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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でもどの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第9回は実は古着初心者というメンズノンノモデルの樋之津琳太郎が、スタッフのInstagram動画に惹きつけられた下北沢のノイルをレポート!
動画でも情報を発信してバズる古着店は
モードなリメイク古着とセットアップが充実!
古着店がオープンラッシュの下北沢に、10月には2店舗目を出店する勢いのあるノイル。オーナーの矢田千広さんは29歳。ファッション系の専門学校時代、勉強のために古着を見るようになって興味を持った。古着店のスタッフを経て2016年、三軒茶屋にノイルをオープンし、1年後の2017年に今の場所に移転してきた。
「1970年代から1980年代のカルチャーが好き」という矢田さんの趣味を反映したアメリカの古着をそろえる。買い付けはL.A.やテキサスが多いそうだが、いわゆるアメカジというよりはモード感強めのセレクト。店頭に立つスタッフも若くモデルのようなルックスで(実際、モデルとして活動している人も)、Instagram の動画やTikTokの投稿が集客に一役買っている。「動画がすごく洒落ていて、それがきっかけで僕もノイルに興味を持ちました」と樋之津がいうように、今の時流に乗った古着店だ。
セットアップの品ぞろえには自信あり!
下北沢の駅から近い雑居ビルの2階にあるノイルは、入口にギャラリースペースのような空間があり、陶製のバスタブいっぱいのアートなフラワーアレンジメントが目を引く。壁からは鹿の剥製がぶら下がり、ヨーロッパのヴィンテージショップのようなムード。
店内は洋服のジャンルごとに商品が陳列されていて見やすい。入ってすぐ右手にはデニムや革ジャンのようなタフなアメカジアイテム、右奥にテーラードジャケットのスーツをはじめ、スポーティなブルゾンやジャージのセットアップとパジャマ。左奥はスウェットやTシャツなどカジュアル古着とリメイク商品をラインナップ。
テーラードスーツのラックの手前には、ヴィンテージならではの凝った刺しゅうのシャツがトルソーにディスプレイされている。昆虫のモチーフが襟や背中に大胆にあしらわれたユニークなデザイン。「60~70年代のバイカーチームのオーダーシャツ」と矢田さんが解説してくれた。スーツやセットアップは大半が70年代~80年代のもので色や柄がモダン、かつコンディションも抜群。
どこかモードなノイルの古着に合うヴィンテージのデザインアクセサリーやベルト類も、入口すぐの左手の棚にまとめられている。店内の壁にはカナダ人アーティストのグラフィックポスターが飾られるなど、ギャラリー風のインテリアにもセンスがにじむ。
看板スタッフSEIDAIさんにおすすめを聞いた!
今シーズンは古着のセットアップに挑戦したいという樋之津。古着初心者ということもあって、看板スタッフのSEIDAIさんに相談してみた。「テーラードジャケットのベーシックなデザインがいいかなと思っているんですが、おすすめはありますか?」と樋之津が尋ねると、「リーバイス®のスタプレストのスーツはどうですか?」とSEIDAIさんが瞬時に選んでくれた。ブラウンのウール調の3ピースだが、確かにリーバイス®メンズウエアのネームや、スタプレストのパッチがついている。
「1970年代、リーバイスにはジーンズとは別に“リーバイス® メンズウエア”というレーベルがありました。そこでイージーケア性に優れたスタプレストのスーツなども展開していたんですよね」と矢田さんが教えてくれた。さきほどのトルソーの刺しゅうシャツがばっちりマッチ。「サイズもぴったりだし、この素材は1年中きれいに着られそう! 古着とは思えない完成度です。こういう古着をこれから取り入れたいと思っていました!」(樋之津)。
スタプレスト素材ならではの着やすさはもちろん、古着には見えないコンディションで、まさに探していたスーツと樋之津も感動。ちなみに、樋之津が見たノイルの動画に出演しているのがこのSEIDAIさん。スーツをカッコよく着こなしている動画も多く必見だ。
モードを感じるアイテムをピックアップ
SEIDAIさんと話をしていろいろ知識を得た樋之津が、自分好みのアイテムを物色。シンプルでモード感のあるスタイルが好みというテイストに合うものも多く、選びがいがある。カジュアルなセットアップが並ぶラックから選んだのがこのミントグリーンのブルゾンのセットアップ。「くすんだ色みがオーラリーあたりにありそう。少しフレアになった、裾にたまるパンツのシルエットもきれいで今っぽく感じました」(樋之津)
HAGGERは70年代にアメリカでNo.1のパンツブランドとして君臨した、今も存続するブランド。古着店でも見かけることが多いが、こういうきれいな色のセットアップは珍しい。こちらも70年代のアイテムで、デザイン的にはグッチのコレクションの元ネタのような存在感。
これから活躍する秋冬アウターも気になるところ。この日はいてきたルメールのパンツに合うデザインブルゾンを発見。「デザインが強くても黒なら取り入れやすいので選んでみました。今の服にないこういったデザインに古着ならではの魅力を感じます」(樋之津)。こちらは80年代にコスチュームとしてつくられたジャケットらしく、まさに一点モノ。
秋注目のアメカジ古着にも挑戦!
