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かっこいい大人になりたい、という気持ちでおしゃれをすることって、誰しもある経験。なら知りたいのは、僕らの憧れるかっこいい大人たちは、20歳頃、どんな買い物をしてきたのか? 兄貴たちに聞いた、あの頃の買い物履歴!
かっこいい兄貴に聞いた
僕を大人にしてくれた買い物
僕を大人にしてくれた買い物①
エドワード グリーンの革靴
何年も一緒に
いられるものを買いたい
20代の前半までを振り返ると、ちょうどメンズノンノモデルになったり、役者を始めたり、いろんなターニングポイントになった時期。着たい服やかっこいいと思う人についての感覚も、この頃に形作られた部分が大きいんじゃないかな。エドワード グリーンの革靴は20代のはじめ頃に、青山のLAILA VINTAGEで、70年代のデッドストックをひと目ぼれして買った思い出があります。今も履いていますよ。実はそれまで、革靴は高校の頃に履いてたローファーくらいで……普段はコンバースやドクターマーチンを履いていたけど、その1足はシャープな佇まいがかっこよくて。
ファッションでは特定の人物に憧れるというよりも、映画の登場人物たちやその作品の世界観から少しずつ感じ取ることが多かったように思います。例えば、シャツを着るときはボタンは2つくらい開けたいな、とか、こういう車に乗りたい、とか些細なことなんですが、共通するのはシンプルでありながらラフだったり、着くずしたムードのある人に惹かれるところ。革靴もシューキーパーを入れて大事に扱うけれど、履くときはデニムに合わせたりもします。実は高校生の頃は、体が細いことがコンプレックスで、それを隠す格好をしていたこともあるんです。だからあまり偉そうな感じでは言えないけれど、ごまかさない服でいるほうがかっこいいぜ、って思う。変に飾ったり隠すんじゃなくて、ラフな格好をしていてもかっこいい人は、ありのままの自分の人間性に、自信を持っているはずだから。
最後にもうひとつ、買い物に関してずっと変わらないのは、育てられるものを買いたいという気持ち。デニムとかもそうなんですけど、大人になってからも、何年も一緒に過ごせるものが僕は好きですね。
最新の出演作に注目!
5月3日より公開の映画『バジーノイズ』では音楽を愛するベーシスト・陸を好演。「陸は好きなことにまっすぐで情熱的な人物で、抱える葛藤や不満も理解できた。この物語は言葉にするのが苦手な登場人物ばかりだけど、音楽でつながるという感覚を大事にして芝居をしました」。爽やかなだけで終わらない、音楽青春映画は必見。
僕を大人にしてくれた買い物②
レッドウィングのスーパーソール・黒
背伸びした当時とアメカジ愛を投影する、
原点の1足
僕のファッションの原点はアメカジで、10代のときから映画や音楽にインスパイアされることが多く、好きなキャラクターが何を着ているかを日々チェックしていました。当時は、ヴィンセント・ギャロのような人物像が目標でしたね。好きになる入り口自体はなんでもいいと思いますが、メンズノンノ読者の皆さんには、何かを「かっこいい」と思ったら、さらに一歩だけ踏み込んでほしい。気になるアイテムがあったら、背景にあるカルチャーを調べてみたり、実際に手に取ったり、お店の人に聞いてみたりするのもいいと思う。一番重要なのは、気持ちを入れた買い物をするときは、絶対お店に一度足を運んで試してみること。試して「なんか違うな」でもいいんです。それは経験値になるから。
レッドウィングのスーパーソールは、19歳のとき働いていた古着屋のオーナーさんが履いていたんです。ソールまで黒なのが渋くて、古着に合わせたスタイリングが最高にかっこよかったのを覚えています。高額だったのでかなり迷いましたが、「レッドウィングは持っておくべき!」と思い立ってローンを組み、背伸びして購入した記憶があります。スタイリストのアシスタントになってからも10年ほど履き続けて、アイテムのカルチャーやワークブーツとしての機能をより深く理解することができ、アメカジの定番であるこの靴のよさが身に染みてわかった気がします。革の経年変化も楽しむことができて、長いつき合いができる1足ですね。
僕を大人にしてくれた買い物②
オールデンの53511
物理的にも精神的にも
「俺、オトナ」な感覚をくれた
高校まで野球をやっていて、そこからいきなり「スタイリストになりたい」と地元の専門学校へ入り、卒業後はアシスタントに。お金はずっとなかったけれど、変わらないのは昔から「マイスタイル」というものがある大人に憧れがあったこと。唯一無二な感じがかっこいいなと。ただ、その「マイスタイル」の表現が大人になるにつれて大きく変わった。そのきっかけになったのがこの革靴です。
当時の僕はちょっと派手なアイテムというか目を引くようなものを好んで着ていました。例えば、ばーんと猫が描いてあるTシャツを着てみるとか、派手な色を取り入れるとか。でも、年齢を重ねるにつれてやっぱり「なんてことないけどその人といえばコレ」というスタイルのある人がかっこいいよな、という考えが強くなり。オールデンは「大人といえば革靴、革靴といえば…」という憧憬があったんですが、1足目は特に思い入れがあります。なぜならば、スタイリストとして独立して少したった28歳頃、メンズノンノの仕事でN.Y.へ出張撮影へ行って買ったから! オールデンの本店へ行き、コードバンのプレーントウを手にしたときの感覚は、とても強烈なものでした。「スタイリストになって、仕事でN.Y.のオールデンに俺は今いる」という物理的な喜びと、「少しだけお金にも余裕ができて、自分のスタイルのひとつとして革靴を履きたい」という精神的な成長のようなもの、その両方が同時にそこにあったと思います。
最後にアイテムについてもう少し話すと、この1足から始まって、ほかにもオールデンは買い足しています。最近は眺めていることが多いのですが、いつか履きたくなると思う。また、革靴はとにかく価格が高騰中。なので気に入った1足は「高い!」と思っても背伸びして買ったほうが後悔しないと思いますよ。
Photos:Naoto Usami Stylist:Takeshi Toyoshima Model:Daina Matsui[MEN’S NON-NO model] Interview:Sayako Ono
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