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この春履きたいイージーなレザーシューズを、4人の革靴好きが徹底検証。大本命のデッキシューズとコンサバ過ぎないグルカサンダルが登場した前回に続き、今回はスリッポンとローファーを履き比べて、好みの革靴を選んでもらった。「素足か、靴下か?」問題についても飛び出して、座談会はますますヒートアップ!
フリーランス PR
田中 遥さん
レッドウィング、オールデン、アレン・エドモンズなど、アメリカのシューメーカーの革靴を履くことが多い。そうした足元に、ヨーロッパものの洋服を合わせるバランスが好み。
UNFOLLOW 商品企画
平沢幹太さん
シューメーカーの革靴も、ルメールやマルジェラ、ベッドフォードなどのファッションブランドが出す革靴も、TPOに合わせて分けへだてなく履く。
TOMORROWLAND PR
井上直哉さん
18歳のときに初めて革靴を買ってから、今ではほぼ毎日履くほどに。最近一番履いているのは、クロケット&ジョーンズのサイドゴアブーツ「チェルシー」。
会社員
居内航亮さん
本誌スナップ企画の常連で、毎回おしゃれな着こなしを披露してくれている。革靴は、気分を上げるためにオン・オフ問わず履く。持っているのは、パラブーツの「シャンボード」とフォルメのローファーの2足で、メンテナンスをしながら大事に履いている。次に狙っているのはレユッカス。
革靴のときは靴下、履く?
履かない?
居内:みなさんの履き方のこだわりについても知りたいです。たとえば、素足か靴下か、みたいなこととか。
平沢:真夏にとにかく暑いと、靴下さえしんどいときがあるじゃないですか。このラインナップから好みの革靴を選ぶにあたって、僕はわりと素足で履けるかどうかも重視しました。
井上:僕もグルカサンダルを夏に履くときなんかは、素足のこともありますね。ただ、基本的には靴下を履きますが。
田中:僕も基本は靴下かな。今回のラインナップのなかでは、素足で履けるイメージのつくものってそれほどない気がしました。
居内:春夏の時期に合わせるとしたら、どんなソックスですか?
田中:カラーソックスが多いかも。
井上:僕はカラーソックスの頻度はあまり高くなくて、どちらかというと柄物が多い。グレーやネイビーのアーガイルとかが、けっこう好きですね。
平沢:おしゃれですね。僕は逆に、柄を選ぶのは苦手で。赤とか青の単色とか、あとはグレーや生成色にラメが入っているものをよく履いています。
3. イージーな革靴の
代表選手といえばスリッポン
サンダースといえばチャッカブーツが定番として有名だが、隠れ名品としてスリッポンタイプも存在する。フロントゴア仕様で、とにかく脱ぎ履きがラクなのがいい。(サンダース)¥44,000/グラストンベリーショールーム
井上:春夏には、革靴も気持ちよく履きたいですよね。素足で軽やかにするか、靴下を合わせて清潔感を出すか、みたいなさきほどの話にも通じると思いますが。
居内:イージーな革靴の代表といえば、やはりスリッポンですよね。
井上:サンダースのスリッポンは、ソールのしっかりした厚みがかなり新鮮でした。
居内:サイドからの見え方が面白いですよね。重量感ありますけど、履いてみると、意外と歩きやすかった。
田中:たしかに革靴なんだけど、スニーカーのようにも見えるのがいい。
ミュールサンダルは数あれど、オルフィックの新作はひと味違う。ヒールを踏んで履ける2WAY仕様で、ふかふかのソールは、ランニングシューズでも使われる低反発のEVA素材を使用。(オルフィック)¥31,900/アルファ PR
井上:ブラウンのスエードって秋っぽいイメージですけど、スニーカーみたいに軽やかに見えるんですよね。バランスがいい。同じようにオルフィックも気になりました。
田中:井上さんがオルフィックって、意外ですね。
井上:正直、これまでまったく注目してこなかったブランドです。でも、履いてみると意外としっくりきた。ビルケンの「ボストン」のようなデザインですが、ヒールがあるおかげか、ちゃんと革靴として履ける気がして。
平沢:たしかに、見た目以上に、履いたときの印象はシャープでした。
井上:ソールも厚いので、スラックスをもたつかせても面白い見え方になりそう。
US NAVYのサービスシューズがベースなのに、スリッポン。その珍しいバランスに惹かれる。光沢のあるレザーとなめらかな曲線によるドレッシーさも唯一無二。(N.ハリウッド コンパイル)¥57,200/ミスターハリウッド
居内:N.ハリウッドも意外とボリュームがありました。シンプルなルックスですが、フロントゴア仕様なので、スニーカーみたいに履けそうです。
cあえてライニングを無くすことで、足なじみよく仕上げられている。踵を折って、つっかけ感覚で履きたい。(ニードルズ)¥38,500/ネペンテス
平沢:僕はニードルズのスリッポンが好きですね。かかとを踏んで履きたい。普段からマルジェラやルメールのこの手のスリッポンを愛用しているので、馴染みがあります。あと、フロントゴア仕様で履きやすくなっているけど、ワントーンでシックにまとまっているのもいい。先ほどのサンダースは、ゴアのカラーが切り替えになって目立ち過ぎるのが気になっていました。夏場はショーツをはくことも多いので、脚が見えるときに履く革靴はできるだけ色数を少なくしたいんです。
4. 足し算派?引き算派?
