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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でもどの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第13回は最近、アイビーやトラッドなどきれいめスタイル気になるという稲井孝太朗が、中目黒の老舗マンチーズをレポート!
ひと味違う東海岸のアメリカ古着が
トラッド回帰な今の気分にマッチ
ファッションの名店がそろう中目黒に、2003年にオープンしたマンチーズ。オーナーの酒井賢一さんはDCブランド(DCはデザイナーズ&キャラクターズの略称。現在のファッションブランド)を経て、古着業界に入った。オープン当初はアメリカ古着を幅広く取り扱っていたが、次第に自身が好きな東海岸のアイビーやトラッドな古着が中心のセレクトに落ち着いた。
ストリート好きな稲井は、最近はセットアップなどきれいめな服装に開眼。トラッド回帰のトレンドもあって、アイビー的なスタイルも気になりだした。「ストリートなテイストを残しつつトラッドを取り入れるなら、新品よりも古着のほうが自分にしっくりきそう」と思いリサーチして、ヒットしたのがマンチーズだった。
ウッドフロアであたたかみのある店内
最近、中目黒によく足を運び、お店の前は通っていたので、「あそこだ!」とすぐにわかったという。中目黒駅から徒歩5分ほどの、目黒川沿いの路地を入ったマンションの1階(半地下)。ウッドの縦ロゴ看板とショーウィンドウが目印。
店内はウッドフロアで、木製の台や棚、椅子などを使ったあたたかみのあるディスプレイ。しゃれたリビングルームがそのまま古着屋さんになったような、落ち着く内装で居心地がいい。
中央の陳列台にはスニーカーやパンツ、ニット類、壁に沿ってレイアウトされたラックにはアウターやシャツが並ぶ。ドリズラーやブレザーはもちろん、アイビースタイルに欠かせないレタードカーディガンもラインナップ。
トラッドな着こなしにマストな革靴にも力を入れている。アレン エドモンズやハノーヴァーなど、アメリカを代表するシューズメーカーをピックアップ。どの靴もピカピカに手入れがされていて、価格も1万円代からとお買い得だ。「革靴欲しかったんですよね!」と目を輝かせて試着するも、稲井に合うサイズがなく、泣く泣く断念。
ディスプレイのプロップもレザー製のボールやアニマル、メガホンなど“アイビーリーガーだった大人の部屋”を彷彿とさせるようなものが多く、トラッドムードを盛り上げる。どれもこれも趣味がいい。
今欲しいアウターをアレコレ試着
1980年代以降のレギュラー古着がメインだが、中にはお宝的なヴィンテージも潜んでいる。まずは今いちばん欲しいアウターをチェック。「羽織るだけでトラッドなムードが出せるのは、やっぱりアウターですよね! 黒い服が多いので、カラーアウターにトライしたいと思います!」(稲井)。
入り口付近のラックからマイティーマックのコーデュロイジャケットを目ざとく見つけた。マサチューセッツ州で創業されたセーリングブランド。「マイティーマックは1990年代にはブランドが消滅していますが、凝ったディテールでおしゃれな人々に支持されていました。こういう知る人ぞ知る、ひねりのあるブランドを積極的にピックアップしています」と酒井さん。
「タロン製のジッパーがついている! ヴィンテージの重要ディテールですよね?」(稲井)。ファスナーについた大きな引き手は“Tバー”といわれる独特のディテール。裏地にはボアがあしらわれ、ストラップを閉じれば防寒対策はばっちりと、機能的なデザインも持ち味だ。
「サイズもぴったりだし、めちゃくちゃ暖かい!」(稲井)。この日の全身黒の服装にも見事にマッチ。しかもどこか優等生ムードが加わり、いつもと違う稲井スタイルに。「最近見た90年代の映画『マイ・プライベート・アイダホ』の中で、リバー・フェニックスがこういう雰囲気のブルゾンを着ていたので、すっごく惹かれました」(稲井)。
続いてはマウンテンパーカ風のデザインにチェックの起毛裏地が付いたランズエンドのコート。「赤って難しい色だけど、ヴィンテージだとこなれて見えて取り入れやすそう。裏地のチェックがまじめな感じだけど、赤×黒だから黒コーデにもなじむし」(稲井)。
ランズエンドはメールオーダー(今でいう通販)で成長した。こちらも1963年にヨット用品からスタート。日本では1980年代にトラッド系のセレクトショップなどで紹介され、1990年代のキレカジ(渋カジから派生した “きれいなカジュアル”の略称)時代に広く知られるように。現在は日本国内でも通販を展開する。
