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この夏のスタイリングのヒントを、サマームービーから見つけてみよう! 日本、フランス、アメリカの3つの名作をファッションの視点で解き明かす。
あの夏、いちばん静かな海。
『あの夏、いちばん静かな海。』
北野 武 | 1991年
Cast:Kotaro Inai Ryo Matsuura
レトロなサーファースタイルを
参考に絶妙ないなたさを狙う
北野映画に登場する人物たちのファッションはどれも魅力的だ。『BROTHER』などのヤクザ映画で黒いスーツを渋く着こなす男たちや『菊次郎の夏』の白い開衿シャツのイメージがある一方で、『あの夏、いちばん静かな海。』では80~90年代のレトロなサーファースタイルが印象に残る。眞木蔵人演じる茂の真っ赤なスウェットに細身のジーンズを合わせた、いなたいムードがあらためて新鮮だ。そして、黄色いトップスを着た恋人の貴子と並んだときのコントラストが美しい。その他のチェックシャツやロゴスウェットを無造作に着こなしているのも惹かれるし、なんといってもサーフィンに夢中になる茂のひたむきな姿が、僕たちを静かに奮い立たせる。
『あの夏、いちばん静かな海。』
©Photo12/amanaimages
『その男、凶暴につき』『3-4X10月』に続く、映画監督・北野武の3作目。監督初の恋愛映画で、サーフィンにのめり込んでいく聾唖の青年、茂(眞木蔵人)と彼に寄り添う恋人の貴子(大島弘子)の姿が静かに映し出される。「キタノブルー」と呼ばれる原色を抑えた独特なブルートーンと、久石譲によるテーマ曲が映画を引き立てている。
Conte d’Eté
『夏物語』
エリック・ロメール | 1996年
Cast:Eriya Lisa Bayne
Vネックのハイゲージニットを
あえてラフに着こなしてみる
フランス映画に出てくる男性の、上品で軽やかな夏の着こなしに憧れる。ゴダール映画や『太陽がいっぱい』のアラン・ドロンのファッションもいいけど、ここで取り上げたいのはエリック・ロメールのバカンス映画のスタイリング。たとえば『夏物語』の主人公ガスパールのような、素肌にVネックのハイゲージニットをさらっと合わせる着こなしはどうだろう。首もとでほんのり色気を漂わせつつ、あくまでエレガントに仕上げる絶妙なバランスを参考にしてみたい。この夏はロンTではなくて、ニットという選択肢に挑戦したくなるはず。そしてこの映画は女の子のコーディネートも抜群にしゃれていて、タンクトップにシャツをはおるだけの姿が最高にかわいい。
『夏物語』
©Les Films du Losange
バカンス映画を語るうえで欠かせない、フランスの名匠エリック・ロメール。4部作「四季の物語」シリーズの3作目にあたる『夏物語』は、リゾート地へやってきたガスパール(メルヴィル・プポー)の恋愛模様が描かれる。彼はその地で出会うマルゴ(アマンダ・ラングレ)と、別の2人の女性の間で右往左往するのだが…。発売元:シネマクガフィン 販売元:紀伊國屋書店 DVD¥5,280
DAZED AND CONFUSED
『バッド・チューニング』
リチャード・リンクレイター | 1993年
Cast:Eriya Rio Takahashi Yudai Toyoda Lisa Bayne Mina Miyamoto Kazuma Anzai Kotaro Inai
大胆な色使いや柄選びで
70年代のヒッピールックを楽しむ
騒々しい夏休みの始まりを描いたリチャード・リンクレイターの傑作『バッド・チューニング』は、70年代半ばのアメリカの若者のファッションを学ぶのにぴったりなサマームービー。93年に公開された映画なのだが、70年代当時に流行していたヒッピールックを楽しむ高校生たちの姿がリアルに映し出されている。今回はその派手な色使いや柄アイテムの取り入れ方を現代的に表現した。またTシャツの着こなし方にもそれぞれ個性があふれていて、カーゴパンツやカバーオールとの合わせ方もマネしたくなる。映画内での若きマシュー・マコノヒーのタイトなTシャツをタックインして左袖をまくるコーディネートや、ミラ・ジョヴォヴィッチのベルボトムデニム姿も必見だ。
『バッド・チューニング』
©1993 Universal Studios. All Rights Reserved.
1970年代のテキサスを舞台にした青春群像劇。夏休みを迎える日に、高校の先輩たちが新入生を懲らしめる伝統の儀式が行われ、さらにその夜にはパーティを開いてみんなで騒ぎまわることに。ベン・アフレックをはじめ、マシュー・マコノヒーやミラ・ジョヴォヴィッチなど、無名時代のスターたちが多く出演している。発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント DVD¥1,572
Photos:Toshio Ohno[L MANAGEMENT] Hair:TAKAI Make-up:DAKUZAKU[TRON] Stylist:So Matsukawa
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