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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でもどの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第11回は古着をディグるのは初という水沢林太郎が「自分好みの検索ワードでヒット」した江戸川橋のアンクをレポート!
生きたグルーヴを感じる古着を
ハンドピック!店主の願いは
「たくさん試着してほしい」
古い印刷工場が残る早稲田鶴巻町にポツンと佇む、古着とヴィンテージ家具の店がアンク。江戸川橋駅から徒歩5分ほどの裏通りに、2年前の2019年11月1日にオープンした。このエリアで午後4時から深夜12時までという営業時間もユニークながら、2周年ではさまざまなミュージシャンのストアライブや写真展を企画するなど、カルチャーの発信地としての存在感も漂う。
積極的に古着屋に行ったことがないという水沢林太郎が、「最近、興味が湧いてきた」とネットで検索。「モード系の服が好きだから、そのあたりの言葉をいくつか入れてヒットしたのがアンク。広々とした店舗の写真もよかったし、古着だけでなく家具を売っているのも面白いなと感じて『行ってみたい!』と思いました」の言葉通り、アンクは林太郎好みの店だった。
シンプルながら店主の愛を感じる店内
店主は岐阜県出身の兒玉拓也さん。学生時代に名古屋で古着と出会い、人を通して古着の魅力を知った。上京した後は渋谷の雑居ビル時代のネペンテスの世界観に惹かれ、影響を受けた。服飾とは違う仕事をしていたが、資金がたまったのをきっかけに兼ねてから思い描いていた古着と中古家具のショップをオープンすることに。「街のイメージにとらわれずフラットな気持ちで古着を楽しんでほしい」という想いから、あえて古着屋がないエリアに出店した。
アメリカ、ヨーロッパ、日本と世界中から、1990年代までのものを中心に“ひと癖”ある古着をハンドピック。「音楽のような“生きたグルーヴ”を感じるものだけを買い付けています」と兒玉さんが語るように、独特の基準で商品を選ぶ。「性別に縛られないラインナップ」もアンクの魅力。とりあえずは端から端まで、先入観なしに一周するのがおすすめだ。
リメイクもののプロデュースも手がけ、このヴァンズのスニーカーもそのひとつ。「去年アンクで作品を展示したアーティストのmym.さんにペイントしていただきました」(兒玉)。スニーカーを置いたニットのストールやテーブルなど、店内にあるものはすべて商品で、買うことができるのもアンクならでは。
あれもこれも! 着てみたい服ばかり
店内に入るや目を輝かせて、気になるアイテムを次々試着する林太郎。「お店に入った瞬間、このローブが目に飛び込んできました。僕が好きなロング丈&花柄で、ベルベットやワインレッドの色みもエレガント」(水沢)。Jasmine Rose(ジャスミン ローズ)はアメリカでは有名な、歴史あるウィメンズ向けラウンジウエアブランドだ。この日はいていたダイリクのパンツやヒールブーツにも、見事にマッチ。身長を生かした林太郎ならではの着こなしだ。
続いては前立てに花柄の刺しゅうがあしらわれたニットベストとリーバイスのオレンジタブのフレアジーンズ。「自分が今いちばんしたいちょっと中性的なコーディネートです。フレアジーンズを古着で探していたので、このリーバイスはレングスもウエストもぴったり」(水沢)。シンプルな白シャツとジーンズがベースだから、フェミニンなベストがほどよいアクセントに。
「水沢さんが“中性的”と表現してくれた言葉がしっくりきました! アンクが目指しているのはそういうムード。このニットベストは仕上げに手刺しゅうが施された、ハンドメイドの一点モノです。世の中にふたつと無いようなデザインに魅力を感じて、少しずつ集めています」と、兒玉さんも林太郎の着こなしに共感。
続いては鳥がプリントされたスウェットに白の軍パンをピックアップ。オールレッドのコンバースでいつもの林太郎とはまったく違う雰囲気に。「軍パンも挑戦したいと思っていたアイテム。水色のスウェットのシルエットやサイズ感が気に入ったので、合わせるならパンツは白かなと。赤いスニーカーが目に入り、履いてみたらバッチリで。『違うジャンルも行ける!』と、自分の可能性が広がりました!」(水沢)。ワッチキャップは「合いそう」と、兒玉さんが足してくれた。
