▼ WPの本文 ▼
スニーカーはおしゃれ男子の必須アイテム。名品スニーカーの歴史や変遷を解説する連載の第4回は、スケーターカルチャーを象徴するヴァンズのオーセンティックをフィーチャー! エラとの違いや、よりスケーター色の強いオールドスクールもピックアップ!
コーデに欠かせないアディダス
ヴァンズ オーセンティックの歴史
ヴァンズが最初に
世に送り出したスニーカー
▲現行のオーセンティック。1966年の初代モデルよりもアッパーが丸みを帯びるなどマイナーチェンジはあるが、ほぼ変わらないスタイル。
ヴァンズがスタートしたのは1966年。ポール・ヴァン・ドーレンとジム・ヴァン・ドーレンのヴァンズ兄弟が、仲間とともにカルフォルニア州アナハイムにヴァン・ドーレン・ラバー社を設立。会社の敷地内でスニーカーを製造し、後にオーセンティックと呼ばれる最初のモデルをスタイル#44として販売をはじめた。
当時はスケートボードの黎明期で、サーファーが波を待つ間にする遊びだった。#44はサーファーに向けたデッキシューズとしてつくられたが、ヴァンズのワッフルソールはほかのスニーカーよりもグリップ力が高く、スケートボードを楽しむサーファーの間に広まっていく。
▲ヴァンズの特徴ともいえるラバーのワッフルソール。
▲そのパターンと、ワッフルのように型に入れてつくる工程からこの名称になった。
▲オーセンティックにエラ、そして 1977 年に登場したスリッポンをはいたサーファー風のモデルが並ぶヴァンズの広告には「本物のサーファーはヴァンズをはく」というコピーが記されている。
ヴァンズ エラの歴史
スケーターの提案で
アンクル部分に画期的なパッドが!
▲現行のエラ。1976年の発売当時からほぼ変わらないルックス。
スケートボードはカルチャーとして1970年代に確立される。1970年代の半ばにはヴァンズの本拠地にスケーター集団、Z-Boysが登場。カルフォルニアが大干ばつの年に街中だけでなく、バックヤードプールで滑るスタイルを生み出す。彼らが愛用していた#44はやがて“本物”という意味をもつ“オーセンティック”と呼ばれるようになる。
オーセンティックを愛用し、ヴェニスビーチのヴァンズショップに通っていたZ-Boysのトニー・アルバとステイシー・ペラルタは、スケートシューズの開発をポール・ヴァン・ドーレンに打診する。こうしてかかとまわりにパッドを入れ、強度の高いデッキキャンバスを使用したスケートボーダー世代ための#95が誕生した。スケーター創成期を象徴するスニーカーとして後に“エラ”の愛称に。
▲このアンクルパッドがオーセンティックとの大きな違い。
▲スケボーデッキに“OFF THE WALL” (「一風変わった」というスラング)と書かれたロゴもこのときデビュー。
▲エラが発売された当時の広告にはNEW SKATEBORD SHOEと謳われている。プールライディングをするステイシー・ペラルタの写真が「オレはヴァンズしかはかない」のコメントとともに添えられている。
ヴァンズ オールド スクールの歴史
ヴァンズを象徴する
ジャズストライプが誕生!
▲現行のオールドスクール。トウ部分のスエード補強の面積が発売当初より少し大きくなっている。
ヴァンズのアイコンシューズとしてスケーターカルチャーを牽引するモデルが1977年、世に送り出される。スニーカーがカジュアルシューズとして定着した当時、アディダスはスリーストライプス、ナイキはスウッシュと、ひと目でブランドがわかる商標を登録していた。ポール・ヴァン・ドーレンもスニーカーのサイドに何かが必要だと感じて落書きしていた中から、このサイドストライプは生まれる。
後に“オールド スクール”と呼ばれる#36は、耐久性UPのためにスエードパネルを採用。負荷がかかるトウ、ヒール、アイレットとジャズストライプにレザーを使用し、スケートボードのパフォーマンスを向上に貢献する。オリジナリティ溢れるこのスケートシューズは、BMXライダーやミュージシャン、さらにファッションシーンでも歓迎されヴァンズの地位を押し上げた。
▲ひと目でヴァンズとわかるジャズラインはこの後も名作に搭載されていく。
▲「世界一のスケートボードスシューズ」というキャッチコピーが物語るように、1978年にSK8-HIが発表されるとヴァンズはスケートボードシューズのトップブランドとして君臨。
▲同時期、BMXライダーにも愛されるブランドとしてこんな広告も。
NEW MODEL
ヴァンズ オーセンティック ピグスエード
毎シーズン、カラーリングや素材を変えて展開されるオーセンティック。この冬は撥水加工が施された“ピグスエード”アッパーがイチ推し。カラースエードを採用することで、大人っぽいルックスに仕上がっている。トレンド感のあるパープルとグレーはカジュアルだけでなくセットアップのようなかっちりコーデにもぴったり。
スニーカー(ヴァンズ)各¥8,500/ヴァンズ ジャパン
ヴァンズ エラ グリーン
アンクルパッドのボリューム感がスケータームードを添えるエラ。デビュー当時はレッド×ブルーのコンビネーションだったが、今はオーセンティック同様、無地モデルが多い。ビストロ・グリーンは今季の新色。コーディネートのアクセントにおすすめ。
スニーカー(ヴァンズ)¥5,500/ヴァンズ ジャパン
ヴァンズ エラ ワンストラップ
最近注目の太いベルクロワンストラップモデルがエラにはラインナップされている! ラクチンなはき心地で大人気。万能のブラックアッパーにホワイトソールの抜け感で、合わせる服を選ばない!
