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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でも、どの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第22回はマイペースに自分のおしゃれを楽しむ鈴木仁が、下北沢に来たときには必ず立ち寄るという下北沢のイロハ。気になる服をかたっぱしから試着!
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1980~90年代の
デザイン古着に定評あり!
セールをしないことでも信望が厚い
カフェやブティックがひしめく下北沢のファッションストリートの一角。古着のトルソーと外灯下のirohaの看板が目印だ。「下北沢の古着屋といえばイロハ」と、古着好きが筆頭に上げる人気店。2013年のオープン以来、1980~1990年代のモード&ストリートなデザイン古着を欧米から買い付けている。セールをしないことでも信頼が厚く、コンディションのよさにも定評が。
鈴木 仁も高校時代から、下北沢に来たときにはイロハに立ち寄っていたひとり。イロハで買ったデッドストックデニムなどを今も愛用していて「生地感がしっかりした古着が多いので、自分に合っている気がします。今日もワイドストレートのデニムやフーディのいいものがあれば買おうと思っています」と買い物モード。
流木を使ったディスプレイが印象的
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角ビルの2階という絶好のロケーションで、白レンガを基調とした明るく見やすい店内。流木を効果的に使ったディスプレイが印象的だ。入ると右手にアウター類が並び、左手の白いウッドデッキスペースにはシャツやTシャツ、スウェット、ニット、パンツ類が並ぶ。
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店の中央にある流木のラックにはアウター、シャツ、パンツがコーディネート提案的に並べられていて、気が利いている。スポーティなものから王道のアメカジまで、今のトレンドとリンクするラインナップ。
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壁にはイロハらしい、少しクセのあるアウターも散見。70’sスタイルのフリンジジャケットはレディースのもの。ウルフモチーフのボアジャケットは、メゾンブランドにありそうなエッジィなムード。
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入口すぐのテーブルには、スウェットやシャツとジーンズがきれいに畳んで並べられている。リーバイスのようなオーセンティックなアイテムもしっかり押さえているバランスのよさが、古着ファンに支持される理由。
気になるアイテムを
次々とピックアップ
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つい最近も来店したという仁は店内の様子もよくわかっていて、入口左から壁に沿って次々と気になる古着を手に取る。「ブラウンデニムって珍しいですよね」と店長の橋本勇希さんに問いかけると「ボタンを見るとわかりますが、それはレディースなんですよね」と解説してくれる。
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パンツ類はカラフルなものもラインナップしていて、重くなりがちな秋冬の着こなしのアクセントによさそうだ。仁はパンツの生地感をチェックしながら、気になるアイテムを探していく。
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お気に入りを見つけるとサイズを確かめて、次に自分の体に沿わせてレングスなどを確認する。自分なりのチェックポイントをクリアした古着を実際に試着という流れ。
店内のアイテムで
仁流にコーディネート
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まずはシンプルなジョン スメドレー風のポロニットとウールスラックスのワンツーコーデ。「こういうシンプルで素材感のいいものが見つかるのもイロハの魅力なんですよね。ウールのパンツは化繊との混紡でワイドテーパードシルエットが今っぽいなと」(鈴木)。大人ムードのコーディネートに合わせて、橋本さんがアレン エドモンズのレザーシューズを勧めてくれた。
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甲の部分がイントレチャートのような編み込みになった凝ったデザイン。アレン エドモンズは1922年創業のアメリカのシューズブランド。釘や鉄のシャンク(土踏まず部分に入れる芯)を使わないフレキシブルな履き心地に定評があり、歴代大統領御用達の靴としても知られる。プレーンなデザインの新品で7~8万円するので、モード感のあるこのレザーシューズはお買い得。
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続いてはロングGジャン風デザインのブラウンデニムジャケット。「Gジャンを持っていないので、羽織りモノとしてデニムのジャケットはひとつ欲しいなと思っているんですよね…」と試着してポケット位置などもチェックする。「レディースのデザインならではの3連ボタンや裾広がりのシルエットですね」と橋本さんが解説をしてくれる。
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バナナ・リパブリックのフレアデニムは橋本さんが「合いそう」と選んでくれた当時の限定アイテム。デニムでグレーでフレアシルエットと、今のトレンドにぴったり。「センタークリース入りだからきれいめな感じになっていいですね」とサイドや後ろ姿の見え方もチェックする仁。
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最後はナイキのライトシェルジャケット。「こういうテック系のアウターを探していたので、フード付きで3Lというサイズ感や、グリーン系2トーンの配色も好みです」と仁が言うと、「あんまり古くないんですが、ダブルジップで気が利いたデザインなんですよ」と橋本さん。「ありがたいヤツですね」と意見が合った。
