自分の考えと一致する会社で働きたい」とパタゴニアに。「若いお客さんと話したくで渋谷のストアを選びました」
Photos:Ibuki Tamura
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