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スニーカーはおしゃれ男子の必須アイテム。名品といわれるスニーカーの歴史や変遷などを、わかりやすく解説する連載の第11回はホカのボンダイ。本気ランナーに支持された厚底スニーカーが、ファッションシーンで注目されたきっかけや最新作をチェック!
ホカ ボンダイの歴史
本気ラン用の厚底スニーカーが!
トレンドとマッチしてブレイク
「ホカ」は、グローバルで展開されるプレミアムランニングシューズブランドだ。正式名称は「ホカ オネオネ」。一度聞いたら忘れられない「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)」という言葉はニュージーランドのマオリ族の言葉で、「Time to fly(さぁ、飛ぼう!)」という意味を持つ。アスリートでもある創業者がニュージーランドの山頂でひらめいて、ブランド名にした。
2009年にスタートしたスニーカーとしては新しいブランドが、10年ほどで、なぜここまで知名度を上げたのか? 「ダッドスニーカーブームとシンクロした」というのは、ひとつの要素ではあるが、それはパフォーマンスシューズとしての実績があったからこそ。どのようにこのブランドが生まれたのか? 原点を知るにこしたことはない。
ホカはふたりのフランス人男性、ジャン・リュック・ディアードとニコラス・マーモッドによって創業された。現在はアメリカ、カリフォルニア州のサンタバーバラが拠点となっているが、彼らはもともとヨーロッパのスポーツカンパニーで働きながら、スピードトレッキングやアルペンスキーを楽しむスポーツマンだった。
1990年代に脚光を浴びたトレイルランニグは、2000年代には市民権を得て、世界各地でレースなどが開催されるようになっていた。彼らはプロ級のトレイルランナーだったため、ブームの盛り上がりとは裏腹に、道具の進化のスピードが遅いと感じていた。特に山を駆け降りるためのトレイルランニングシューズは1980年代のものからあまり進化しておらず、まわりにはひざに故障をかかえたトレイルランナーも多かった。
アドベンチャーレースや100マイルレースのような過酷なレースが人気を集める中、ジャンとニコラはランナーを守るためのシューズをつくれば、トレイルだけでなく、健康のために都会を走るランナーたちにも響くだろうと予測。薄底のランニングシューズが主流だった時代に、下り坂をより早く走れる厚みのあるソールを考案する。
彼らは自らフォームを削ってプロトタイプをつくり、アッパーの材質なども試行錯誤を繰り返し、進化させていった。いかに安全に、速く、下り坂を走れるか考えて誕生したのが、厚いソールと足運びを滑らかにするロッカー構造だった(舗装されていないトレイルではロード以上に、下りにテクニックが必要)。
開発から1年後の2010年に生まれたのが「マファテ」。ホカを象徴するビビッドカラーのコンビネーションに厚底ソール、そして独自のテクノロジー「メタロッカー」を搭載した画期的なトレイルランニングシューズだった。
「マファテ」とは、インド洋に浮かぶレユニオン島のマファト圏谷(Mafate)から取られた。この島は世界で最も過酷といわれる100マイルレースが開催されることで、トレイルランナーの間では有名だ。マファト圏谷はそのコースの中間地点に位置し、ランナーの力量が最も問われる区間。オフロード耐久レース用の機能を詰め込んだパフォーマンスシューズは、このネーミングによってトレイルランナーたちを惹きつけた。
