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パリコレでのランウェイショー・デビューの足がかりとして、2023秋冬のファッションウイーク中に現地で展示会を開催したコグノーメン。ファッションデザイナーがどんなことをして、何を考えているのか? 大江さんがパリに滞在した13日間を日記形式でダイジェスト。
パリで展示会を開催!
大江マイケル仁さんのパリ滞在記
01.19(thu)
レインボーショールームにて世界のトップバイヤーと商談
ブランド立ち上げからパリで展示会を開こうと考えていたがコロナ禍でかなわず。今回実現して、やっとスタート地点に立てた気がした。縁あって世界的に有名なレインボーショールームでフルコレクションを紹介できることに。
左岸のクラシックな3階建ての展示会場の1室をあてがっていただき、ロンドンのハロッズや香港のレーン クロフォードなどの、世界のトップバイヤーに見てもらえたのはコグノーメンにとって大きな収穫。ミシガンのトゥデイ クロージングからは異例の即決オーダーも。とても律儀で紳士的なそのバイヤーは、僕のアメリカ人観を変えた。
01.22(sun)
パリで話題の美術館のようなギャラリーショップに招かれて
スペインのイビサ島でホテルを経営しているご夫婦が、昨年秋にオープンした話題のショップ、アロガント。ショールームで接客したのがきっかけで、店に招待された。80年代の顔の彫刻のカウンターテーブルなど家具や雑貨から古着まで、彼らが気に入ったものは何でも取り扱っている。
地下にはゲストルームがあり、常駐のシェフがすばらしい食事を振る舞ってくれる。日本にはこんな店、ないよな……と思いながら、パリならではの体験を楽しんだ。
01.24(tue)
ヴィーガンホットドッグが有名な友人のショップへ
セネガル系フランス人の友人が、1階はヴィーガンホットドッグ、2階で本や洋服を扱うセレクト.AAというコンセプトショップを10区に出している。
@SELECT.AA
彼は人気ベジタリアンレストラン「ジャー ジャー」のオーナーということもあり、セレクト.AAも好調のようだ。洋服コーナーは小さいけれど、ERLのようなエッジィなブランドもセレクトする感度の高い店。コグノーメンのマフラーを置いてもらえるということで、お礼がてら遊びに行った。
01.25(wed)
カーミュエル ヤングの展示会で刺激を受ける
展示会中はショールームに駐在して、バイヤーの対応をするのが日課だが、アポイントのない時間帯は気になるブランドの展示会へ。ダミール ドマで経験を積んだ香港のデザイナー、カーミュエル ヤングとはお互いの展示会を行き来する間柄。アイスランドをテーマにした今回のコレクションは秀逸で、撥水(はっすい)素材のブルーのレインコートや透明な生地にグリーンの中綿を詰めたMA-1は思わず欲しくなった。
エレガンスがあって引き算がうまいブランドには、無条件に惹かれる。
01.27(fri)
パリ最古の教会とアラブ世界研究所、からのセネガル料理
10年来のつき合いがあるフジモトのデザイナー、藤本恭平さんが展示会に来てくれた。彼は教会や寺院巡りが趣味らしく、「パリ最古の教会へ行ってみない?」と誘われたので、一緒に出かけることに。パリに来るのは26回目だけれど、サン・ジェルマン・デ・プレ教会を訪れたのは初めて。冬は暖かく、夏は涼しいらしく、気持ちをリセットできる空間でもあると教えられて納得。
@L’église Saint-Germain-des-Prés
その後はアラブ世界研究所に足を延ばし、ウズベキスタンの民族衣装やラグなどを観賞した。異文化に触れるのが好きだから、こういう展覧会を見つけると行かずにはいられない。
@Institut du monde arabe
アジアには50近くの国があるが、同じアジアでも東と中央では全然文化が違う。これをきっかけにもっと調べたいと思った。そんなことを考えていたら、異国を感じる料理がものすごく食べたくなり、セネガル料理のレストランへ。僕はカレーのような煮込み料理を注文。コショウがきいていて美味ながら、量が多すぎてヘビーだった。
01.30(mon)
パリの中心で静かに平和を願う
搭乗の直前にフライトが欠航。丸一日を観光して過ごすことに。コンコルド広場からマレ地区につながるリヴォリ通りで、コグノーメンのメッセージマフラーをつけてスタッフと記念撮影をした(右が僕)。
@Rue de Rivoli
展示会ではコグノーメンが大事にしているマルチカルチャーを理解してもらえたのが、ポジティブな気づきだった。パリはオリンピックに向けてさまざまな競技場が建設の真っ最中。その競技場でランウェイショーをする日は、きっとそう遠くない。
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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