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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でも、どの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第16回は中田圭祐が友人の新井結生さん(MNFC)に教えてもらった、豪徳寺のアストロロジー ストア。通に注目される古着店で、リアルに買い物!
「二極化の間」の古着の面白さが
伝わるセレクトに心が躍る!
豪徳寺の住宅街に昨年7月にオープンしたアストロロジー ストア。1年経っていない新店だが、古着業界に長く身を置き、現在は古着ディーラーとして活躍する與賀田洋佑さんが店主ということで一目置かれている。卸業を営みながら、なぜ店をオープンさせるに至ったのか?
「今、古着屋は高額なヴィンテージか安いレギュラーか、二極化が進んでいます。僕的にはその中間に位置するような、古着のいちばん面白いゾーンの魅力を伝えることができればと思って、小売店をやることにしました」(與賀田さん)。
中田圭祐は古着店でアルバイトをしていたこともあって、ファッションのベースには常に古着がある。「サレン トウキョウのバイト仲間でもあったユウキさん(新井結生)に連れてきてもらったんですが、セレクトしているモノのセンスがめちゃくちゃよくて。きょうは“出会い”があったら迷わず買います!」(中田)。
UFO型照明ほか
気になるモノがあちこちに!
駅から3分ほど歩くと白い扉と黄色の窓が目印のアストロロジー ストアに到着。大きなガラス窓から店内の様子がよく見える。窓際にディスプレイされているフィギュアやぬいぐるみに心がなごみ、ワクワクしながらドアを開けるとユニークなUFO型の照明がお出迎え。アストロロジー ストアの名の通り、天井には12星座のバンダナも。
アメリカの東西南北あちこちから集められた古着と、ポップな雑貨がセンスよく並ぶ楽しい店内。「ローカルなマイナーブランドや、普通の人が気づかなさそうだけど、聞けば『へー』と感心するようなアイテムをできるだけセレクトしています」と與賀田さん。具体的にはどんなものなのか、いくつか例を挙げてもらった。
「クラウドベイルは知る人ぞ知る、パタゴニア出身のデザイナーが1997年に立ち上げたブランドです。これは裏地付きのジャケットですが、ソフトシェルという薄手のアウターを提案した先駆者。2010年代に消滅してしまったんですが、デザインのいいものが多く、個人的にもひいきにしています」(與賀田さん)。
この日、中田が着てきたジャケットもクラウドベイルの古着。前回、アストロロジー ストアに来たときに知って、「ヤバイっすね!」と感動して購入したのだそうだ。
続いて紹介してくれたのは、イエローが鮮やかなアディダスのプルオーバー。「これはサイドのベンチレーションがスリーストライプスになっているんですよね」(與賀田さん)。確かに! 白いラインの間に黒のメッシュがあしらわれ、3本線になっている!
そして人気のカレッジスウェットにはガセット入りの切り替えデザインが。「カレッジものでガセット付きや切り替えってあんまり見ないんですが、色使いもいいなと思ってピックアップしました」(與賀田さん)。ペパーダインユニバーシティはカルフォルニア州にある大学。西海岸らしいデザインや配色が今季のトレンドにもシンクロする。
そしてアストロロジー ストアが力を入れているのが、アメリカの1990年代のカルチャーを象徴するメッセンジャーバッグ。「日本ではまだ知られていないブランドも多いんですよ。このリロードもそうですが、配色のトリミングやカラーブロックが特徴で、ハンドメイドでつくられています」(與賀田さん)。アメリカのペンシルヴァニア州で1998年にスタートしたリロードバゲージ。タフで防水性を備えた本格的メッセンジャーバッグとしてローカルでは信望が厚い。
片っ端から
「欲しい!」を試着
ひと通り説明を聞いたところでさっそく中田が商品をチェック。次々と気になるアイテムを吟味する。目ざとく見つけたのはリーバイスのブラックデニムのGジャン。「この色、めちゃくちゃ調子いいですね」と中田がいうと、スタッフの八木澤 俊さんが「これは80~90年代の70507、いわゆるサードタイプでMade in USAなんですよ。ここまで自然な感じで色落ちしているブラックはなかなかないですね」と答えてくれた。
試着してみるとこの日のブラックジーンズにも見事にマッチ。「サイズも着丈も色落ち具合もちょうどいい。このアタリの出方とか、ヤバイですね!」(中田)。「ブラックはもともと数が少ない上に今人気で。入荷するとすぐ売れちゃうんですよね。今みたいに落ち方の違うブラックデニムを、上下で合わるのもありだと思います」と八木澤さん。
自分好みのものを瞬時に見つけるのがうまい中田。続いてはストライプカーディガンをピックアップした。「これ、マグレガーなんですね。貝ボタンみたいな感じで、配色がかわいい」(中田)。「1960年代のヴィンテージです。素材はアクリルですが、ボックスシルエットで今っぽい感じだと思います」(八木澤)。テンポのいい掛け合いが続く。
八木澤さんのおすすめを聞きつつ物色を続けると、グレーのペインターパンツを発見。「この色落ち、超きれいですね」と中田が手に取ると「カーハートの定番ですが、クリーンな着こなしに合いますよ」と八木澤さん。中田は先のカーディガンとコーディネートしてみることを思いついた。
「サイズもぴったりだ! 新品からここまでクタッた感じを出すまでには相当時間がかかりそう」と、中田は古着ならでは着心地のよさにもうっとり。古着とは思えないモダンなコーディネートが完成した。
ニットやスウェットも
気になる!
