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シンプルは深淵で、デザインの塊は細部に宿るとか…。だから定番品こそ、隠れたこだわりの詰まった“本当にいいもの”を。トレンドに囚われず長く愛せるものに目を向ける「名品図鑑」連載の、第35回のテーマはショートジャケット。ニットやロンTの上にさっと羽織るだけでサマになり、着丈の短さを生かしたレイヤードも楽しめる。春先の肌寒い日に備えて、品質とデザインともに優れた一着を準備したい。今回もファッションプロを選者に迎え、大人が着るべき名作5選を紹介する。
テック素材をモードな佇まいで
代官山の人気セレクトショップ「O」の吉田拓氏がディレクションするブランド、カイコー。このブルゾンはミリタリーのトレーニングウェアをベースに、ブランド独自のパターンで設計。摩擦に強く丈夫なストレッチナイロンツイル生地は、しなやかさと光沢感があり、上品かつスタイリッシュな印象だ。シンプルながら洗練された一枚。「ブルゾンに近い素材感の化繊アイテムを組み合わせて、程良くテックなスタイルに合わせたいです。素材感を活かしたオールブラックスタイルがおすすめです」。(伊野 智也/O代官山ショップスタッフ)
カジュアルにもキレイめにもなじむ逸品
名俳優やロックスターから愛されてきたハリントンジャケットがフランネルソルから登場。高密度に織られた生地は上品な光沢感があり、程よいゆとりがあってリラックスして着用できるのが魅力だ。オーセンティックなデザインを生かしてキレイめに着てもよし、往年のファッションアイコンを真似てカルチャー感のあるスタイリングを楽しんでもよし。「コットン100%の素材にワッシャー加工が施してあるため、クラシカルな印象が強く出過ぎずナチュラルな雰囲気でどんなスタイルにも合わせやすいです」。(香村 竜平/ブルーム&ブランチプレス)
機能を追求した美しさ
プロダクトトゥエルブのブルゾンは、立体的なシルエットの美しさと機能性の高さが魅力。防水透湿性に優れたリップスストップナイロン生地はサラリとした肌触りで気持ちがいい。ポケットやフロントの仕立てや、フードの立ち上がりと、実用性を考慮しながら削ぎ落とされたデザインは、至極モダンだ。「裾口と袖口を絞ってシルエットに変化を付けられます。トップスはコンパクトにまとめて、グレーの太めのパンツにキャップを被ってバランス良く合わせたいです」。(伊藤 誉/ムロフィス プレス)
落ち着いた花柄で、大人の遊び心を
日本、アメリカ、アルゼンチン、メキシコど様々な国の様々な文化と伝統からインスピレーションを得たプロダクトを生み出すインコンスピキュアス。一見無地のようで、近付くとわかる全面の花柄レースが玄人なデザイン。フェミニンなモチーフと、マニッシュなフラップポケット付きシャツの掛け合わせが、独特のムードを放つ。「素材、縫製ともにインド製で、どこか異国情緒を感じる佇まいが魅力です。レース生地を使用していますが、形はベーシックなオープンカラーシャツなので、誇張しすぎず程よいアクセントになってくれます」。(東 将平/スタイリスト)
ウルトラスエードの上品な表情
柔らかくコシのあるサステイナブルレザー、ウルトラスエードを使用。優しい風合いの上品な素材と、ストンと落ちるモダンなシルエットが、スエードブルゾンの無骨さを中和してくれる。ややゆったり目のシルエットと短めの着丈によって、現代的で洗練された着こなしが叶う。「リーバイスの505のようなすっきりとしたデニムにハイゲージのニットを合わせて、トラディショナルながら品のあるスタイリングに仕上げたいです。セットアップでパンツも作っているので、それと合わせるのもおすすめです」。井上 直哉/トゥモローランド プレス)
Photos:Yoshio Kato Stylist:Atsuo Izumi Composition&Text:Takako Nagai
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名品図鑑