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僕たちにいつも最高にカッコいいファッションを紹介してくれてるスタイリスト。おしゃれを刺激してくれる存在として、また頼れるアニキとしても憧れの的だ。ところで、世界のスタイリストってどんな感じ? どんな一日を過ごしてる? メンズノンノ本誌では、3都市からの濃いレポートを紹介!
メンズノンノウェブでは、本誌に掲載しきれなかったロングインタビューを特別に公開。第3回目に登場のべランジェさんは、メンズノンノからの質問にテキストで回答を送ってくれた! ファッションだけでなく、アートにも造詣の深いべランジェさんのインスピレーション源や、パリのおすすめスポットに注目したい。
ソウル、パリ、N.Y.から、
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<べランジェ・ペルク>
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MN: みなさんにお伺いしていますが、まずべランジェさんがスタイリストになりたいと思ったきっかけから教えてください。
べランジェさん(以下B): とにかく僕は、言語・言葉のように洋服を通して自分自身を表現するのが好き。スタイリストであることは、ストーリーを語ること、キャラクターを作ること、参考となるものや素材で遊ぶこと。いつもたくさんのことを僕に与えてくれると思ったから!
MN: スタイリストには、実際どうやってなったんですか?
B: 北マレにあるエコール・デュペレという服飾を学べる学校で、モードを専攻しました。それから、大御所スタイリストのアシスタントになりました。今はスタイリストとして自分のプロジェクトを手がけています。
MN: 具体的にどんなお仕事をしているのでしょうか。
B: その時のファッションシューティングに合わせて洋服を選びます。伝えたいストーリーや写真で、作りたい雰囲気に合わせて、雑誌やブランドのために洋服の組み合わせを決めますね。
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MN: 自分のスタイリングはどんなテイストだと思いますか?
B: いろいろなジャンルのものをミックスするのが好きです! 分かりやすかったり、ステレオタイプのようなものは嫌いで、たくさんのインスピレーションをミックスすることで予想しなかったいい結果が起こると考えています。僕にとってのスタイルとは、この驚きの効果です。
MN: 撮影では特にどんなことを大切にしているか、教えてください。
B: 僕たちスタイリストは、他にもたくさんのスタッフと仕事をします。フォトグラファー、モデル、ヘア、メイク、時々セットデザイナーなど、みんなで一緒にイメージを作り上げる、チームでの仕事です。自分たちそれぞれのビジョンを共有し、協力することが大切です。
MN: これまでやった仕事で一番エキサイティングだったのは?
B: エディトリアルの仕事が大好きです。自分たちチームが一番クリエイティブでいられる場所であり、制約や制限がなく、本当に自分自身を表現できる場所だから。特に『Double Magazine』での仕事が大好きです。
▲べランジェさんが手がけたエディトリアルの仕事を見せてくれた。
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MN: パリの若い世代に人気のファッション、最近のトレンドは?
B: 実は僕自身、トレンドにあまり興味がありません! 自分で何かを感じてそれを自分のやり方で解釈する方が好きです。なので、ちゃんと探せばいいものがたくさん見つかるヴィンテージショップによく行きますね。リサーチも兼ねてけっこう頻繁に訪れます。
MN: この夏注目しているファッションは?
B: 『Online Ceremics』や『Aries』のシルクスクリーンのTシャツ! そこにサテンのショーツと、足元にはビルケンシュトックを合わせて、海に行きたいね。ジル・サンダーのパンツを合わせるのもいい。上質な素材の綺麗なシルエットのものが好きです。
MN: 個人的にファッションアイテムを買う時のこだわりは?
B: 服を買う時は、そのアイテムに一目惚れする必要があると思っている。でも同時に、本当に毎日着られると感じることも大切です! すごくそのアイテムが好きであっても、自分の日常に溶け込めないものなら買わないかな。それと僕は地球の環境に配慮していることもあって、ヴィンテージを多く買うことにしている。
▲TシャツがAries、パンツはルメール。シューズはJ.M. Westonで、ストリート感とクラシカルなテイストをミックスしたスタイリング。
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MN: よく自分のインスピレーション源となるものは?
B: 『Gentlewoman』、『Double Magazine』、『Marfa journal』と自分が仕事をしている雑誌。あとは映画もよく観るんだけど、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、レオス・カラックス、ジョン・カサヴェテス、アブデラティフ・ケシシュ、クレール・ドゥニが好き。その他にも文学や美術には日常的に触れています。
▲べランジェさんが暮らすアパルトマンの一室には、服だけでなく、インスピレーションの源となる本やアートがぎっしり。
MN: ファッションアイコンはいますか?
B: ペギー・グッゲンハイム、スティーブ・ストレンジ、パロマ・ピカソ、ジーナ・ローランズです。
MN: 自由にパリへ渡航できるようになったら、メンズノンノ読者にぜひ訪れてほしいスポットは?
B: 今回の撮影でも訪れた『Guerrisol』! フランスでは“フリプリー”と言われる、低価格の古着屋さん。本当に安いし、探せばいいものが出てきます。美術館なら『Palais de Tokyo』。それと今年5月にオープンしたばかりの『Bourse de commerce-Pinault Collection』にも行ってほしいです。歴史的建造物を安藤忠雄さんが改修しています! 『Galerie Chantal Croussel』、『David Zwirner』、 『Kamel Mennour』のアートギャラリーもおすすめです。僕の仕事には、アートの教養はとても大切なんだ。
▲べランジェさんがメンズノンノ読者におすすめしたいパリの古着屋『Guerrisol』。リサーチや買い物でよく訪れるそう。
MN: 普段の暮らしを紹介してください!
B: 日常的に、プールや美術館に行ったり、映画を観に行くのが好きです。友だちとバーに出かけたり、しばらくオープンしていなかったけど、ナイトクラブに行くのも好きだよ。あとはBelleville(パリ20区)にあるアトリエで陶芸をやっています。それもとっても好き! 自分の手を使って、形や色を作る、自分自信を表現するもう一つの方法です。僕の2番目のパッション! 1年前に偶然始めて、今は毎週アトリエに行ってるよ。
▲べランジェさん自作の陶芸作品コレクション。
MN: 日本のファッションのイメージは?
B: とてもアヴァンギャルドで趣味がいい。特に川久保玲さんなど、日本人のデザイナーが大好き!
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MN: スタイリストとして今後やりたいことは?
B: 美しいイメージづくりと、面白い人たちとの出会いをこのまま続けていきたいです。
MN: ファッションはあなたにとってどんな存在?
B: 僕にとってファッションは、言語。みんな社会問題、自分たちの時代、セクシャリティ、文化、ユーモアについて話しますよね。それと同じで僕はファッションでそのことについて表現している。ファッションは、とても大切なものだと思います。
べランジェ・ペルク/Bérenger Pelc
エコール・デュペレを卒業後、アシスタントを経てスタイリストデビュー。パリ発のインディペンデントなファッション誌『Double Magazine』や、世界中のホットなアーティストを紹介する『Marfa journal』、その他にも『Alla carta』や『Novembre』などでの個性的な仕事が注目を集める。
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Instagram:@berengerpelc
Photos: Mari Shimmura Coordination:Shoko Sakai
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