店内の奥にはデニムやミリタリー、レザージャケットなど、男っぽいアウターをまとめたコーナーも。稲井が引き寄せられ「こんな色のライダースもあるんですね! デザインも今のものにはなくて新鮮」と、グレーのライダースをピックアップ。裏地が取り外しできる仕様もヴィンテージならでは。
男っぽいアイテムにはやっぱり弱い
壁にかかったU.S.NAVYの刻印があるパンツが気になった稲井。「これは1940年代のヴィンテージで、船の清掃用に使っていたデッキパンツです。金具も当時のモノでかなりレア。まだ防水素材が一般的でなかった時代だから、生地と生地の間に防水シートが入っているんですよ」(酒井)。
試着すると「本当だ! はくとカサカサ音がしますね!」(稲井)。ブルックスブラザーズのハイゲージタートルと、ミリタリーでおなじみのゴールデンフリースのジップジャケットでシンプルにスタイリング。男らしいけれどクリーンというのが新鮮だ。「このフリースがこの値段というのは安すぎる!」(稲井)。
今旬のきれいなアメカジに挑戦
ストリートなアイテムには敏感に反応する。次に見つけたのは、マスタード色のスニーカー。「ヴァンズかと思ったんですが…」と稲井がいうと「これはスケーターチームから生まれたVISION STREET WEAR(ヴィジョン ストリート ウェア)というブランドで、日本でも90年代にブレイクしています」(酒井)。当時スケーターの間で流行ったスーパースターをサンプリングしたデザイン。
豊富にラインナップされたノルディックセーターから、スニーカーと同じ配色のニットを見つけ、ブラックデニムのリーバイス505とコーディネート。
「シュプリームのスタッフが、ブラックデニムにハイカットスニーカーを合わせてピタッとしたサイズのニットを着ていたのがカッコよくて。普通でいてスタイリッシュ。それが今、僕が目指すスタイルです」(稲井)。カラーアイテムを使ったコーディネートも、古着だと自然とこなれ感が出て上級者のスタイルに見える。
「これに合わせるなら…」と見つけたのがグリーンのヤッケ。「L.L.ビーンも気になっていたブランド。古着の、この自然な色落ちがいいんですよね」(稲井)。ストリートとトラッドは相性も抜群で、稲井が目指すコーディネートが完成した。
「L.L.ビーンのヤッケはお腹のポケットに収納できるパッカブル仕様。アウトドアブランドならではの機能性があるアイテムは古着でも人気です」(酒井)。メイン州の本店は24時間営業でも有名。ヒット定番も多く、古着の市場でも人気が高い。
ヴィンテージのショップコートに
ひと目惚れ
酒井さんが稲井に似合いそうと選んでくれたのは、1950年代のリーのショップコート。「デニムでおなじみのリーはワークウエアで業績を伸ばし、当時はいろいろなメーカーのユニフォームも手がけてました。このコートもそんなアイテムのひとつ」(酒井)。チェックシャツで品よく合わせつつ、旬のワークブーツでトレンド感も盛り込んだ。
「色がきれいで、しかもツナギっぽいデザイン。クリーンなワークテイストがいいですね! ブーツも気になっていたので、こんな合わせ方で履いてみたい」(稲井)。
スニーカーや雑貨類もお見逃しなく
ストリートとトラッドがバランスよくセレクトされているマンチーズ。スニーカーはユーズドやデッドストックだけでなく、並行輸入の現行品も取り扱っており、それを目当てに来店するファンもいるそうだ。こちらのヴァンズはUS企画のカリフォルニアラインのデッドストック。
またインテリア雑貨にも力を入れていて、希少な1960年代のウッド製ダンスクなども仕入れの際に買い付けているそうだ。2~3か月に一度は店主自らアメリカに出向き、ハンドピックで仕入れをする。愛情が詰まった品のいい古着は、今のトレンドにハマるものばかり。
「インスタを見て来店して、お目当てだけ買って帰る若いお客様もいらっしゃいます。せっかく足を運んでくれたなら、もっといろいろ見ていってほしいな…と思っています」と控えめに酒井さん。古着だけでなく、ファッションの知識が深まること確実だから、ぜひともコミュニケーションを楽しんでほしい!
動画も公開中!
マンチーズ
住所:東京都目黒区上目黒1-15-7 B-1F
TEL:03-3463-0623
営業時間:13:00~21:00 火曜定休
※買い付けなどで長期休暇あり。詳細はInstagramにて。
Instagram:@manchies_nakameguro
WEBサイト:manchies-nakameguro.tumblr.com
Photos:Yumi Yamasaki
Model:Kazuma Anzai [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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