アメリカ古着ということで店内にはバンドTやデニムも、もちろん並ぶ。ノイルではモトリー・クルーなどハードロック系のバンドTや、「奇想の版画家」といわれるエッシャーのアートTシャツなどが人気を集め、値段も高騰しているそうだ。
まずはインスタグラムで見て「欲しい」と思ったリメイクスウェットを試着。「私服では今まで着たことがないのですが、きれいな服に合わせると抜け感やこなれ感が演出できる気がします」(樋之津)。襟や裾にダメージ加工を加えたヴィンテージスウェットはノイルの人気商品。 ダメージはモードのトレンドともリンクしているので、店頭に並ぶとすぐに売れてしまうそうだ。
矢田さんは服飾専門学校出身ということもあり、オープン当初から自身でヴィンテージのリメイクを手がけ、販売してきた。2018年にはバンクーンバーファッションウィークに参加して、ランウェイでリメイクのコレクションを発表した経歴も(コロナ禍で休業したウィメンズのDIFF LIMENという姉妹店名義で参加)。
今は専属のスタッフとともにダメージのほか再構築、インサイドアウトなどモードの技法で古着をリメイクし、ノイルで販売している。秀逸なアーカイブはInstagramで見ることができるので、ぜひチェックしてほしい。
続いては「今まで着たことがない」オンブレチェックのシャツをピックアップ。「オーラリーにも黒×白のこのチェックがあったので、選んでみました。デニムでなく同系色のブラウン系のスラックスに合わせたら自分に寄せて着られる気がしました」(樋之津)と、80年代らしい3タックパンツでコーディネート。足もとは黒のメッシュサンダル、白いソックスを生かして抜け感を添えた。
シャツはアメリカ古着で有名なキャンパスの80年代のもの。レーヨン混のフランネルだからドレープ感があり、ドレッシーな着こなしにもマッチする。ウエスタン系の飾りバックルベルトがほどよいアクセントに。
ノイルがこの秋推すカーディガン
入り口すぐのラックに並んだスポーティなカーディガンは、この秋、ノエルがプッシュする古着。70年代から80年代に流行したアイテムで、ボディはアクリルなど化繊素材。胸にワンポイントの刺しゅうだけのシンプルなデザインは着回しやすく、アウターとして、冬はインナーにと秋から春まで長く着られる。ラコステなど人気ブランドは少し上がるが、大半は1万円程度で買える。
お気に入りのリメイクベイカーパンツにニットで有名なアメリカのブランド、ジャンセンのカーディガンをコーディネートしたSEIDAIさん。オリーブ×ベージュの秋っぽい配色がスタイリッシュだ。SEIDAIさんは広島出身の21歳で、現在は自身のブランド「welcometocollege」を手がけつつモデルやノイルのスタッフとしても活躍する。TikTokは340万人、Instagramは17万人を超えるフォロワーを持つインフルエンサーだ。
「ファッションに興味を持った入口が古着でした。今は古着かメゾン系、振り切ったスタイルが自分の持ち味になっています」(SEIDAIさん)。好きなブランドはグッチ、ミュウミュウなどヨーロッパ系のメゾンとNYのエメ レオン ドレ。ファッションやカルチャーへの造詣も深い。
ノイルはプライスタグにMagic: The Gatheringのカードを使っていて、こういったところにもオーナー矢田さんのこだわりやセンスが垣間見える。
中規模の古着店ながら、ダブレットを彷彿とさせるヴィンテージのリメイク古着などが散見するなど、ディグしがいは十分。魅力的な古着が見つかるだけでなく、スタッフがカッコよくて楽しくてと、まさに「通いたくなる」古着屋なのだ。「ノエルにきて、古着に対する見方が変わりました。これを機に自分のワードローブにも古着を取り入れていこうと思います!」と樋之津がいう通り、古着初心者にこそおすすめしたい古着屋さんだ。
動画も公開中!
NOILL
住所:東京都世田谷区北沢2-12-16 三鈴ビル302
営業時間:13:00〜20:00 無休
Instagram:@noill_tokyo
WEBサイト:noill.jp
Photos:Yuumi Hosoya
Model:Rintaro Hinotsu [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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