履き心地のいいローファー
スクエアトウになることで、いつものローファーとは全く違った雰囲気。足先にゆとりがあって履きやすい上に、コーディネートのアクセントにもなる。(フット・ザ・コーチャー)¥63,800/ギャラリー・オブ・オーセンティック
居内:僕はローファーも気になりました。普段からよく履くのですが、夏場はシンプルな服装になりがちなので、フット・ザ・コーチャーみたいにちょっと違和感のあるものがいいなと。
存在感あるエンボス加工のクロコダイル柄も、これだけボリュームがあればスニーカーの延長のようにカジュアルに履ける。ジエダの定番は、丸みあるつま先が特徴のフレンチローファーがベース。¥51,700/ジエダ
井上:デザインと価格のバランスでいうと、僕もフット・ザ・コーチャーはすごくいいと思いましたよ。革ももともとやわらかくてワイズもあるから、履き心地もよかったし。同じく履き心地がよかったのがジエダ。これだけボリュームあるシルエットだからこそ、快適に履ける軽さや足なじみのよさは大事ですよね。
田中:僕は、ここにあるローファーは普段あまり手に取らないタイプです。どちらかというとスッキリとしてデザインが凝っていないものが好みなので。
平沢:同じくです。僕もローファーは好きなのですが、スタイリングで“引き算”の役割を担ってくれる比較的シンプルなものを履くことが多いですね。
田中:だからこそ、スクエアトウのローファーを選べる居内さんはすごく羨ましい。
キルトとビットを合わせたエレガントなアッパーに、EVA素材のゴツめタンクソールを合わせたハイブリッドな1足 。国内の生産背景を活かしたロープライスも最高! (ケンフォードファインシューズ)¥18,700/コンコード ショールーム
居内:ケンフォードファインシューズは、リーガルがやっているシューズブランドですよね? デザインに遊びが効いていながら、そういう背景があるからクオリティーと価格がちょうどよくて。すごくいいバランスだと思いました。
田中:靴下の話に戻りますが、たとえばボリュームのあるローファーを履くなら、かなり厚手のリブソックスをたるませて、コギャルみたいに履くのも面白いかもしれませんね。
「気持ちいい革靴」
15足の履き比べを終えて
居内:シャツやパンツを新調するのとは違って、やはり新しい革靴を履くと、気分が格段に変わりますね。
井上:シューメーカーの革靴と比べると、ファッションブランドの革靴はどれもデザインや機能が凝っていますね。そのぶん4人の選ぶものにも個性がわかりやすく出て面白かったですね。
田中:こうしてカテゴリーごとにまとめて履き比べられる機会はそうそうないので、いろんな発見がありました。
平沢:スニーカーと違って、実物を見て履いてみないことにはわからないことが多い革靴なので、店に足を運ぶ必要性もより感じられる。そうすると、ちょっと奮発して買い物をする意味も実感できますよね。
みんなの1位の革靴は何だ?
パラブーツ×ランド オブ トゥモロー
のデッキシューズ
「最初に目にとまって、履いて、すぐ気に入りました。高級感もあるし、40歳ぐらいになっても履いていられそう。最近気分のデニムと合わせてクラシカルなムードを楽しみたいです」(平沢幹太さん/UNFOLLOW 商品企画)
フット・ザ・コーチャーのローファー
「普段からよく履くローファーですが、これはシンプルに見えてトウの形で大きく印象が変わる1足です。いつもどおり履くだけで、着こなしがまったく新しい見え方になりそう」(居内航亮さん/会社員)
スロウのデッキシューズ
「去年の夏に買ったあるデッキシューズは、ソールが薄くのっぺりとしていて合わせるのが難しかった。それを払拭するゴツめのソールを気に入りました! オーセンティックな見た目ですが、シャープな印象もあってモダンに履けそう」(井上直哉さん/TOMORROWLAND PR)
パラブーツ×ランド オブ トゥモロー
のデッキシューズ
「アイレットが4つなので、デッキシューズのなかでもドレス顔。ステッチワークもいわゆるオーセンティックなデッキシューズとは違っていて、エレガントに見えました。ノルウェイジャン製法のソールとのアンバランスさも魅力」(田中 遥さん/フリーランス PR)
Photos:Erina Takahashi Stylist:Masanori Takahashi Text:Masahiro Kosaka[CORNELL]
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