店の奥の棚にはニットやスウェットが並び、中田が目を輝かせる。「これからの時期、ニットやスウェットも着たいんで…」と下段からイエローのジャカードニットを手に取る。「クージーみたいだけど、ジャンセン!」(中田)。水着のブランドとして有名なジャンセンは、1916年にアメリカのポートランドでスタートしたニットブランド。古着ではおなじみだ。
「クージー風のジャカードだけどワントーンだからあまりヤンチャな感じがしない。これならクリーンに着られるし、コットン素材だから自宅で洗えて、最高じゃないですか?」(中田)。カーハートのペインターパンツがいたく気に入ったようで、そのまま上にニットを試着。「パンツが薄いグレーならネオンカラーのキャップで、あえてヤンチャに振ってもよいかも?」と、ニットの棚に並んでいたキャップをかぶってみると完璧にハマった。
次に試着したネオンカラープリントのスウェットにはNEW YORKの文字が。「この感じ、めっちゃ尖ってていいですよね」と中田が言うと、「NEW YORKの文字が入っているスウェットは、普通はスーベニア(お土産)ものなんですが、これは今まで見たことがなくて…。フロッキープリントの立体感もよくて選びました」と買い付けで見つけた経緯を八木澤さんが話してくれた。
八木澤さんの
おすすめコーデ
ひと通り試着が済んだところで、八木澤さんにおすすめコーデを紹介してもらった。「アイテムとしてはダブルニーのこのボロボロのワークパンツがおすすめなんですが、スウェットで合わせちゃうといなたすぎるので、きれいめのギンガムチェックシャツやローファーを合わせて、このパンツをハズしに使うぐらいがいいと思います」(八木澤)。
「このボロボロ感はヤバイですね。新品からここまではきこんでダメージを入れるのは大変だから、古着は本当にありがたい。ワークパンツは自分だと、どうしてもカジュアルに落としちゃうので、このコーディネートは新鮮です! 私服でもトライしてみたい」(中田)
ヒップポケットには「後ろ姿もカッコよく」と八木澤さんがジョシュア・ツリー国立公園の地図柄バンダナを仕込んでくれた。こういうちょっとした遊びが、ファッションには重要。 中田の質問にもサクサクと答えてくれた八木澤さん。3年前に大学を卒業した後、一般企業に就職したが、やはり自分が好きな古着に携わる仕事がしたいと、與賀田さんの卸業の事務所スタッフに。現在は海外の買い付けに同行したり、アストロロジー ストアの店頭にも週に何度か立っている。
中田に提案した通り、ワークとトラッドをミックスしたスタイルが持ち味。この日はエディ バウアーの90’sデニムシャツにエンズアンドミーンズの現行ジーンズ、ブルックス ブラザーズの80’sコットンニットで色をさし、足元はブルックスのスニーカーというコーディネート。80’s~00’sの古着を、クリーンに自分らしく着こなしている。
着こなしのヒントが
ディスプレイにも
こぢんまりとした店内だが、商品がゆったりと並んでいるので広く感じる。1階の角地で、大きなガラス窓を設けたり、ドアも木枠にガラスを取り入れているから解放感があって明るい。
何より、そこ、ここにカラフルなロボットやカメやらが散見し、つい遊んでみたくなる空気感。
どうやら店主の與賀田さんが「かわいいモノ」好きらしい。取材の合間に、中田もトラウトのミニクッションを両腕に抱え、生きているように動かしてみせたりして楽しそう(その様子はぜひ動画で!)。
ラックの中には、半袖スウェット×シャツを重ね着したハンガーも散見する。これはコーディネートの提案なんだそう。「ラルフローレンのストライプシャツにアディダスの半袖スウェット。トラッド×スポーツも新鮮ですよね」(八木澤)。
店内でもひときわ目を引く、レジ横のポップ・アートのようなコラージュパネルは同業の方からの開店祝。ディスプレイにも「コレなんですか?」と聞きたくなるものが溢れている。
アーティストコラボの
オリジナルTシャツも
ウッドボックスの上には新品のTシャツが。これは韓国のアーティスト、Yoonkee Kim(ユンキー・キム)とのコラボTでASTROLOGY STOREのロゴを、彼のグラフィティで描いてもらったオリジナル。「Yoonkee Kimは音楽制作で有名ですが、ドローイングなどアート作品も手がけています。グラフィティカルチャーにも造詣が深く、面白いアーティストなんですよね」(與賀田さん)。
小売店を出したことで、與賀田さんの興味のあるカルチャーをオリジナルのプロダクトに落とし込んで提案する場もできたようだ。今後の展開にも期待したい。
ちなみにアストロロジー ストアという店名は、與賀田さんが好きなミュージシャンのアルバム「ASTROLOGY SONGS」に由来するそうで(聴くとほっこりします)、この物件が以前、占いの館だったいうエピソードも何やら運命的。
楽しい時間を過ごした中田は最後、カーディガンとペインターパンツを購入して大満足。「やっと買い物にも行きやすくなって、やっぱり古着屋さんで買い物するのは出会いがあっていいですね! アストロロジー ストアは本当に欲しいモノがいっぱいで、かわいいモノもたくさんあって(笑)、ディグりがいのあるお店。みんなもぜひ、足を運んでみてください!」(中田)。この日はあいにくの雨だったが、晴れ晴れとした表情で店を後にした。
動画も公開中!
アストロロジー ストア
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-54-2
営業時間:13:00〜21:00 年中無休
Instagram:@astrology__store
WEBサイト:https://astrology727.base.shop
Photos:Yumi Yamasaki
Model:Keisuke Nakata [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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