2011年には厚手クッションソールの幅を広くしたロードランニングシューズ、ボンダイが誕生。ボンダイはそのボリュームに反して、驚くほど軽量だ。ボンダイの登場によって、ロードランニングシーンにもホカが浸透しはじめる。
世界的にトレイルランニグブームが起こった2010年代、ホカは画期的な新作を次々と世に送り出し、高い評価を得る。2017年には世界のトップアスリートが集う「アイアンマンKONA」で、着用率が1位に。翌2018年にはトレイルランニングレースの最高峰、「UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)」でも着用率1位を獲得する。
さらに2018年、「ウエスタンステイツ・100マイルエンデュランスラン」で、契約アスリートのジム・ウォルムズレーが優勝し、翌2019年にはコース最速記録を樹立という快挙を成し遂げる。ホカの地位が揺るぎないものになった。
ちなみに日本では、2010年に日本山岳耐久レース(通称「ハセツネカップ」)で、ホカを履いたルドウィック・ポムレが男子総合優勝、ニナ・シリッチが女子総合5位に入賞。日本のトレイルランナーたちがホカに注目すると同時に、アウトドアスポーツショップなどがピックアップし始めるきっかけに。
スポーツやアウトドアシーンで勢力を拡大するホカは、2018年にエンジニアド ガーメンツとコラボしたことで、セレクトショップなどにもピックアップされるスニーカーになった。
この時期、巷ではバレンシアガのトリプルSに代表されるダッドシューズがトレンドとなり、厚底を極めたボンダイがストリートで脚光を浴びる。カラフルなイメージが強いホカだが、オールブラックモデルをラインナップしていたことで、ファッション通がこぞってはくように。ダッドスニーカーブームは女子にも広がり、女子の間ではボンダイのカラーモデルが人気を博した。
こうしてホカはファッションスニーカーとしても愛されるようになるのだが、ボンダイを筆頭に各モデルともパフォーマンスシューズとして今も進化中。機能とデザイン性の高さでシリアスランナーに支持されることで、ファッションシーンでも流行に左右されず、ステータスをキープしている。
ホカ ボンダイのディテールチェック
ハイテクなデザインと
履きやすさがブレイクの秘密
90年代のハイテクスニーカーがルーツのダッドスニーカーの流行は、レトロ志向だったスニーカーのデザインに風穴を開けた。メッシュアッパーに厚底のほどよいハイテク感がビッグシルエットのファッションにマッチ。見た目以上の履き心地で、ファンを増やした。
フルレングスのコンプレッションEVAミッドソールは軽量かつ衝撃吸収性に優れ、マシュマロのようにソフト。
伸縮性に優れ、通気性と快適性にすぐれたメッシュニットでフィット感も抜群。
つま先と踵部分をそぎ落としたゆりかご(ロッカー)状のソールが特徴。車輪のようなローリング運動が、自然な体重移動をサポートして足運びをスムーズに。
パッド入りで優しく足を包み込む履き口。
ボンダイの変遷
スマートカジュアルにもハマる
ブラックがオールブラックに
ダッドシューズブームの時期に登場したのがボンダイ5と6。ソールまでブラックのこのスニーカーはスーツやジャケットなどビジネススタイルにも履けると、大人層にもブレイク。シューレース部分のTPUのオーバーレイやロゴの入り方に変化が。
BONDI 5
~2018年春夏シーズン
BONDI 6
2018年秋冬シーズン~2020年春夏シーズン
BONDI 7
2020年秋冬シーズン
~現在も引き続き展開中
ボンダイ 7の
カラーバリエーション
モノトーン多めで
ファッションユースしやすい!