スニーカー(ヴァンズ)¥6,500/ヴァンズ ジャパン
ヴァンズ オールド スクール GORE-TEX
足もとにオールドスクールを合わせるだけで、スケーターテイストが添えられるアイコンシューズ。今シーズンはGORE-TEXモデルが登場! ジャズラインとともにGORE-TEXロゴテープがサイドにあしらわれ、透湿防水性を備えた全天候型スニーカーに進化!
スニーカー(ヴァンズ)各¥12,000/ヴァンズ ジャパン
問い合わせ先:ヴァンズ ジャパン
TEL:03-3476-5624
おしゃれ男子のヴァンズコーデ
長澤隆太郎さん(MNFC/OOO YY美容師)
ヴァンズ オーセンティック
「ネオンピンクのオーセンティックは、発色の美しさに惹かれて5年前に買ったもの。はくときはいつもスニーカーのピンクが浮かないように、コーディネートのどこかに似た色を入れるようにしています。花柄にピンクが入ったTTTのニットベストを合わせて、スニーカーが目立つようにブフトのテーパードパンツを選びました」
「スニーカーが好きでいろいろ持っていますが、ヴァンズ率は高めです。一番多いのはスリッポンで、オーセンティックもこのピンクのほかにレザーのブラックなどいくつか持っています。足首のフィット感のせいか、仕事中にカットした髪の毛が入ることもなく、とても重宝しています!」
木下 誉さん(1LDK AOYAMA HOTEL ショップ マネージャー)
ヴァンズ オーセンティック
「1LDKに入社したての4年前、ユニバーサル プロダクツの別注で出ていたハラコのオーセンティックです。白いスニーカーが欲しかったのと、一見してはハラコとわからないルックスが気に入って。オーセンティックはいつもコーチジャケットとセットでコーディネートしています。きょうはヘドメイナーのコーチジャケットにアンユーズドの鮮やかグリーンパンツ。フーディとニットキャップのコーディネートは、ベタなようでそうでもなく、スニーカーもハズしのようでハズしていない、そんな微妙なところを狙っています」
「持っているスニーカーの中でいちばん多いのがヴァンズ。オーセンティックはベーシックなブラックも持っています。このハラコはジャストサイズですが、ブラックはオーバーサイズの10。きつくしばったフォルムが個人的に好きなんです」
目黒龍太さん(シップス プレス)
ヴァンズ エラ
「エラもオーセンティックもどちらも大好きです。なので、ナイスカラーが出たらできるだけ買うようにしています。今回もシップス限定でこのグリーンが出たので、これはいいなと。アドサムのプルオーバージャケットとディッキーズの古着パンツはネイビーでセットアップ風にすっきりまとめ、足もとに買ったばかりのエラで色を差しました」
「シップス限定はシューレースがグリーンというのもポイント。エラはシンプルながらも洗練されたフォルムでどんなコーディネートにも合わせやすいのが魅力。履き続けてボロボロになった状態もカッコいいんですよね」
松林寛太さん(フォトグラファー)
ヴァンズ エラ
「靴に関しては定番モデルが好きです。ヴァンズはオーセンティックかエラか、悩ましいところですが、はき口にパッドの入ったボテッとしたフォルムがかわいいのでエラ派。僕的にはストリートとは違う方向性の服に合わせると、遊び心が生まれていいなと思っていつもコーディネートを考えています。きょうはポータークラシックのシャツジャケットに白いバルーンパンツ、赤いソックスを差し色にして茶目っ気を入れてみました」
「ヴァンズは若者らしく少し汚れた状態ではくのがいいと思っています。新しいエラをはくときはわざと土をけりながら歩いたりして、少し汚してからはくのが僕の流儀。ヴァンズはほかにもネイビーのオールドスクールを愛用しています」
金山大成さん(MNFC)
ヴァンズ オールド スクール
「レザーのオールドスクールはとてもクラシックな雰囲気があって素敵なので買いました。スケーターやストリートの象徴でもあるオールドスクールがレザーになることで上品にまとまるなと思ったのが購入の決め手。コセイのジャケットとタートルニットにニードルズのチェックパンツ、襟元にはヒヤーズのパールネックレス…ちょっときれいすぎるかな? と思うときはヴァンズでハズすと落ち着くんです」
「ヴァンズでは圧倒的にオールドスクールが好きです。ハズしてとして使うことが多いのですが、オールレザーだと革靴っぽいけれどカジュアル感もあって、品よくまとめることができます。クラシックな服とも相性がいいんですよね」
平本兼一さん(スタイリスト)
ヴァンズ オールド スクール
「2017年に発売されたビリーズの3周年アニバーサリー限定モデルです。アシンメトリーなデザインで、一見難しそうに見えて、白黒がベースなので意外に合わせやすい。今回は、バル×ホセ・パルラのハンティングジャケット、ヴィンテージのリーバイス®501®ビッグEダメージデニム、スニーカーと全部アシンメトリーでアバンギャルドなデザインのアイテムを組み合わせました。シュプリームのビーニーとシュプリーム×ラメルジーのTシャツを黒にすることで、王道ストリートなスタイリングに落とし込みました」
「ヴァンズデビューは中学3年生のエラ。ヴァンズといえばスケーターやバンドマンというイメージがあったのですが、数年前にLAを訪れたとき、現地で会った若手のラッパーたちのヴァンズ着用率が高くて、自分が思っている以上にいろんなスタイルではかれていることを知りました。私服ではストリートやカルチャー系のスタイルにヴァンズを合わせていますが、スタイリングの仕事ではスラックスなどコンサバな着こなしのハズシに使うことも多いです」
※価格は全て税別です。
Composition&Text:Hisami Kotakemori
▲ WPの本文 ▲
今さら聞けないスニーカー基本のき!