温かみのあるざっくりニットが推し
スタイリングのアイデアが溢れ出る林太郎と「買わなくてもいいから試着をして、服たちと遊んであげてほしい」という兒玉さんは、初対面とは思えないほど意気投合。「水沢さんのイメージで」と選んでくれたのが、今季おすすめのセーターをメインにしたコーディネート。
「マグレガーのベストはコーデュロイ面が表ですが、裏側のダイヤ柄パターンがすごくかわいかったので主役に。インナーは僕が今季たくさん買い付けた、ヨーロッパの伝統的なセーターの中からアランニットを選びました。ボトムは少しハードな革パンが水沢さんの雰囲気かな」と兒玉さんが言うと、「僕もレザーパンツをはきたいと思っていたので、このコーディネート、すごくいいですね!」と林太郎も思わず笑顔。
店内には今季推しのアランセーターやノルディックセーターなど、主にノルウェー製のヴィンテージをまとめたコーナーも。その一角に飾られたパタゴニアのマウンテンパーカと組み合わせてもいい感じ。
古着をリメイクしたモードな一点モノ
「これもぜひ、水沢さんに着てほしい」と用意してくれたのが、兒玉さんの旧知の友、KOH ISHIGUROが手がけるリメイク古着。「独学で服をリメイクしていますが、そのセンスが素晴らしいんです。デニムジャケットはコウさんの初期作品。スラックスはアンクの商品を使ったリメイクで、ダブルネームで展開しています。コウさんの技術で生まれ変わる洋服を僕自身がもっと見たいし、皆さんにも知ってほしいので、今年も新作を展開する予定です」(兒玉)。
背中にまでフリルがあしらわれたデニムジャケットは、リメイクを超えてオートクチュールのようなオーラが。「これはもうアートピース。全方向カッコいい! 一着持っていたら最強だと思います。チェックと無地をアシンメトリーに切り替えたパンツも、今まではいたことがない感覚で新鮮でした」と林太郎も絶賛。
猫好きならわかるリアルな猫アイテムも
店内を見てまわると、猫のアイテムが目立つところに置かれていることに気づく。聞けば兒玉さんは大の猫好き。「巷にはファンシーな猫アイテムがあふれていますが、僕は“こびていない”リアルな猫のものを厳選しています。このスウェットもおそらく猫好きな人がハンドペイントしたものかと」(兒玉)。こういうアイテムが見つかるのも古着ならでは。
入口すぐの棚にも、ふてぶてしい猫のTシャツが。「猫好きが見ると『いるよね、こういう猫』というプリントです」(兒玉)。
耳が欠けた猫のオブジェは古着屋の先輩からの贈り物。「ケンカで耳をかじられた猫のようで愛おしいんです」と猫トークで盛り上がる。12月2日から『人と暮らす動物』という名称で、公募した猫の写真を展示する企画も現在進行中だ。
家具も気になるし物欲が止まらない!
商品だけでなく兒玉さんのトークにも引き込まれ、楽しい時間はあっという間。ヴィンテージの家具やインテリア向きの雑貨類も見どころ満載で、長居したくなる。「来られるお客様は皆さん、ゆったりと買い物を楽しんでくださいます。『下北沢や高円寺を1日回ってもお気に入りが見つからないけど、アンクに来たら毎回刺さる服がある』と言っていただけるのが励みです」(兒玉)。
林太郎はというと、次の仕事に向かう時間が差し迫っているにもかかわらず「探していたナイロン生地のトレンチコートを見つけました! 欲しい」とスイッチが切れず、「きょうはお金を持ってこなかったことが本当に悔やまれます。近いうちに絶対、きょう見つけた服を買いにきます!」と後ろ髪を引かれつつ店を後にした。「服は人をしあわせにする」と想う兒玉さんが選ぶ、“さわればわかる生きた古着”をぜひアンクで体感してほしい。
動画も公開中!
[unk]
住所:東京都新宿区早稲田鶴巻町579-5 1F
営業時間:16:00~24:00 水曜定休
Instagram:@unk_used
WEBサイト:unk.fashionstore.jp/3
Photos:Yumi Yamasaki
Model:Rintaro Mizusawa [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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