ホカの中でもクッション性の高さで群を抜くボンダイ7。配色はブラック/ブラック、ブルーグラファイト/バタフライ(新色)、ワイドドープ/ダークシャドー、ニンバスクラウド/ラディアントイエロー(新色)の4色展開。シリアスランも街履きもOK。
ボンダイの最新モデル
ボンダイ L
-オックスフォード タン カラー パックー
トレンドカラーをまとった
ワントーンがスタイリッシュ
ボンダイLはライフスタイルシューズとして使いやすいレザーアッパーのボンダイ。スペックはボンダイと同じで履きやすく、ファッション性も高いのが魅力だ。3月1日に発売された今作は、シーズンカラーのオックスフォード タンでアレンジした限定パック。ボンダイLのほか、クリフトンLと人気アウトドアサンダル、ホパラの3モデルの展開。
ボンダイ8
ボンダイはホカのラインナップの中でも最もクッション性にこだわったロードランニングシューズ。そのアップデートモデルとして登場したのが、ボンダイ8だ。本モデルは弾力性のある軽量なフォームのミッドソールと、安定感のある拡張ヒール形状を採用。それにより着地から蹴り出しまでソフトでバランスの良いライド感を実現している。
また、アッパーにはふっくらとしたタンを、ソックライナーにはリサイクル素材のOrtholite® Hybridを新しく採用し、履き心地を高めつつ、サステナビリティにも配慮している。カラーバリエーションも豊富で、鉄板のオールブラックも用意されている。
ランニングで活用したい人も、街履きして際立ちたい人も要チェックだ。
ホカの定番モデル「ボンダイ」のリニューアルモデル「ボンダイ 8」の新色。特徴的な極厚ソールは、弾力性のある軽量なフォームのミッドソール、安定感のある拡張ヒール形状にアップデートし、よりクッション性を向上させた。ホワイト×ブラックの配色は海に潜む白鯨のようだ。
ホカの注目モデル
クリフトン 8
世界中でベストセラーになった
ブランドのアイコンモデル
2014年にデビューするや、ランナーズ・ワールド・エディターズ・チョイス・アワードを受賞するという快挙に輝いたクリフトン。最新の「クリフトン8」は、ホカのエントリーモデルとしてもおすすめ。厚底ながら幅がボンダイより細身でシュッとしたルックス。ホワイト系ワントーンなどカラー展開の豊富さも魅力。
問い合わせ先
デッカーズジャパン TEL:0120-710-844
※価格は全て税込です。
おしゃれ男子の
ホカ コーデ
岡村拓哉さん(ビームス プレス)
ホカ ボンダイ SR
「ホカといえばボンダイという印象が強いです。ボンダイ SRは、ランニングシューズのクッション性はそのまま、アッパーがフルグレインレザーになったモデル。オールブラックで合わせやすいのも、革靴が好きな僕にとって、惹かれたポイントでした。マーモット×ビームスのゴアテックスアウターはアウトドアとミリタリーのハイブリッドデザイン。コロンの変形プリーツテーパードパンツはミリタリー感のあるオリーブを選んで、トップスとのバランスを取りました。オールブラックのボンダイ SRならカジュアルすぎず、コーディネートをいい塩梅に仕上げてくれます」
「ホカはもともとリカバリーサンダルを愛用していて、ファンになりました。クッション性の魅力はもちろん、ボリュームのあるソールが着こなしのアクセントになってくれるところも気に入っています。厚底で滑りにくいアウトソールが配置されているので、防水スプレーをかけて、雨の日にもガンガン履いています(笑)」
乾 大悟さん(ネペンテス大阪店スタッフ)
ホカ× EG ボンダイL
「愛用しているのはエンジニアド ガーメンツとのコラボ、ボンダイL。ホカはスポーツ、特にランのイメージが強いんですが、EGアレンジならファッションユースに最高だなと、昨年秋に発売されてすぐ買いました。レオパード柄の攻めたコンビもいいな…と思いつつ、僕は洋服で色や柄を取り入れたいから黒をチョイス。ニードルズ×スミスのコットンツイルのオレンジのカバーオールにリビルド バイ ニードルズのフランネルシャツ、のような着こなしも、ニードルズのBDUパンツとボンダイLを黒で統一すれば派手すぎず、リアルなムードにまとまります」
「カウヘア×スエード×メッシュという異素材コンビがEGらしくていいですよね。ボリューム感があるので、ミリタリー系のパンツと好相性。あとはセットアップのハズしにもよく使っています。見た目とは裏腹に軽くて、しかもクッション性が抜群。立ち仕事も快適です!」
Composition&Text:Hisami Kotakemori
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