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この日はいていたマルニのワイドデニムとコンバースのスニーカーにもマッチ。「これいいですね。買おうかな…」と真剣に悩む仁に、「そのデニム、マルニですよね? 僕も同じのを持ってます」と橋本さん。クールに見えてファッションに対しては熱い一面が垣間見えた。テンションは違っても“類とも”なふたり。
イロハのおすすめコーディネート
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会話する中でなんとなく距離が近づいた橋本さんと仁。おすすめコーディネートも仁が気に入ったナイキのライトシェルに似たアノラックを選んでくれた。「年代でいうと80年代くらいの、ヴィンテージに入るような2トーンのアノラックです。フード内蔵のデザインで、スピンドルが衿元に2カ所ついていたり、袖もドルマンスリーブになっていて、デザイン性が高いヨーロッパのアウトドアアイテムです」(橋本さん)。
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その場で試着する仁。「ネックの形がすごくいいですね」と鏡を見て確認。とても気に入った様子。
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「イロハではこういうスポーティなものにフェイクレザーのパンツのような、ミックス感のあるコーディネートを提案しています」と橋本さんが言うと「合うんですか?」と仁。実際に着てみるとY2K感のある今っぽいスタイルに。「スポーティなものと合皮素材が合うというのは発見でした!」(鈴木)。
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「ハンドメイドのジップジャケットも着てみませんか?」ともうひとつのコーディネートを橋本さんが勧めてくれた。「ハンドメイド系でジップアップというところと、裾に絞れるコードがついていて気が利いているんですよね。意外と古着で出ないアイテムです」(橋本さん)。
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リーバイス517ブーツカットジーンズとのコーディネートが仁にもしっくりきた様子。「手づくり感のあるアイテム、いいですね。配色もモダンだし、フロントがファスナーだから着やすいです」と仁がつぶやくと「ちょっとクセがあるように見えるこの手のアイテムは、ひと目惚れして買われていく方が多いんです」と橋本さん。
年代にこだわらず服の魅力を伝えたい
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カーリーヘアがトレードマークの橋本さんはセレクトショップを経て、イロハのスタッフに。大学時代から通っていたのが縁だったという。2年前から店長に抜擢されたが実は24歳と、仁と同年代。「セレクトショップ時代にファッションのカルチャーを学びました。イロハでは年代よりも、服のどこがいいのかを伝えていきたいと思っています」(橋本さん)
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ということで、最後は橋本さんの注目アイテムを紹介しよう。「イロハではサイズ感などがよければレディースの古着もメンズに混ぜて置いています。特に70’sスタイルを代表するフリンジ系のアイテムはレディースのほうがいいものが多いんですよね」(橋本さん)。
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「ゴブラン織りのような素材感の面白いアイテムも、アウターを中心にピックアップしています。こういうのもイロハならではだと思います」(橋本さん)。メゾン系ブランドのネタ元のようなアイテムでもあるので、ぜひチェックしてほしい。
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「古着の中でも状態のいいものをしっかり厳選していますが、古着ならではのダメージ感がファッションとして成立しているものも、ときに選んでいます。このあたりはヴィンテージが多いですね」(橋本さん)。洋服愛に溢れる解説やコーディネート提案は今の時代にマッチしていて、とても頼りになる。
着用した2点をお買い上げ!
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取材の終盤にもまだ気になるアイテムを試着する仁。このウィンドベーンのシャツを着るのは二度目。鏡を見る目が真剣だ。悩んだ結果、最初のコーディネートで着用した黒のニットポロと、橋本さんが勧めてくれたヴィンテージのアノラックを買うことに。「アノラックは去年から探していたので、きょうはいい出会いでした!」(鈴木)。
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買った商品を笑顔で受け取る仁。「コロナ前にイロハで買ったものを今も愛用しています。きょうはいろいろ試着して、コーディネートを組んでもらって、さらに自分の幅が広がり、チャレンジしたいアイテムも増えました! デザインが効いたものからシンプルなものまでそろっているので、ぜひ皆さんも足を運んでみてください」(鈴木)。行けば自分の着こなしの幅が広がる、そんな一軒だ。
動画も公開中!
イロハ
住所:東京都世田谷区北沢2-29-14 第11FMGビル2F
TEL:なし
営業:13:00~20:00(土日祝12:00~)
定休日:なし
Instagram:@iroha_tokyo
WEBサイト:irohatokyo.thebase.in
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Photos:Yumi Yamasaki
Model:Jin Suzuki [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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