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どんどん魅力的なブランドが出てくる中でも特に輝きを放つ、2つのドメスティックブランドをピックアップ。そのマインドに触れ、ファッションの神髄を楽しもう。
01
KHOKI
東京を拠点とするデザインチーム、KHOKI(コッキ)は様々なラグジュアリーブランドで経験を積んだメンバーによって、2019年にスタート。「人の手が見えるモノづくり」をコンセプトとして掲げ、多種多様な文化や伝統的技法をミックスすることによって生まれる姿勢と、ほっとする雰囲気を大切にしているブランドだ。キルトやカンタ、スザニなど伝統的な手法だけでなく、カジュアル服を仕立て直すといった脱構築的手法も、彼ららしいあり方のひとつになっている。
デザインチームとして活動しているKHOKIだが、今季初のランウェイショーを行ったことについて「改めてチームで行うモノづくりの楽しさと重要性を感じました。生態系のような多岐にわたる感性で、これからも洋服を作っていきたいと思います」とコメントしている。
その言葉からもわかるとおり、今季も幅広い手法と感受性に富んだアイテムが並ぶ。目立つのは、ベーシックアイテムであるデニムパンツやステンカラーコートの再構築で、ボンタンパンツのようなシルエットのデニムや、アシンメトリーな素材使いが特徴的なコートを提案。グラフィックでは切り絵がモチーフのニットが多く登場し、バッグも2種類の異なる糸を使ったジャカード編み生地で作られている。ファッションの楽しさをダイレクトに感じるアイテムぞろいだ。
異素材をミックスしたコートは、スタンドカラーのステッチがきいている。
02
IRENISA
モードの基本を熟知した立体的なデザインに、クラフツマンシップを融合させた新しい衣服。2020年秋冬シーズンから小林祐さんと安倍悠治さんの2人が始めたIRENISA(イレニサ)は、永くつき合える衣服とは何かを提案する。
今季は、自然界からのインスピレーションを、生地作りや染めなど自然原理とともに造形するプロセスを踏んでおり、そこに職人技が合わさったアートピースのようなアイテムがそろう。
コートは、オリジナルのウールメルトン素材を使用した一重仕立てのリバーシブルコート。パンツはコットンリネンコーデュロイ生地を使用した、ワンタックストレートパンツ。京都の職人が、京友禅技法の引き染めによって描いた、唯一無二の柄が特徴で刷毛で染めるからこその、独特のにじみやグラデーション、色の奥行きが魅力的だ。
デザイナーの安倍さんは「私たち2人ともパタンナー出身であり、デザインはもちろん、パターンもすべてインハウスで行っています。その過程で、人がどの角度から見ても美しいことにこだわって設計しています」と語る。初のランウェイショーの開催についても「そのこだわりがあるからこそ、人が着て歩くところをしっかり見てもらえることは、とてもうれしいことでした」とコメント。今後もその造形の美しさから目が離せない。
コートの袖はブランド独自のモディファイドスリーブになっており、きれいに肩が収まるパターン設計。パンツはリラックスした雰囲気だが、スラックスのパターンで作られているのできれいなシルエットを感じられる1着。
Photos:Takemi Yabuki[W] Hair & Make-up:Kazuhiro Naka Stylist:Masaaki Ida Models:Koji Moriya Rintaro Mizusawa[They are MEN’S NON-NO models]
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